MidnightInvincibleChildren

まあまあだけど楽しんでいる方です

 

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埼玉県内にある某大学に行ってきた。知らない町をぶらぶらするのは楽しいが、その延長として知らない大学の構内に入るのも楽しい。大学は概ね広い。僕の通っていた大学はかなり狭い方だったので、その他の大学はどこも大抵広く思える。隣の大学は広い。

 

その大学にはでかい広場があった。広い場所に出ると無性に走り出したくなるのは人間も犬も一緒だ。僕らは大いなる力に使われるだけの憐れな犬。そんなペシミズムも最大瞬間風速的ウキウキで忘れてしまえる。僕は大学の中庭などに置かれたベンチも好きなので、走り疲れたらそこで休んだ。お腹も空いてきたので、なにか食べたい。僕は大学の周辺を散策することにした。

 

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大学はその周辺も楽しい。学生が多く住んでいるアパートを眺めると、ここに住んでいる学生たちは夜な夜な友人の部屋に出入りしているんだろうな、などと考え、切ない気持ちになる。ふと目に入ったのはメニューの書かれた紙がいたるところに貼られたラーメン屋。ランチセットが550円ということで入店を即決。学生街の飲食店は、安くて量の多い傾向にあるので嬉しい。中に入ると刃牙のコンビニ本がたくさん並んでいた。高齢夫婦が切り盛りしていて、腰は曲がっているがよく声の通るおばあちゃんが接客してくれる。このまま夕方まで過ごせそうだな、と思い椅子に深くもたれこみながらテレビを観ているとランチセットが運ばれてきた。ライスにはふりかけがかけられていて、僕は胸が一杯になり、思わず目頭を熱くしてしまう。本当に祖父母の家に来ているみたいだ。ラーメンの素朴な味を楽しんでいると、不意に大学時代を思い出した。

 

 

 

僕が大学生の頃住んでいたアパートの近くには、傾きかけた古い家屋があった。そこは昔からある天ぷら屋らしく、よぼよぼのおばあちゃんがひとり、朝早くから天ぷらを揚げている姿をよく見かけた。通りかかるたびに「今度寄ってみよう」と思ったまま一年半もの月日が経ち、このまま機会を逃し続ける可能性もあると薄々感じていた、そんなある日のことだった。

お隣さんである大学院生に古着を見にいかないかと誘われた。その日は大学も休みで、僕は部屋でインターネットをして過ごしていた。古着に用はなかったが、誘いを無下にできなかったので、自転車で20分ほどのところにあるセカンドストリートに向かった。その帰り道、例の天ぷら屋の前を通りかかったのである。すると大学院生が、「ここずっと気になってたんだよね」と言った。

「あ、俺もです」

「ほんと? じゃあさ、ちょっとよってみない?」

「いいですね」

僕らは立て付けの悪い引き戸を引いて、店の中に入る。畳間に座った割烹着姿のおばあちゃんが「いらっしゃい」と言った。

「すみません、ここって天ぷら屋でいいんですか?」

大学院生が尋ねると、おばあちゃんは照れくさそうにうなずいた。おばあちゃんの口調は見かけによらず、昔から商売をしてきた人特有のテキパキしたものだった。

「といってもいまはボケ防止みたいなものよ。毎朝起きて天ぷら揚げる。買ってくれる人がいるんなら売る」

僕と大学院生は「へ~」と言いながら、トレーに敷かれたキッチンペーパーに並ぶ天ぷらたちを眺める。どれも揚げてからそれなりに時間の経った様子だったが、衣がサンゴのように立っていて美味しそうだった。

「じゃあすみません、これひとつください」

大学院生がさつまいもの天ぷらを注文した。僕も同じものを選ぶ。「時間経っちゃってるから」と、おばあちゃんは50円で売ってくれた。

「朝来てくれたら揚げたてのものを食べられるよ」

おばあちゃんとの雑談が始まったので、僕らはお店の中で天ぷらを食べた。普通に冷たく、衣もしなびていたが、深い感慨の味がした。感慨には味がある。

話によると、おばあちゃんの家族は遠くに住んでいるとのことで、いつもはここでひとり天ぷらを揚げ続けているという。おばあちゃんは饒舌だ。まったくぼんやりした様子がない。これも毎朝欠かさず天ぷらを揚げ続けてきたおかげなのだ。

僕らは店を出た。そこで大学院生は「いや~」となにか改まったことを口に出す気配を見せた。このとき僕は、ここでこの大学院生があの天ぷらの悪口を言うんじゃないかとちょっとだけ心を強張らせた。はっきりいって、そんな言葉聞きたくない。いまはそういった元も子もなさに用はない。そんな僕に大学院生は言った。

 

「あの天ぷら、良かったね。あれをうまいとかまずいとかいう貧しい基準で捉えたくないよね」

 

僕は部屋に戻り、ベッドに寝転がりながら携帯をいじったりして午後を使いきった。お隣からは壁越しにギターの音が聞こえる。大学院生は得意のギターで作詞作曲をするのが趣味の人だ。何度か聴かせてもらったことがあるが、当時流行り始めだったRADWIMPSに似ている、エモ良い曲を大量にこさえていた。ずっと知っていたはずなのだ。あの大学院生がかっこいいということを。

 

 

 

ランチセットを完食した僕は、おばあちゃんに声をかけ会計を頼んだ。おばあちゃんはレジの下にある小さなカゴからチケットのような小さな黄色い紙切れを2枚くれた。それはこのお店だけで利用できる、手作りの10円割引券だった。それをお守りのように財布にしまった僕は、また来なくちゃな、と思った。大学時代のあの天ぷら屋さんは、しばらくして更地になってしまった。詳しいことはわからないけど、あのおばあちゃんが亡くなってしまったらしいことは、なんとなくわかった。「いつまでもあると思うな」に続く言葉が年々自分の中に増えていく。天ぷら屋、自分の体力、Netflixの映画。力んだところで、間に合わないものには間に合わない。でも、間に合うものだってたくさんあるはずなのだ。

 

 

 

ということで、つい最近『スリー・ビルボード』を観ました。

 

暫定ベスト。あんな小説が書きたいと打ちひしがれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

跳梁、2018

 

2018年が始まって1ヶ月が経とうとしている。2008年は、僕が高校3年生だった年だ。田舎の高校で、悩んだり開き直ったりを繰り返していた。いまでもそれは変わらない。この1ヶ月の間ですら悩んだり開き直ったりを繰り返し、去年の10月とくらべて体重が5キロ減った。

 

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去る金曜日、地元の友達が出張で東京に来ているからと関東近辺にいる同級生を新宿に集めた。平日ということもあり、プレミアムフライデーとは無関係な日々を送っている面々の集まる時間はまばらで、僕が待ち合わせ通り指定の居酒屋に入るとまだひとりしか来ていなかった。彼女こと【留学帰り】は高校の頃の同級生だけど、当時からそんなに絡んでいたわけでもなかったので意外と話題が思い浮かばず、「どれだけ久しぶりか」だけをテーマに10分くらい過ごした。会場である居酒屋は一軒め酒場で、【留学帰り】は「ここ予約する店じゃないよね」と言った。彼女の左手の薬指には指輪がはめられていたけど、みんなが集まってから聞こうかなと思って、一旦見なかったことにした。

 

次に現れたのはYだった。去年の夏、早朝の東京駅で死にかけたあの日に、二丁目で朝まで飲み明かしていた相手ことYだ。髭がボーボーなのは変わらなかったが、髪まで伸ばし、伊達メガネをかけていた。本人曰く「from イングランド」とのことだった。そんな話をしながらビールを飲んでいると、Y a.k.a.【イギリス】が「またこの三人か」と言った。2016年の春に花見を催したときも、この三人しか集まらなかったという過去があった。しかも【留学帰り】が途中で離脱したので、結局残った僕と【イギリス】で新宿二丁目に向かって朝まで過ごしたのだ。また今日もみんなこねえんじゃねえの、と僕は思った。

 

しかし花見のときとは主催者の人望が違うため、そんなことにはならなかった。次に現れたのは、座布団の上で正座して独り言をまくし立てることで生計を立てているHだった。Hは最近初めて夏目漱石の『坊っちゃん』を読んだそうで、「主人公がずっと田舎者の悪口を言っていて面白かった」と言った。以下、Hのことを【坊っちゃん】と表記する。ちなみに【坊っちゃん】はいつも同じグレーのチェックシャツを着ている。

