MidnightInvincibleChildren

今週短歌(1/21〜1/27)

 

 

 

ため息を浴びたパソコン構われずやがてうっすら顔色翳り

 

 

丸まる背伸ばして気づく壁のシミもう続きのない家系図みたいで

 

 

長押しで全消しされた我が願い よかったとっくにツイートしてて

 

 

億劫と戯れ飽きた三十路前 また自慰行為に二時間かけて

 

 

インスタで見つけた画像触れたくて指紋で汚れたハートの点滅

 


つゆだくの窓のひかりのつぶどもが配信ドラマをきらきら邪魔する

 


中学生らしきカップル手をつなぎ互いの太ももさするはスタバ

 

 

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2018年公開映画ベスト&色んな賞

 

 

【2018年公開映画ベスト10】

 

 1位 スリー・ビルボード

 2位 ミッション:インポッシブル フォールアウト

 3位 ビューティフル・デイ

 4位 イコライザー

 5位 来る

 6位 ウインド・リバー

 7位 search/サーチ

 8位 ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

 9位 オーシャンズ

 10位 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

 

 

 

 

ベスト10選評

 

10位:『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

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当初から示されていたラスボス・サノスの本格的な登場&大暴れが炸裂する今作。地球と宇宙両方で繰り広げられる死闘それぞれの異常に高いクオリティと、「ついにこんなところまできてしまった」という感慨の深さ。MCUというエンターテイメントのパワーを再々再度強く実感した今年の一本。こんなに苦いお祭りもない。はやく『エンドゲーム』を!

 

 

 

9位:『オーシャンズ8』

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最高の服を着て歩く。それがどれだけ楽しいことか。このシリーズに共通するヘラヘラとしたノリも健在で嬉しい。助っ人のテキトーな登場など、肩の力が抜けていて、それでいて決めてくるところが本当ににくい。

 

 

 

8位:『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

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麻薬王の娘イザベルを演じたイザベラ・モナーの存在力と、メキシコのチンピラ集団に届いたブラックホークの轟音に痺れた一本。境界線の向こう側を絶対に見届けたい。 

 

 

 

7位:『search/サーチ』

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カーソルの点滅で示す逡巡。投稿されずに消された言葉。膨大な情報からすくいとる小さな真実。絶対に娘を諦めない父親のクリックに涙。

 

 

 

6位:『ウインド・リバー

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極寒の地で死んでいく少女たち。突発的で乾いた銃撃戦。閉じ込められた呪詛。アベンジャーズがサノスと戦っている間、ホークアイは保留地でハンターをやっていました。

 

 

 

5位:『来る』

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中島哲也の新作かよ~と思っていた僕に、豪速球の除霊エンターテイメントをぶつけてきた今作。日本最強の霊能者・比嘉琴子を演じた松たか子のかっこよさに始まり、 沖縄から上京するユタ軍団、新幹線にのってあらわれたスーツ姿の男達、女子高生巫女sに隻腕の柴田理恵など、霊能者版『スモーキン・エース』化してからはもう興奮の坩堝。原作を楽しく読んだ僕でも「かかってこいやぼぎわん!」と拳を強く握りしめずにはいられない。ストレスを抱えた妻夫木聡が居酒屋の店員に怒鳴りつけたシーンで居酒屋店員がすぐ臨戦態勢に入るなどの中島哲也っぽい世界観は相変わらずですが、ぜひとも『ずうのめ人形』もよろしくお願いいたします!

 

 

 

4位:『イコライザー2』

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 今回もロバート・マッコールが心優しき異常者としてちゃんと描かれていたので良かったです。笑顔でピストルを撃つ真似をするシーンのあの恐ろしさは、ロバート・マッコール以外の誰に出せましょう?