 

それからしばらくして、ようやく主催者である【ハンサム】が現れた。僕が【ハンサム】と会うのはかれこれ2年ぶりで、あまりのウキウキからオリジナルTシャツを持参していた僕は、それを彼にプレゼントした。「マジで絶対返さないけどいい?」と喜んでくれた【ハンサム】は、去年彼女と婚約している。二年前と比べ、目に見えて太っていたけど、それは彼の幸福度と生活水準の高さを物語っているに過ぎない。その日集まったメンバーの中で一番の高収入を誇るのがおそらくこの【ハンサム】だ。なにかを妬む瞬発力に関しては定評のある僕だが、こと【ハンサム】に関しては不思議とそういう感情は芽生えない。その理由を強いて言うなら、僕の好き嫌いだ。

 

そこから先も続々と人が集まっていく。中学を卒業して以来会っていない友人もふたり現れた。【空手部】と【っ】だった。例によって当時からそこまで会話をする間柄ではなかったふたりでも、互いに「学校」とか「第二次性徴期」という呪いから解放された今のほうが楽しく会話することができる。【空手部】は酔うと感情が大きくなり、道を歩きながら前方から人が歩いてくると「あいつらこっちを睨んでいる。お前はどっちをやる?」とか言い出すめちゃくちゃダサいやつだ。【っ】は高校卒業後に通っていた専門学校を、プロサッカー選手になることを理由にやめてしまったという逸話を持つ男だった。その話は県外にいた僕にも届くほど有名だった。なぜそこまで拡散力をもっていたのかというと、【っ】は小学生の頃からずっと野球部だったからだ。改めて本人にその話について聞いてみると、ちょっとだけ恥ずかしそうにしつつも、決してウケ狙いのたぐいではなかったことを話してくれた。彼は当時19歳。19歳のころの僕は大学に行っているふりを続けながら引きこもっていたので、なんとなくそういうこともあるよなと思った。

 

お笑い芸人をやっている友達も来た。高校時代はAAAの西島隆弘そっくりなチャラい男だったのに(しかもサッカー部!)、今となっては体重も増え、映画監督の白石晃士そっくりだ。一応ここでは【にっしー】と呼ぶことにする。最近、所属事務所の先輩が逮捕されたばかりなのでそのことについて色々質問をしてみたものの、「俺はなんも知らん」の一点張り。背後に敷かれている箝口令を強く感じた。

 

その後も【バンドマン】をやっている友達、小さな会社ながら【代表取締役】をやっている友達、制作会社勤務のみんなの【アイドル】までが加わり、一軒め酒場じゃ収まりきらない数となってきたので金の蔵に移動。【空手部】は明日の朝六時から仕事とのことで離脱。半分以上が知らないメンバーであるにもかかわらず来てくれる【っ】に感動しつつ、みんなで始発までの時間を過ごす。バイタリティの塊【イギリス】が「三人同時に同じ音から始まる別々の言葉を発し、その中のひとりが発した言葉をみんなで当てる」ゲームをいきなり考案、【ハンサム】【坊っちゃん】【代表取締役】が実際になにかを叫び、【坊っちゃん】の発した言葉をみんなで予想した。答えは「たいこ」だった。正解者には【イギリス】から1ポイントが与えられた。

 

 その後も言葉を発するメンバーを変えて「三人同時に同じ音から始まる別々の言葉を発し、その中のひとりが発した言葉をみんなで当てる」ゲームを二回やった。その間に【イギリス】は人の言動に加点減点を行うことにハマってしまった。もうすっかり真夜中で、高校時代から居眠りの常習犯だった【バンドマン】は寝ていた。【坊っちゃん】は【っ】の顔を「夢に出てくる男(This Man)」にそっくりだと言い出し、それをネットで検索した【アイドル】の提示した画像がまったく関係のない不気味なモンタージュ写真でみんなが引いた。【留学帰り】は外国に住んでいる彼氏と婚約したことを話し、 【イギリス】は「今度から昼に集まって夜解散しよう」と言った。

 

 

僕はその間ずっと、なんだか懐かしいなあと思っていた。眠かったのかもしれない。このあと始発に乗り、長い時間をかける帰宅を億劫に思っていたせいかもしれない。

 

もっと頻繁に友達と会うべきなのだ。1年も2年も一瞬だから、楽しいことを後に回している場合じゃない。そんなことを、酔いの醒め始めた無理のない頭で考えていた。

 

 

 

ちなみに今回最も印象的だったのは、「地元の友達の結婚式に、こっちでできた彼女同伴で参列したら、参列者に私服でキャップかぶっている奴がいるし、黒ネクタイ締めてる奴なんかもいて、本当にびっくりした。結婚するとしても、式は地元で挙げない」という【代表取締役】の話だ。【坊っちゃん】なら当然のように馬鹿にするだろう。僕もFacebook経由でInstagramをチェックし、あらゆるハッシュタグを肴に酒を飲みたい。「友達の彼女」問題についても議論を進めたいし、昼に集まって夜に解散したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅鑑賞映画(2017年12月編)

 

 

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ここ最近はどの映画を観ても楽しいとか心浮き立つ感動を覚えなくなってしまったので、Netflixで「殺し屋」「ヒットマン」と検索して出てきた映画を中心に観ることにしました。好きだからです。

 

 

 

 

『その女諜報員 アレックス』(12/2)

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Netflixで鑑賞。とんでもないスーツを着ての強盗シーンなど、ぐっとくる要素を散りばめつつ思いの外弾けない。でもそんな不満をチャラにする……ほどではないけどまあ良いかと思わせるほどにオルガ・キュリレンコが魅力的。ピエール・ルメートルのミステリ小説『その女アレックス』とは無関係。

 

 

 

ヒットマン レクイエム』 (12/4)

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Netflixで鑑賞。ティム・ロス演じる殺し屋の、請負人としての側面を強く描いたキャラクターが良い。主役がこれまた本物のバカにしか見えないんだけど、演じるジャック・オコンネルは『ベルファスト71』では真面目な役を演じていたのでさすがだなと思いました。ティム・ロスが見る幻影シーンがじわじわ沁みてくる。

 

 

 

『ある殺し屋 Killer Frank』(12/5)

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Netflixで鑑賞。年老いた殺し屋が偶然声をかけられた女性の後を追って文章講座に通い、自らの人生を言葉a.k.a.物語にすることで見つめ直す話。ときおり差し込まれる抑揚の効いたゴアシーンなどが味わい深いハードボイルドな映画。幼少期に自分を虐待していたペドファイル養護施設長が脳内に居座り続け、語り部として映画の要所要所で現れる演出も面白い。

 

 

 

『ザ・リディーマー』(12/7)

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Netflixで鑑賞。得意技である回し蹴りを、後半ではかませ技として使うなどアクション監督としての演出に感動しました。殺しを行う前には必ずロシアンルーレットをするというキャラクター、あんまりだと思うほど悲しすぎる過去など、殺し屋モノとしてもなかなか。因縁の敵とのラストバトルは『酔拳』のラストバトルっぽくてよかった。長いところとか。

 

 

 

SING/シング』(12/10)

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Amazonプライムビデオで鑑賞。すごく面白い!映画館で観たかった。次は吹き替え版も観ようと思います。

 

 

 

『インサイダーズ/内部者たち』(12/11)

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最高!会合での勃起ペニスゴルフなど、悪徳権力者の「悪」演出 が本当に悪くていい。人の体を容易に切断させる「揉め事処理担当」の男がメガネを掛けたサラリーマン風で、しかも婚約指輪をつけているという点がたまらなく嫌で良かったです。

 

 

 

 フレディのワイセツな関係』(12/12)

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Netflixで鑑賞。どうかしている。でもこの映画を観て浄化されるような抜けの良さを覚えた僕は、そんな自分の心身状態が少し不安になりました。こんなにデタラメでエネルギーと希望にあふれた映画があったのか。最高でした。

 

 

 

 

『スウィート・ホーム』(12/14)

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Netflixで鑑賞。アパートの立ち退き強制部隊vs空き部屋をヤリ部屋として使っていたカップルの攻防。後半に出てくる後処理担当の殺人鬼の登場から物語がさらに加速していく点も楽しい。とても楽しかったです。