 

 

 

3位:『ビューティフル・デイ

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なんか『ドライヴ』っぽい!と思って楽しんだ一本。PTSDの症状としてフラッシュバックされるだけの過去など、無駄を削ぎ落とした演出のさなかふと現れる、予想外のエモーション。

  

 

 

2位:『ミッション:インポッシブル フォールアウト』

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トム・クルーズがまたやべえことやってるぞ!で映画館に向かう体験の豊かさ。トイレ大破の肉弾戦。パリ市内のバイクチェイス。ロンドン全力疾走。ヘリ宙吊り&操縦と書き起こしきれないサービス精神。向こうが全力でやってくれてるんだから、こっちも全力で楽しみに参ります。という今後への誓いを立てた一本。

 

 

 

1位:『スリー・ビルボード

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今年は完全にこの映画にやられた一年でした。あれやこれや思い出すと同時に、こんな話がつくれたらなあなどとぼーっと考えてしまうなど、一年を通して費やされた時間が最も長かった一本。ほんとうに許せないと一度でも思った人間であんなにも泣かされるとは。あのラストの塩梅も非常に好き。この世界に対して「怒るな」なんてとても言えないけど、怒りだけじゃ絶対に足りないのだ。

 

 

 

 

色んな賞

 

 

【ベストガール賞】

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』より

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イザベラ・レイエスイザベラ・モナー) 

メキシコの齋藤飛鳥って感じでいいですね。

 

 

【ベスト無職賞】

『ヴェノム』より

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エディ・ブロック(トム・ハーディ) 

物語開始早々クビになって時間ができたからこそ、ヴェノムとの交流の時間を設けることができたのだと思います。

 

 

 

【結局誰だかわからなかった賞】

 

ミッション:インポッシブル フォールアウト』より

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トイレの男(リャン・ヤン) 

どうしてあんなに強いのよ。

 

 

 

【ベスト楽曲賞】

 

『ヘレディタリー/継承』より

www.youtube.com

『Both Sides Now』(Judy Collins)

歌詞の意味が響いてくるのもさることながら

どこか抜けの良さがある良い選曲だと思います。

 

 

 

【ベストアバンタイトル賞】

 

ミッション:インポッシブル フォールアウト』より

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テッテレ~。

 

 

 

 

【ベスト・スタンドオフ賞】

 

ウインド・リバー』より

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 火災報知機を見たときに押した自分を想像してヒヤッとするようなあの嫌な緊張感と、その崩壊を望む不謹慎な衝動が入り交じり、思わず呼吸を忘れてしまいました。

 

 

 

【ベストTバック賞】

 

ウインド・リバー』より

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ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン

キャラの説明にもなっているナイスなTバックでした。 

 

 

 

 

 

~総評~

今年はワーストだと感じるような作品には特に出会いませんでした。嫌いであろうと予想される映画にはなから近づかなくなったからかもしれません。

しかしさらによく考えてみれば、楽しんだ映画でさえ、詳細が記憶からこぼれ落ちていっているような感覚があります。ベスト10は選出しましたが、今年は例年にもまして心ここにあらずといった状態が続いていたようです。心配です。

日々、僕自身から数少ない豊かさが滲みでて乾いてこぼれ落ちていきます。あまり気張らず、来年も映画と好きな様に接していきたいと思います。

 

 

 

 

 

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『イコライザー2』/リアルサウンド映画部さん、試写状ありがとうございました

 

イコライザー2』の試写状が当たったので早速観てきた。

 