 

 

 

『T2 トレインスポッティング』(12/14)

レンタルBlu-rayで鑑賞。他人事とは思えないシリーズになってしまいました。 詳しくは今年のベストのほうで書いています。

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『ガーディアン』(12/18)

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Netflixで鑑賞。ティル・シュヴァイガー監督脚本主演のドイツ版『燃える男』 のような話。ヨーロッパ圏の銃器は多弾数だし見た目もかっこいいし、それらの使用過程を丹念に撮っていて満足。車を盾にする際はちゃんとタイヤのところに隠れていたし、弾着効果もリッチ。車イスに乗った元同僚が出てくるが、彼のする車イスギャグが面白くて、胸にジーンときました。ただこの内容で二時間超えはちょっと長い。

 

 

 

『パージ/大統領令』(12/21)

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Amazonプライムビデオで鑑賞。ホームカミングのノリでパージに参加するクソ生意気女子高生軍団が最高。 更にいいのが、そんなナイスキャラにも容赦ない展開を用意するところ。生真面目な倫理観が通底しているところがこのシリーズの特徴で、安心できる一方、物足りなく思う人もいそう。それにしてもダガーナイフを構えるフランク・グリロのかっこよさ。この人のルックや所作がこの映画を支えている気もしてくるくらい好き。

 

 

 

『ウォー・ドッグス』(12/22)

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Netflixで鑑賞。ダチと悪いビジネスで稼ぐ話が妙に沁みる生活を自分は送っているんだなあと思わされた一本。 アナ・デ・アルマスは本当にかわいい。パンパンすぎるジョナ・ヒルも、ケント・デリカットみたいなブラッドリー・クーパーもいい。マイルズ・テラーのツラはいつまでたってもムカつく。

 

 

 

『ブライト』(12/24)

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 Netflixで鑑賞。ギャング描写になると本領発揮なデビッド・エアー監督。オジマンディアス感溢れるエルフ族とストリートコップスの激突は構図としてもう楽しい。ガススタンドを滅茶苦茶にするアクションシーンが90年代っぽくて最高でした。

 

 

 

 『七人の侍』(12/31)

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BSプレミアムで鑑賞。面白い!!!今更ながら『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』におけるマックスが武器将軍から大量の銃器を奪って帰ってくるアクション省略シーンの元ネタがわかりました。みんないいけど久蔵が一番好き。ラストの寂寥感と、土饅頭に痺れる。

 

 

 

『用心棒』(12/31)

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BSプレミアムで鑑賞。 三船敏郎の声がたまらない。仲代達矢は、あの大きな目の怪しさが悪役として光っている。

 

 

 

以上、15本!

 

 

ということで2017年の自宅鑑賞映画の総本数は

 

 141本!

 

2018年はアウトプットも頑張ります!

それではみなさん良いお年を!

 

 

 

 

2017年公開映画ベストワースト色んな賞

 

 

【2017年公開映画ベスト10】

 

 1位 ナイスガイズ!

 2位 ベイビー・ドライバー

 3位 ハードコア

 4位 ザ・コンサルタント

 5位 ローガン

 6位 ゲット・アウト

 7位 T2 トレインスポッティング

 8位 この世に私の居場所なんてない

 9位 哭声/コクソン

 10位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

 

 

 

 

ベスト10選評

 

10位:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』

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エモい!あらゆるキャラクターにドラマを担わせるその采配力など、ジェームズ・ガンの手腕に胸が温かくなりました。なにより、観ている間ずっと楽しかった。一作目より好きなくらい。

 

 

9位:『哭声/コクソン

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僕は怪談の類が大好きかつ苦手で、受け取ったそのあとにあらゆる文脈が自分の中に息づき、周囲のあれこれをすべて恐怖に結びつけてしまう全自動連想モードに陥ってしまうからなのですが、この映画はそんな各々に芽生える文脈を次から次へと暴力的に錯綜させ、いま自分がどこに立っているのかすら観客に認識させない、その振り回しっぷりがなぜか痛快。ソフトを買ったら『複製された男』の隣に置きたい。

 

 

8位:『この世に私の居場所なんてない』

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映画を観ていて「自分のベスト10にこの作品を入れたいな」と思わせる映画がたまにあるのですが、今年においては今作がそれ。思いもよらぬところまで連れて行ってくれる小さな冒険譚としてもう最高。個人的な話で申し訳ないのですが、2013年ごろから「彼氏から『重い』ことを理由にふられた女の人が『重さ』を失った状態で街をさまよい、あらゆる事件に巻き込まれていく」小説を考えていて、たぶんこの映画のようなことをしたかったんだと思います。悔しい!でも面白い!

 

 

7位:『T2 トレインスポッティング

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こちらも一作目よりも更に好きな続編。前作の「どうしようもない日常との決別」も、いまになって振り返ると全然人事じゃなく、ちょっと憚られる言い方だけど「これって僕の映画じゃないか!」とすら思ったほど。20年後、こいつらみたいになっている確率がおそらくめちゃくちゃ高い僕は、この映画を戦々恐々としながら観終わったのだけど、「物語」に包括されるラストにはとんでもなく眩いものを提示してもらった気分に。僕にとってのベグビーと、おっさんになって再会したときのためにも、とりあえずベルトのバックルに武器でも仕込もうかな。

 

 

6位:『ゲット・アウト

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ダニエル・カルーヤが弟に似ているので、ラストの展開には快哉を叫びました。 前半の、「確実におかしい会話」の連続も面白いし、そこから浮き彫りになる「理解者ヅラした敵」のふてぶてしさ。なにより、持つべきはフットワークの軽い親友という人生訓!

 

 

5位:『ローガン』

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頭を悩ませながらも何度も劇場に足を運んだ作品。『ランボー/最後の戦場』にも似た暗澹とした手触りの先に待つのは、希望としての「物語」で、今年はそういう話が多かった気がします。

 

 

4位:『ザ・コンサルタント

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 殺し屋モノが大好きだからこそ、そのアレンジ方法には口うるさくなってしまうのですが、今作における「そういう話だったのか」に関しては、明らかに悲しい、だからこそ作りての優しい眼差しが響いて、良い悪いを超えて好き。「物語の規模」が僕にはとても温かいものに思えました。それでいてアクションはしっかりハードで今っぽく、見応えのあるものになっていた点も良し。

 

 

3位:『ハードコア』

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いかにアクションで「物語るか」に対し、これだけの工夫とアイディアを誠実につぎ込んでくれたつくり手たちには拍手しかない。顔も見えない主人公をちゃんと好きにさせる、勢いに負けない優しい演出の数々に感涙。『ドント・ストップ・ミー・ナウ』は皆殺しの合図。エンディング曲も最高!

 

  

2位:『ベイビー・ドライバー

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冒頭のカーチェイスからまんまとride-onしました。各キャラクター、みんなが好き。エドガー・ライトに関しては、いままではそこまで好きというわけではなかったけど、振り返ってみるとしっかり落とし前をつけさせてきた人なんだなと痛感した次第。最高に面白かったです。劇場配布ポスターがほしすぎてTジョイに問い合わせたくらい。

 

 

1位:『ナイスガイズ!』

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ヘラヘラと軽快に悪を挫く最高のやつら。この映画みたいな感じで生きていきたいよ、と痛感した2017年のベスト1。冒頭、謀殺されたポルノ女優の亡骸に上着をかけてあげる少年のシーンに代表されるような、そこはかとない優しさ、正しくあろうとすることの尊さを描いている点も捨て置けない。ままならないことが前提のような世界でも、たまには成功するんだよ!

 

 

 

色んな賞

 

【ベストガイ賞】

 

『ハードコア』より

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ヘンリー

エスカレーターで倒れかけた女性を支えようとする一瞬の仕草、共闘シーンで見せる力のこもったOKサイン。不意に脳裏をかすめる幼いころの記憶の「その先」など、一言もしゃべらないくせに僕はこいつがたまらなく好き。 

 

 

【ベストガール賞】

『ナイスガイズ!』より

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ホリー・マーチ(アンガーリー・ライス) 

娘、最高!

 

 

 

 

【ベストマブダチ賞】

 

ゲット・アウト』より

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ロッド(リル・レル・ハウリー)

世の中には「友人の恋人」問題というものがありますが、彼はその問題における正しいスピリットを忘れず、感動的な行動力を見せてくれます。こんなダチに、私もなりたい。

 

 

 

【ベスト無職賞】

 

『この世に私の居場所なんてない』より

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トニー(イライジャ・ウッド

犬の散歩と「忍術の練習」ばかりしている謎の男。これがまた頼りないようでいてそうでもなく、かといって何かを任せるにはやっぱり不安な、絶妙な塩梅の男で最高。

 

 

 

 

【ベスト楽曲賞】

 

『ハードコア』より

www.youtube.com

『For The Kill』(Biting Elbows)

圧倒的爽やかさ。

映画ではエンドロールで歌詞も表示されますが、これがまたいい。

 

 

 

2017年劇場公開作ワースト

 

ジョン・ウィック:Chapter2』

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ワーストに上げるほどかって気もするけど、前作の頃からそこはかとない乗り切れ無さを覚えていて、二作目でそれが決定的になったことがショックだったので選出となりました。アクションに関してはリアルな長回しファイトもいいけど、もっと大胆な演出による「増し」込みでのメリハリがほしい。なにもオリヴィエ・メガトン級に割れよということではないですが、全体的に瞬間最大風速的興奮に欠ける印象となりました。 駅の雑踏の中、サイレンサー付の銃でこっそり撃ち合うシーンはものすごく笑ったけど、それすらもやもやの一部となるくらいチューニングに困る映画。 好きなジャンルだからこその過敏さに飲まれてしまったのかも。といっても『3』は観ますけどね。

ちなみに「しまった~」と感じた度合いで言えば『銀魂』の方が圧倒的でしたが、福田雄一作品というコンテンツとの相性な気もします。福田雄一作品は本当に合わないけど、ムカつくと同時に世界の豊かさのようなものも感じるので、世界的にろくなことがなかった2017年、僕は『銀魂』を肯定したいのです。

 

 

 

そして2018年……

 

 

【2018年公開映画予告編賞】

 

キングスマン:ゴールデン・サークル

www.youtube.com

いくつかバージョンがありますが、チャニング・テイタムが「Fuck Yeah!」と叫ぶバージョンがとにかく最高。心が健康になります。

 

 

『レディ・プレイヤー1

www.youtube.com

有無を言わせぬ予感の波に、ただただ高まり、震えます。

 

 

『SICARIO2:SOLDADO』

www.youtube.com

大将、絶望を一丁!

 

 

 

 

 

 

ということで2017年もこれでおしまい!来年も楽しい時間が多いといいですね。

 

 

adios!

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『バイオハザード リベレーションズ アンベールドエディション』の"レイドモード"に取り憑かれた男

 

もう何度も何度も書いているけど、ここのところ映画や小説といった「物語」に触れてもまったく集中できないので、もっぱらゲームに没頭している。それも『バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション』に入っているミニゲーム「レイドモード」しかやっていない。そこで今日は、僕が異常なのではなく、このゲームが本当に面白いということを伝えるため筆を執ります。

 

 

ある夏の日

今年の夏に実家からXBOX 360を送ってもらった僕は、大好きなバイオシリーズの未プレイ作品『バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション』を購入。2013年発売の作品だ。

  

 

 

ちょうどお盆休みの時期だったこともあり、キャンペーンモード(いわゆるストーリーのある本編)を三日ほどかけてクリア。第一作目から何度も登場しているジル・バレンタインクリス・レッドフィールドとの再会に微笑みながら、『5』に至るまでの出来事を知る。中身に関しては『6』ほどトゥーマッチじゃなく、「そこを歩くという恐怖」が久々に味わえたのでよかったよかったと思った。次いでミニゲームである「レイドモード」のプレイを開始。それがすべての始まりだった。

 

 

 

「レイドモード」とは

 

 

レイドモードは、60ものステージ+最難関ステージ「ザ・ゴーストシップから成るミニゲームだ。更にステージは以下の3つの層に分けられている。

 

DARK stage1~20 (勢いで突破可能)

DEEP stage1~20 (易しいステージに戻って装備を整えながらの突破)

ABYSS  stage1~20 (ほぼ死ぬ)

 

武器とキャラクターを選択して各ステージごとに設けられている「クリア条件」を達成すればいい。クリア条件は、主に「~に到達せよ」とか「◯◯を倒せ」などで、達成すると経験値とボーナスポイントが得られる。経験値をためればプレイヤーのレベルが上がるし、ボーナスポイントを使えば武器の強化を図れるのだ。

 

ステージによって異なるが、1ゲームあたり3分~といった具合なので、何気なく始めると経験値やポイント欲しさから、わんこそばのように止めどころを見失った。ステージを進むごとに難易度も上がるので、こっちもムキになる。僕はどちらかと言うと難しいゲームよりも、爽快な気分で強い銃を撃ちまくれるものが好みなんだけど、とはいえシリーズを追ってきた身としては『ザ・マーセナリーズ』などの達成感がどれだけ美味かを知っているので、ついつい連日数時間、レイドモードに熱中した。

 

そんなこんなで気がつけばABYSSに足を踏み入れていた僕だったが、その難易度に悪戦苦闘。こうなったら武器をとにかく強化したり、レベルをマックスの50まで先に上げたうえで堂々クリアすればいい。そう思いボーナスポイント稼ぎに没頭。完全な作業と化した。するとどうだろう。日々心が死んでいく。まるで人生そのものだ。

 

 

トリニティボーナス

ボーナスポイントが貯まれば心も潤う。最善の使い道をきちんと考え、武器強化の順番や取捨選択でウンウン唸りながらも、うまくいけばそれに応じて生き延びる確率も向上していく。しかしお気に入りだからとポイントを大量に費やして強化していた武器があるのに、レベル上げにともなって標準時から高性能の更にいい武器が手に入ってしまい、なんだかお金を無駄にした気分だなと後悔が頭をもたげることも多い。調子が狂うと、ミスが増え余裕が消える。苛立ちや絶望から、泣き叫んだことも少なくない。

 

このレイドモードのやりこみ要素には恐ろしいものがあって、ステージを「推奨レベル以下」「ノーダメージ」「敵全滅」でクリアすると「トリニティ・ボーナス」なるものが得られるのだ。もちろんボーナスというくらいだから、ボーナスポイントだって多く得られるし、「レジェンダリーパーツ」と呼ばれる武器の強化パーツまでもらえるのだ。例えば武器のリロードがリロードアクションなしで行われる「オートローダー」(素早い敵に囲まれている時のリロードアクションは命取り)や、所持している全種類の弾薬を使用できる「グラトニー」など、使用すると戦力が段違いになること間違いなしの垂涎アイテムがある。

 

でも当然のようにトリニティ・ボーナスの達成は難しい。特に難易度が高いのは「ノーダメージ・クリア」だ。ちょっと当たるだけでもダメなのだ。例えばクリアまでの所要時間が30分ほどのステージでトリニティ・ボーナス獲得に励むも、最後の最後でピチピチ跳ねてる魚の化物が腕をかすめようもんならすべてが水泡に帰す。それはあまりにも悲しいことなのだ。

 

このゲームはオンラインで協力プレイをすることもできる。ネットを見た感じでは、みんなオンラインで協力プレイをし、トリニティ・ボーナスを達成、ゴキゲンなアイテムを手に入れているようだ。しかし僕のXBOX 360は古いタイプのやつなので、外付けの無線LANアダプターを取り付けなければオンラインに繋げない。有線ならできるらしいけど、内蔵型の360もあるというのに今更外付けアダプターを買う気になれない。だったらXbox ONEかPS4を買う。

ということで世界と繋がることもなく、僕はひとり黙々と挑戦を続けているのです。

 

※現時点(2017/12/9)で僕がABYSSでトリニティモードを獲得できたステージはstage1とstage9だけです。ふざけんじゃねえっての

 

 

 ザ・ゴーストシップ

そんな僕だが、この4ヶ月ほど飽きることもなくプレイを続けた結果、レベル50に達することができた。DARKからABYSSまでの全60ステージもランクSでクリアした。