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観ている間、日常で不安に思っていることなどが意識に忍び込んでくることもなく2時間ずっと楽しかった。それこそ鑑賞中に「あれ?いまんとこまだ余計な心配事で映画に集中できていない、みたいなことが起こっていない。いまこうやって意識的に確認しても画面で起こっていることのほうが重要だと思えているし、早くその先を知りたいという衝動が最優先されている、こんなふうに映画に釘付けになるのはいつぶりだろう?それこそ隣のおばあちゃんがなぜか口呼吸で、その口臭がけっこうキツイのだけど、よくよく観てみると映画に釘付けで口が開いてしまっているんだ、なんだ僕と一緒じゃないか、よかった、この口臭もちょっと嬉しくなってきた、あんぐり口が開いてしまっているのだ、あんぐり口が開いてしまう経験なんてそうそうできるもんじゃないだろうに、つまり『イコライザー2』を鑑賞できているこの瞬間の喜びがより増しただけにすぎない、期待しすぎてちょっと不安、とか思っていた自分もいたのに、開始早々、悪党にあの分厚い拳を叩きつけるロバート・マッコールを観てその迷いのない演出に破顔したし、直後に訪れる死臭すら感じさせない静寂と、その静寂のなか佇むロバート・マッコールの画を絶対に忘れない点からも伝わるアントワン・フークア監督の強い気持ち・強い愛に僕は全身の余計な力を抜くことに何の迷いもなくなったのだ、そこにいるのはイコライザー、ロバート・マッコール、そこに君臨した、いや、降臨したかのような圧倒的な存在感、目撃してしまったというこちらの戸惑いをものともせず、迷いない言葉で悪党に語りかける。

 

選択しろ。

 

選択するのは悪に手を染めたやつらのほうなのだ。その頑なで真っ直ぐな姿勢にこちらはもう、ただただその結果を見届けるだけ、介入なんておこがましい、ロバート・マッコールがやってきたのだ。ロバート・マッコールがやってくるだけのことを、してしまったのだから。お前が見るのはあの深淵のような瞳だ、そこに映っているのはなんだ?選択したお前自身の顔だ。それ以外にはなにもない。

 

選択しろ。

 

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★★★★★

 

本当に最高で、最高であることが嬉しかった。

 

試写会って、一回しか上映してくれないの?」と思ってしまったほどだ。

 

また観ます。

 

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BANG!BANG!晩秋

 

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AV男優の箸の持ち方がどうしても気になって、動画を一時停止させて注意深く確認しているうちにWi-Fiの接続が切れ、ディスプレイの中心で小さな円がくるくる回り、再接続するのも面倒で、そのままパソコンごと電源を落としました。もう秋です。

 

Netflixオリジナルの『オザークへようこそ』というドラマがあり、そのシーズン2が配信されたので全話鑑賞。メキシコ麻薬カルテル資金洗浄係をしていた会計士が、同僚の裏切りによってカルテルの怒りを買い、殺されない条件としてとんでもない額のマネーロンダリングを期限付きで請け負うという話。ジェイソン・ベイトマン演じるこの会計士だが、妻と二人の子供がいるので、一家揃ってシカゴからオザークというど田舎まで避難し、家族総出で資金洗浄に勤しむのだが、これまたわんこそばのようにトラブルが舞い込むので鑑賞も止まらない。ものすごく忙しかった日はあっという間に一日が終わってしまうように、全10話がすぐだった。麻薬カルテルは怖い。『ベター・コール・ソウル』シーズン4も観なきゃ。

 

世の中、面白いコンテンツが大量にあり、かつ簡単にアクセスできてしまうのでほんとうに困る。

 

前も書いたようにポケモンカードにハマっているのですが、カードの生産とトレーナーたちの欲望がどうにも釣り合っていないらしく、近隣の店を回っても目的のパックにありつけないなんてことがザラなので、どうしたもんかなと思っていると、職場のネット通の人が「2ヶ月先にやばいパックが発売されます。でも、すでに予約できません」とか言い出し、もうなにもかも嫌になってきました。

 

適度な刺激が続かないと、大概の欲望はひとりでに燃え尽きてしまうのかもしれない。鉄は熱いうちに打て。シコり始めたらさっさと出せ。欲望があるうちが華なのよ。僕の頭のなかで広瀬すずがそう言っています。

 

逆に、これには触れなくてもいいと判断がつくような事前情報があるとありがたいような気がする。「福田雄一監督」とか、「サンマーク出版」とか、そういう情報には何度も助けられてきました。これを逆手に取って、あえて我慢しておきたいものに「福田雄一監督」とか「サンマーク出版」などと足しておけば、一時の激しい欲望を一旦封じ込めることができるのかもしれません。

 

 

ポケモンカードイクラスパック「GXウルトラシャイニー」(福田雄一監督)