それでもまだ達成できないことがある。

それは最難関ステージ「ザ・ゴーストシップ」のクリアだ。

このステージ、なにがそんなに難しいかというと、まずアイテムが出現しない。つまりスタート時に所持している武器弾薬回復アイテムだけで乗り切らなくてはならない。

もちろん対策はある。武器に装着する改造パーツには、「アモマグネット」や「ハーヴェスト」、「マジックポケット」、「コルヌコピア」といったアイテムの出現率をアップさせたり、一定時間経過すると弾薬を数発回復したりといった、魔法のようなものもあるのだ。

しかしそれで安心するにはまだ早い。そもそも出現する敵の数が尋常ではないからだ。さらに終盤では、高レベルの敵が同時に大量出現。魑魅魍魎相手に大立ち回りを強いられるだけではなく、連続してボス戦をこなさなくてはならない。現時点での僕の所持している武器のスキルなどでは無理だ。弾だってすぐ尽きてしまう。なのでここ最近はまたボーナスポイントを貯める日々が続いている。作業モードだ。早く最強になって大暴れしたい。そんな思いが僕を突き動かす。

 

 

レイドモードの好きなところ

最後に、今後も長く付き合っていくであろうこのゲームの、個人的に感じる魅力も挙げておこうと思う。

 

①キャンペーンモードでは使用できないキャラで遊べる

個人的には女性キャラしか使いたくないんだけど、能力値などの問題から「キース3」を好んで使用している。ナイフではなく二本の短刀を振り回すので、弾の節約にちょうどいい。「ザ・ゴーストシップ」のアイテム回収プレイの際はもっぱらこいつ。吹き替え版だと小野大輔の声でしゃべります。

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ジェシカ2のきわどさ

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じゃあ女性キャラなら誰が良いかと言われれば、もちろん全員好きなのだけど、特に印象深いのは「ジェシカ2」。エロいとかを通り越してどうかしている。そもそもこんなに露出していたら怪我の危険性とか感染率とか馬鹿みたいに上がるはずだけど、そんなことお構いなしのふてぶてしさにやられます。吹き替え版だと水樹奈々の声でしゃべりますよ。

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③強化した武器の爽快感

色々ありますが、セミオートタイプのスナイパーライフルであるPSG-1に「フルバースト」と「オートローダー」を装着し、圧倒的な弾幕でぶよぶよのスキャグデッドを撃ちまくっているときがとても楽しいです。

 

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④武器タグ「ライトウェイト」

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武器の中にはタグ付きのものもあり、それぞれ特徴がある。僕は中でも「ライトウェイト」というタグが好きで、このタグの付いた武器を持っていると移動速度が早くなるのだ。根がせっかちにできているため、ゲームを操作しながら「もっとはやく走れよ!」と激昂することも多いのですが、そんな気持ちの悪い自分と向き合わずに済む最高のタグです。

 

 

レイドモードでマジギレした瞬間

ついでなのでこちらも挙げていきたいと思います。

 

①レジェンダリーパーツ「レベルキャンセラー」を手に入れるためABYSSのstage9に挑戦するもピチピチ跳ねる魚の化物に接触して一からやり直さなくてはならなかったとき

 

②レジェンダリーパーツ「レベルキャンセラー」を手に入れるためABYSSのstage9に挑戦、見事達成するも「レベルキャンセラー」ではなくしょぼいアイテムしかもらえなかったとき

 

③攻略法を学ぼうとネットのプレイ動画を漁るも、うp主が当たり前のように「オートローダー」や「グラトニー」を装着した武器を使用していたとき

 

④即死攻撃を回避したつもりが回避できずに即死したとき

 

⑤ザ・ゴーストシップのアイテム回収リタイアプレイを何十回と試みたにも関わらず、「オートローダーⅣ」と「グラトニーⅢ」しか手に入っていない現状を振り返ったとき

 

 

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 みんなも『バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション』のレイドモードをやりましょう。PS4、XBOX ONE、NintendoSWITCHでも出てますよ。

 

 

 

 

 

 

ふたり映画のススメ

 

 

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gingerweb.jp

 

先日、Twitterにてある記事が賑わった。ひとりで映画を観たいけどちょっとハードル高く感じているアラサーシングル女性に向けて書かれた記事なのだが、これが一部で炎上したのだ。たしかにとても野暮な話ではある。余計なお世話は人を苛つかせる。とはいえ、そもそもが「ひとりで映画を観たりもしたいけど、ちょっとハードルが高い」と思っている人向けの記事っぽいので、僕自身、特に腹が立つとか、腹を立てている人に腹が立つとか、そんな両者をみて笑うなどはできない。それは単に僕が論理的な一線を強く意識しているとかそういうんじゃなく、ここのところなんだか憂鬱で、ふさぎ込みがちで、あれだけ大好きだったいろんな創作物に触れることすら億劫になり、自分でも得体のしれない何か、それこそ『ゴドーを待ちながら』のゴドーにあたるものをただ待ち続けているかのようなこの漫然な日々に囚われてしまっているからに他ならない。以前なら腹を立てていたようなことに遭遇しても「そうは問屋が卸さない」とは思わなくなった。

 

でも僕は昔から、映画は絶対に一人で観る派だったのです。中学のころまでは友人と映画館に行くことを楽しみとしていたのだけど、あるとき漠然と「みんなそれほど映画が好きなわけじゃないっぽいぞ」ということに気づいてしまい、高校に上がってからはひとり映画のイージーでドープな味わいにどっぷりと浸った。どうせ映画館で観るならR指定じゃなきゃ嫌だと、チャレンジングな鑑賞をのびのびと行うことができたし、余韻に浸るための散歩も自由。僕が通い詰めていた地元の映画館は、その真後ろにきれいなビーチがあったため、よく白い砂浜に腰掛けて海を眺めながら「幸せだなあ」とため息をついていた。気分はすっかり若大将なのである。

 

そんな僕だが、高校3年生の冬に一度だけ、クラスメイトと映画を観にいったことがあった。その男子は運動部で、気さくな人柄から男女ともに人気があった。モテる男子高校生というのは、自尊心の暴走をコントロールできないのか、基本的に鼻持ちならないやつばかりだったというのに、そのクラスメイトは二枚目寄りの三枚目といった風情の、人気も納得、快男児だった。

 

そんな快男児からいきなりEメールが届いた。「今度いっしょに映画でも観に行かん?」と書いてあった。僕は送り先のメールアドレスを確認したが、僕だけにしか送信されていなかった。うわ、マジか。サシで映画を観に行かないかとは、どういう風の吹き回しなんだ。そう思った僕だが、もちろん誘いにのった。簡素な文面からなんとなく、卒業間近の愛惜を感じとったからかもしれない。それに僕は日頃から観た映画の面白かった部分などを彼に誇張して伝える習慣があったので、僕を誘うなら映画だろうという、彼の心遣いも感じていた。僕らは来る土曜日にリドリー・スコット監督の『ワールド・オブ・ライズ』を観に行くことにした。

 

映画を観終わった僕らは、真冬の曇天の下、あてもなく歩いた。映画は面白かったけど、ぶわーっとはしゃぐような内容でもなかったため、オープニングの大爆発シーンと、ディカプリオがテロリストに捕まって金槌で指を叩き潰されるゴア描写に話題は終始した。学校ではよく話すけど、こうやって外で、しかも二人っきりで話すことなんてこの三年間一度もなかったんじゃないかと思った僕は急に緊張して、なにを話していても収まりの悪さを感じていたが、たまたま見かけた雑貨屋に入って仮装用のカツラなんかをかぶっているうちにどうでもよくなってきた。

 

それから僕らは同じ高校のOBがバイトしているラーメン屋で夕食を済ませ、バスに乗って帰った。三年間の思い出とか、今後についてとかを深く話したわけでもなく、本当にそのまま「また月曜に」と解散。当時の僕は映画をひとりで観ることを半ば信条のようにしているところがあったのに、その日はふたりで映画を観れたことが思いのほか響いていて、意外と悪くないじゃんと思ったりもした。

 

つまりあの感じを希求し、でも得られずに悩んでいる人たちに対して、新たな選択肢を提示する意味で書かれたのが例の記事なのかもしれない。そう思って再度よく読んでみたら、どちらかというと「他人から寂しい人と思われることが嫌な人」向けのおせっかい記事に思えてきて、もうどっちでもよくなりました。あえてひとりを楽しむもよし、自分なりの策があるのなら実行するもよし、ひとりがいいというのならそのままでもいい、それだけの話なのだ。だって僕ら程度の能力からすれば、この世界はあまりにも広大で複雑で、だからこそ自由でもあるのだ。届ききらないゆえの自由。でももちろん自由じゃなくたっていいのだ。甘んじて受け入れるのも、抗うのも、どっちつかずで悶々とするのもいい、もうなんだっていい。例えば僕の好きな曲で『地獄でなぜ悪い』という曲があって、知らない人からすれば「え、地獄とかいやだ」と思うかもしれないけど、それをあえてタイトルで高らかに宣言することで、逆説的にエンパワメント効果の獲得に成功していると思う。歌っている人の名前はちょっといまど忘れしちゃったんだけど、グリコ森永事件の似顔絵にちょっと似てる、とても人気のある男性シンガーです。ちなみに僕は『SUN』や『恋』という曲も好きなのでオススメです。

 

 

 

 

 

note.mu

 

 

 

自宅鑑賞映画(2017年11月編)

 

 

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『マリアンヌ』(11/4)

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Amazonプライムビデオで鑑賞。小さいころの「洋画」の感触を思い起こすような一本。超面白い、というか妙に心地良い。ゼメキスの演出はもちろん、スティーヴン・ナイトの脚本による後味も好き。ってことで『カサブランカ』も観なきゃ。

 

 

 

『トリプル9/裏切りのコード』(11/11)

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Netflixで鑑賞。豪華キャストと手堅い演出。ずば抜けて痺れるわけじゃないけど、ほしいものはくれる感じ。なのに本命にはならない感じ。ディテールで光る点は山ほどあるにもかかわらず……という不思議な映画。

 

 

 

『淵に立つ』(11/11)

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Netflixで鑑賞。見入った。浅野忠信というブラックホールを中心に、引力の狂った登場人物たち。面白い。

 

 

 

『マッドタウン』(11/17)

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Netflixで鑑賞。こういうテンポの映画は劇場で観なきゃなあと思った次第。食人族ジェイソン・モモアカルチャー・クラブの『カーマ・カメレオン』を聴きながら女の人をポキッと締めるシーンを観て、向こうの人の『カーマ・カメレオン』像について考えてしまう。『ザ・コール』でも変態殺人鬼が拷問の際に『カーマ・カメレオン』を流していた。物騒な雰囲気とはかけ離れている曲調だからこそ映えるってことじゃないの?と思っていが、この映画において、夢を抱いてアメリカに移り住むも荒野の食人族に成り果てたジェイソン・モモアのキャラクターがこの曲を聴いているという文脈はなかなかグッと来る。やつにとってのカーマはアメリカのことなのかもしれない。キアヌは罰されない『ノック・ノック』野郎といった感じで、本当に弱そうなイモータン・ジョージム・キャリーにはまったく気づかなかった。また来年とか観ます。主役の子がタイプです。

 

 

  

フェア・ゲーム』(11/26)

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Netflixで鑑賞。同監督の『バリー・シール』が面白かったので、過去に撮られていた実録物として鑑賞。知らなかったけど、あんまりな話にフォース憎悪が加速。責任を細分化することで罪悪感も分散し、今後も人々はしょうもない理由で死にまくるんだろうな、という暗い気分に。それでも毅然として立ち向かうことを選んだ夫婦の姿が塞いだ心に風穴を明けてくれた……気もする。

 

 

 

探偵はBARにいる』(11/26)

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テレビでやってたので観ていたけど、寝落ちしちゃったのでNetflixで再鑑賞。 大学時代は映画を観るために深夜バスに乗って札幌まで繰り出したりしていたので、町並みが映るだけで感慨深い。心地の良い塩梅のエンタメノワール。正月とかにだらだら観たい。

 

 

 

『タッカーとデイル/史上最悪にツイてないヤツら』(11/27)

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Netflixで鑑賞。ホラーの文脈を逆手に取ったコメディ。楽しい。ただあの使い方するなら保安官の銃はオートマチックタイプにすればいいのに……

 

 

 

WHEELMAN』(11/28)

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 Netflixで鑑賞。ゲッタウェイドライバー版『オン・ザ・ハイウェイ』のような映画。一夜の物語というタイトさと、派手すぎない抑えた展開、ラストのフランク・グリロの表情など、なんだか忘れがたい映画。1時間半という点も(*^^*)。

 

 

 

以上、8本。

 

気分が散漫かつ鈍麻な月だったので、物語に触れるのが億劫でした。

12月は30本とか観たいな~(*^^*)

 

 

 

 

今年のエモかった瞬間ランキング42位

 

 

 

駐輪場で同じアパートに住んでる東南アジア系の男女に会った。交際してるのか結婚してるのか定かではないけど、たまに見かける人たちだ。後方に立つ僕に気づかない様子の2人。不意に女性の方が男性のほっぺにキスをした。続けてお尻を撫でた。かと思えば、そのまま股の間まで手を伸ばして金玉のあたりを触りはじめるので、僕はどんぐり眼のまま固まった。男性の方は黙々と自転車に鍵をかけていてるだけだ。女性がようやく僕に気づいて、恥ずかしそうに笑ったあと「こんにちは」って言うもんだから、僕も「こんにちは」と返した。急いで横を通りぬけ、自分の部屋へと向かった。不思議とバツの悪さは希薄だった。

 

二階堂ふみそっくりな笑みが、僕をいつまでも見ていた。

 

 

 

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あれもこれも面倒くさい/『「狂い」の構造~人はいかにして狂っていくのか?~』

 

 

僕は本当にTwitterが大好きなので、眠れない夜なんかはバズったTweetにぶら下がる異常なテンションのアカウントを片っ端からブロックすることで充足感を得ている。一方で、ギョッとするような事象にぶつかることも多々ある。はっきりと違和感を覚える言動ややりとりだって、当然のように、結構な確率で揺蕩っているものだ。

 

僕だって自分の部屋の中で全裸のままウロウロすることがあるが、仮に部屋が人通りの多い道路に面した1階で、かつ窓も開けっ放しの状態だったらさすがに躊躇う。でもそれがまったく気にならない人もいる。他者という存在の得体のしれない側面に触れたときひとは緊張するが、時に僕はその緊張を恐怖に近いものとして受け取っているのかもしれない。

 

四年前に読んで大変感銘を受けた本『「狂い」の構造~人はいかにして狂っていくのか?~』を再読した。実家に帰った際にまとめて持ってきた本の中に含まれていたのだ。この本は小説家の平山夢明氏と精神科医春日武彦氏が対談形式で語る「狂気」についてのあれこれが収められている。ほとんど雑談といった雰囲気なので、半ば乱暴とも思える勢いの良さで進んでいくところもあるのだけど、ふとした瞬間に瞬間最大風速を喰らう箇所が飛び出してくるので退屈しない。むしろ面白いがゆえに心が忙しなくなる、そんな本だ。

 

 

この本は基本的に、「面倒くさい」という感情は「狂気の孵卵器=おかあさん」という視点で貫かれている。目の前に危険が迫っていても「面倒くさい」という感情を優先してしまい解決策をとらない人は、どういうわけか結構な割合で存在する。被害を受けることと解決策をとることでは、明らかに後者のほうがまだ楽なはずなのに、優先順位があべこべになっているのだ。そのいびつな状態はさらなる悪い状態を招きかねない。ここで出てくる平山氏の知人の例が興味深い。

 

平山 知り合いで、レンタルビデオを10ヶ月返さなかったヤツがいるんだけど、延滞料で16万円ぐらい取られたんです。不思議なのは完全に忘れていたわけじゃなくて、彼はいつも「返さなくちゃ!」と青いビニールケースを見る度に思ってるんです。そこでテープがすべてあれば返しに行くんだけど、残念なことに6本借りたうちの1、2本だけちょっとどこかに紛れてわからなくなってしまった。だから気持ちとしては、「返さなくちゃ」と焦るんだけど、まずは探すところから始めないといけないわけで、そうなるともう、やっぱり面倒くさいから……。

 

 確かに常識的な対応とは程遠い話ではあるが、ちょっとだけ耳が痛くもある。というのも、ここ最近ネットなどでよく目にする「タスクの先送り」が当てはまる例にも思えるからだ。それこそ僕自身も陥ってしまいがちなことなのだけど、ここで大切になってくるのはバランス感覚だと平山氏は続ける。

 

平山 バランス感覚というのは個人個人では成り立たない。個ではないですよ。例えば、黒いか白いかというのは、黒があったり白があったりするからわかるのであって、黒しかない世界だと「俺って黒すぎる」みたいな考えはまったく成立しない。で、逆に「いや、おまえは白いよ」と言われるかもしれないわけで。

 結局、比較対象である他者とのつながりみたいなものを意識に刷り込んでいないとバランスが成り立たない。心の天秤がない状態になってしまう。

 

レンタルビデオ延滞を例に考えたとき、天秤の片方に「面倒くさい」、もう片方に「延滞料金のことやお店にかかる迷惑」を置く。本来であれば、どちらかに傾くことはあれ「面倒くさい」側に振り切ってしまう前にバランスをとろうと重い腰を上げたりするものだ。しかし、それでも動かない人がいたら?もはやその天秤すら持たない状態の人間がいたら?

 

平山氏は人間のそのような状態を「バルンガ病」と呼んでいる。

 

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バルンガとは『ウルトラQ』に登場する風船怪獣のこと。自我やプライドといった個の部分が不健康に肥大化している状態のことを、バルンガに例えてそう言っているっぽい。

 

春日 謙虚さは「ゆとり」がないと生じないもんね。狂った人はそれなりに理屈はあるんだけれど、それでもう頭のなかがいっぱい。あの目一杯さが周りを圧倒するよね。

 

 

 

とまあこんな感じで、面白おかしく狂気について語らう中で、核心に触れるような発言もテンポよく飛び出すので興味が途切れない。平山氏や春日氏の潤沢な引き出しから飛び出す様々な事例もインパクト大だし、作家ならではのユーモラスな喩え話が絶妙にテーマを補足してくれて気持ちもいい。

 

中でも僕が好きなのは、「第二章 バルンガ病の人々」で出てきた“言葉”についての話だ。春日氏は「理不尽な行動を取るときの理由」についてこう述べている。

 

春日 単純に言葉に取り憑かれることがあるんじゃないかと思うわけ。万引きなんかでも、たまたまさ、「万引き」という言葉なのか、あるいは「もったいない」という言葉なんだか知らないけどね、なんかそういう言葉だけがもう、キャッチフレーズみたいになって、それで実際にやっちゃうとか(中略)なんかそういうことってあるんじゃないかという気がするのね。

 

平山 「言霊」ですよね。結局、何かの言葉によって、非常に雑に、ランダムにばらけていたものが、キュッと締まるわけじゃない。

 

自分の行為を正当化するキャッチフレーズを見つけると、人はその言葉に縛られて行動しているように見える。結局はここでも「絶えず考えること」を放棄した「面倒くさい」が顔を覗かせる。このように人を捕らえる言葉の中でも、とりわけ強力なものがあるという。それは「やっぱし」だ。

 

春日 妙な具合に調子が上がってくるとさ、すべてが「やっぱし」っていう言葉に駆動されていくわけ。あらゆることが「やっぱし」で、例えば電車乗り遅れても、「やっぱし」でさ。そうすると世界はドミノ倒しみたいに……。

平山 しかも、「やっぱし」だから、「こうなることは俺は予測はしていたんだ」って?

春日 そうそう。

平山 諦観がありますよね、「やっぱし」には。

春日 何やっても「やっぱし」になっちゃうから、ひでえことになる。

平山 ほんと、ほんと。

春日 だからその「やっぱし」ってのは、俺、なんかグッとくるものがあったね。 

平山 「やっぱし」っていうのも、要するに思考停止させてるんでしょう?

春日 うん。思考停止はさせつつも、何かものすごい吸引力がある言葉じゃない?

平山 ちょっと自分たちも使いそうだよね。

春日 でしょう? 車で人を轢き殺して、「やっぱし」とか言いそうじゃない?

平山 「俺、やるような気がしてたんだよ」みたいなね。だから俺のせいじゃねえよって。これは誰かにさせられたか、何か大いなる秩序にハメられた結果であるんだ。

 

この会話を読んで背筋を凍らせるのは僕だけではないはずだ。

 

 

この他にも本書には興味深く、愉快でエグい話がたくさん詰まっている。ざっと振り返ってみても

 

  • 人殺しの見る世界は画素数が少ない説
  • 選挙に出る=躁病
  • もったいないは人を狂わす
  • ケツ穴に高射砲の弾を入れた男
  • アウトレイジ』の処刑シーンのモデルとなった自殺
  • 新幹線に轢かれると人は粉になる
  • 殺人鬼には嗅覚の鈍い人間が多いのか

 

などなど枚挙にいとまがない。

さらには先月Netflixで配信されたデヴィッド・フィンチャー製作のドラマ『マインドハンター』にも登場する殺人鬼エド・ケンパーを始めとする世紀の人殺したちにまで話は広がる。出版されたのが2008年といまから約10年も前ということもあり、発達障害などに関する言及の範囲がやや狭く感じるところもある。それでも得体のしれない、雑な空気の蔓延をひしひしと感じる今日このごろ、「狂気」理解の第一歩として本書を読んでみるのもいいかもしれない。

 

個人的には、「夜の公園で見た亀の甲羅と謎の女」の話が、ホラー作家平山夢明氏の本領発揮といった趣の話で最高でした。

 

 

 

 

 

 

自宅鑑賞映画(2017年10月編)

 

 

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『マギー』(10/2)

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Netflixで鑑賞。こんな暗い話だったの!?と愕然としました。義母の扱いが、父性強調のためにぞんざいに感じられますね……

 

 

 

『恋人たち』(10/3)

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Netflixで鑑賞。劇場鑑賞以来だけど、三者三様が見せる届かない相手への独白と、その独白を拾おうとする視野の外にいた人たちの存在が熱く胸を締め付ける。

 

 

 

『ボーダーライン』(10/5)

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Netflixで鑑賞。相変わらずエミリー・ブラントの扱いが酷すぎるが、デルトロのモラルの向こう側に行ってしまったかのような闇のような目がたまらない。悪魔のような相手に悪魔のような制裁を下す、そんな私怨すらも巨大なパワーに管理されてるという徒労感。あとなんだかんだヴィルヌーヴは外連味の人で、そこが好き。

 

 

エクスペンダブルズ3/ワールド・ミッション』 (10/10)

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Netflixで鑑賞。 劇場で2回観た際は血が出ない、アクションのカット割りが見づらいなどで不満でしたが、改めてみると後半のドンパチも大まかなアクションの流れがちゃんと連ねられていて、グンと好きになりました。良い!

 

 

『ヒーロー・ネバー・ダイ』(10/14)

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Netflixで鑑賞。最高。恥ずかしげもなくエモい。そこがとてつもなく良い。

 

 

 

グリーン・インフェルノ』(10/14)

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Netflixで鑑賞。丁寧だなと感じる点はわかるけど、好きではないといった感じ。イーライ・ロスの映画はちょっと苦手かもしれません。

 

 

 

アウトレイジ ビヨンド』(10/18)

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レンタルBlu-rayで鑑賞。初見時は話の筋を見失っていましたが今回はちゃんと追えた!目をガン開きした桐谷健太と塩見三省、ジャージ姿の三浦友和が特に良い。

 

 

猿の惑星:新世紀 ライジング』(10/22)

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レンタルBlu-rayで鑑賞。深夜のバルト9でウトウトしながら観て以来でしたが、いい。戦車の砲台視点で猿たちの突撃を見せる画が最高。

 

 

 

ザ・コンサルタント』(10/23)

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Netflixで鑑賞。今年の1月ぶり。2度目は敵側の挙動にも注意が向いてより楽しかった。

 

 

 

『ノック・ノック』(10/24)

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Netflixで鑑賞。ただでさえ気持ちが浮かないときに観てしまったためか、心から最低な気分に。1時間40分のピンとこない説教を受けたような徒労感。もうここは意地でも、不条理劇成立のためにキチガイ側に都合よくことが進む点を受け入れたくない。浮気男制裁だけならまだしも、喘息持ちのルイスの件はしょうもねえ戯言で片付けさせてはいけない。初期の黒澤映画なら犯人は死刑!掃除して帰れバカ。

 

 

 

『セキュリティ』(10/25)

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Netflixで鑑賞。深夜のモールで籠城戦。大好きなシチュエーションなぶん不安もあったけど思いの外気持ちのいい映画で大満足。バンデラス最高!

 

 

 

『キッズ・リベンジ』(10/28)

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Amazonプライムビデオで鑑賞。なあなあに着地させないオチが好き。あとお姉ちゃんかわいい。

 

 

 

 『キアヌ』(10/29)

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Netflixで鑑賞。キアヌかわいい!コメディ映画だからこそ映える外連味溢れる銃撃戦メソッドが活きてた。メソッドマンも最高。アメリカ人はすぐ愛する対象でカレンダーを作る。

 

 

 

以上、13本!

 

 

 

 

 

架空の上司と戦おう!

  

 

「融通」だの「柔軟性」だのとご高説を垂れるくせに当のテメエは柔軟性のかけらもなく独自の『仕事論』を押し付けそんな自分を棚に上げるばかりか「センス」というワードの頻出する説教を決まってこちらの業務が立て込んでいるときに始める本来なら誰からも好かれていない現実を一番の「課題」として認識し解決に尽力すべき尊敬強制搾取型の餓鬼道に堕ちた生乾き臭い服しか着ないオッサンは、僕の歯茎に剃刀の刃が隠してある理由について熟考してろバカ!

 

 

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Where is my mind? Here!

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※今回の内容には映画『ノック・ノック』のネタバレが含まれております

 

 

 

心に不安の種があると映画や小説をうまく咀嚼できない、ということはこれまでにも何度も言ってきたのだけど、僕はもうここ数年ずっとそれだ。頭も感情も物語についていけないまま、一向に良くならない。それでも観たいし読みたい。なんなら自分でも考えたりしたい。なのにうまくいかない。注意も散漫でジッとしていられない。どうしようもない。

 

 

 

 

 

 

去る土曜にオフ会をした。サシ飲みだった。メインで使用しているTwitterアカウントを作ってかれこれ5年経つが、その方のことは初期からフォローしていたので、Twitter上での付き合いも5年ということになる。雨の赤羽で落ち合った僕らは、そのまま駅前の鳥貴族に入った。いい感じの店を開拓するのもアリだけど、なんかちょっと怖いからとの理由が一致したのだった。サシ飲みという状況に緊張しながらも、結局その夜は5時間も飲んだ。ダイエットを始めたての僕は久しぶりにビールを飲み、いい気分で帰宅。帰りの電車を間違えた。

 

 

つい先日『ノック・ノック』を観た。「家族思いのよきパパ」であるキアヌ・リーヴスが、ひとり過ごしていた雨の夜に突然現れた見知らぬ若い女二人といろいろあって3Pしてしまう。翌朝目が覚めると台所を散らかしながらはしゃぐ二人の女。彼女たちは帰る素振りを一向に見せず、彼の生活を蝕んでいく……という話だ。

 

 

サシ飲みしたその方は、Twitterで「怨念マン」と名乗っており、誰もが胸のうちに抱きつつもその表出を躊躇しがちな言葉を真摯に吐き出し続けている。その揺るぎなき一貫性。筋の通った方に違いないと思っていた。会って早々、怨念マンさんは鞄から袋を取り出した。「もうお持ちでしたら申し訳ないんですけど」と彼が差し出してくれたのは一冊のアメコミ。

え!!!

僕は愕然とした。それは『パニッシャー MAX:ビギニング』の邦訳本だったのだ。

  

 

アメコミヒーローの中でパニッシャーが一番好きな僕は、この邦訳本も必ず買おうと決意したまま、なにもせず漫然と日々を過ごしていたのだ。忘れたころに、まさかこのような形で手に入れられるとは思ってもみなかった。完璧なタイミング、完璧なチョイス。身震いした。自分はいまとんでもない男と対面している。鞄の中に財布とレシートとゴミしか入っていない自分が恥ずかしかった。

 

 

『ノック・ノック』を観終わった僕は、手元にあるメモを見返してみた。冒頭でも書いたように僕はここ数年物語に集中することが非常に難しい状態なのだけど、せめて映画から受けた着想をメモしようと、ノートとペンを傍らにおいて鑑賞している。趣味である創作活動にも役立てたいからだ。そのノートには「うるさい」「死ね」「はやく終われ」の文字が何重にも書き殴られていた。

 

 

怨念マンさんとは簡単な身の上話から映画、アメコミ、学生時代のちょっとエモい話などをした。エモい話というのは、その対象への隠しようのない憧憬が必須なのだけど、僕と怨念マンさんの「そうあってほしかった学生生活」と「振り返ってみれば意外と輝いて見えるあの一瞬」観が一致したのかもしれない。僕は人の学生生活の思い出話を聞いて胸をキュッとさせるミュータントなので、しみじみその時間に耳を潜めた。私服でニーハイを履く女はヴィランだし、友人の活躍はちゃんと嬉しいのである。

 

 

『ノック・ノック』を許せない。我が胸の裡にヒエッ、と思いつつも、僕はまだイライラしていて、口元を何度も手で拭った。うっすら髭が生えてきていた。ちょうどむしゃくしゃしていた時期だったことも影響しているのかもしれない。いや、そもそもちっとも趣味じゃない。よりにもよってなんでこんな気分にならなければならないんだ。

 

 

怨念マンさんは、僕がネットにあげている自作小説を褒めてくれた。読んでくれていたのだ。まあまあ長いのもあるに……。そのときの僕はなぜ人が醜い行いに手を染めてまで偉くなりたがるのか、その片鱗をみた気がした。褒めてほしいのだ。承認欲求という言葉が選別なく蔑視されつつある昨今、日頃の生活で小銭のように承認を貯めていけるのであれば僕だって小説を書きこそすれども、ネットに上げるようなことはしなかったはずだ。イレギュラーな方法じゃなきゃ得られそうもないからそう選択したのだ。そんな僕のへの温かなレスポンスに出会え、心から嬉しかった。

 

 

なにが一番不愉快だったかを考えたとき、ルイスの件は絶対に見過ごせない。過去に訳あり的なほのめかしも鬱陶しい。あいつらはいじめっこだ。村上龍の小説『半島を出よ』 で、福岡を占拠した北朝鮮のコマンドに対しイシハラが堂々と宣言した言葉が脳裏をよぎる。こいつらは敵だ。

 

 

怨念マンさんにいただいた『パニッシャー MAX:ビギニング』を読んだ。年老いパニッシャーを政府が暗殺者としてスカウトするという物語だ。僕の愛してやまない映画『パニッシャー:ウォー・ゾーン』に大きな影響を与えているという情報は得ていたが、序盤のパーティー襲撃や、鉄柵に突き刺した敵を真上から踏み抜くという暴力描写まで引用されていた。燃え尽きることのない怒りに囚われた男フランク・キャッスルの向かうところはすべてが阿修羅道。だから彼は先に言う。「逃げろ」。痺れるぜ。

 

 

僕は『ノック・ノック』に言ってやりたい。「逃げろ」。悔しかったのでマイリストから速攻で削除してやったぜ。この怒りを糧になにか楽しいことをしてやる。絶対にしてやるぞ。僕はいま泣いているのです。どうしたらいい?どうすれば。まず泣き止むべきだ。それからなにかを食べるべきだ。しっかり睡眠もとる。暖かくする。運動をする。清潔でいる。それでもだめなら相談する。どの策も怠るな。敵は多い。尽きることもない。

 

 

怨念マンさんとの飲み会はとても楽しかった。精神衛生の向上をハッキリ覚えた。彼だってままならない日々を生きているのだ。しんどい現実をひとりじっと見つめるのはよくない。劇場で観る映画のように、他者の気配に助けられることもあるのだと思う。それを忘れないように、ここに書いておく。背景タイラー・ダーデン様。僕はジャックの『ノック・ノック』に激怒し、無様な人生の継続を誓った灰色の脳です。

 

 

 

 

 

P.S.

現在構想中の短編は「クラウドファンディング池松壮亮をぶっ飛ばす映画の制作費を集める中条あやみファン」の話です!よろしくお願いします!

 

 

 

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