ポケモンカードイクラスパック「GXウルトラシャイニー」(サンマーク出版

 

 

でも欲しいものは欲しいのです。

 

僕はいまポケモンカードイクラスパック「GXウルトラシャイニー」という11月発売予定のパックがめちゃくちゃ欲しい。ネット予約はどこも全滅。Amazonだと定価の2倍以上の値段で売りに出されている始末。まだ9月なのに。頑張ってポケモンカード取扱店に問い合わせれば、まれに予約することができるとネットには書いてあるが、季節の変わり目、僕はとても疲れてしまいました。どうせ転売目的のしょうもねえやつらが買い占めているので、ここは公式さんが大量に追加生産して、しょうもねえやつらを全員泣かしてほしい。

 

僕はただ、近所の団地に集まってみんなで遊んでいたときのように、ポケモンカードに触れていたいだけなのです。しかし結局は財力がモノを言う。財力財力財力。ここでもまた退屈な約束事に縛られて、うんざりです。

 

 

・『ポケモンカードやめます』(福田雄一監督)

・『ポケモンカードをやめたら人生うまくいった』(サンマーク出版

 

 

 

すべてを手に入れたかのように見えた買い占め転売野郎どもが、最後の最後、脳裏に思い浮かべるのは、きっと「塗装の剥がれたラッキーのコイン」なのだと思います。

 

 

 

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15年ぶりにポケモンカードにハマりました

 

 

職場の人に誘われてポケモンカードを始めたらハマってしまった。

 

職場の人とは基本的に恋バナ以外で交流を持ちたくないとか思っていたのだけど、ポケモンカードはハマった。というのも、僕は小学生のころにポケモンカードをがっつりやっていた時期があったからだ。

 

僕の家のすぐ向かいに建っているアパートにHという同級生が住んでいた。Hはポケモン以外の娯楽をほぼ禁じられていた男で、彼の家にはポケモンカードが山のようにあった。彼には歳の離れた兄がおり、僕らが小学校中学年くらいのころにはすでに高校生だったその人もポケモンマスターだった。カードを几帳面にコレクションし、日々デッキの鍛錬に余念のない男だったのを記憶している。当時小学生だった僕だが、この男はただもんじゃないなという空気だけははっきり感じ取っていて、Hと遊びつつ、その兄が学校から帰ってくると少しだけ緊張したものだった。そんな兄に日々鍛えられていたH。しかし特別カードバトルが強いというわけではなかった。才能云々の話なんかしたくない。Hはたぶん、優しすぎたのだ。

 

僕の部屋の窓がHのアパートに面している側についていたことから、互いにカーテンの開き具合などから判断してよく遊んだ。夏休みなんて毎日バトル三昧だった。近所に公営団地があって、そこにも多くの同級生がいたことから、よく遊戯王カードなどをもって遊びに行っていた。でもポケモンカードにまで手を出したのはHとHに誘われた僕くらいだったので、ポケモンカードはHとしかバトルしなかった。

 

Hは現在音信不通だ。

 

15年という歳月は、そういうことが起こる余地を十分にもっていた。

 

ポケモンカードを再開するにも、昔のカードがどこにあるのかなんてわからない。新しいカードを揃え、デッキを作る必要がある。そんな懸念を抱いていた僕だったが、なんといまではタイプ別のデッキがワンコインで買えるのだ。

 

www.pokemon-card.com

 

僕は闘タイプのデッキを選択した。

 

 

ゲーム版のポケモンは『金/銀』で止まっているので、ルガルガンなんてポケモンは知らないし、GXという概念も僕がやっていた当時のポケモンカードにはなかった。新しいことを始めるのはいつだって怖い。でも、進まなければ。

 

いざバトルのルールなどを振り返ってみる。いまはスマホでなんでも調べられるので、ローカルルールのようなものが生まれにくいんだろうなとかちょっとだけ思った。

 

www.youtube.com

 

GXとは「1バトルに1回だけ使える強力な技を持ったポケモン」のことだった。

 

そんなこんなで数回のバトルを経験し、なんとなく当時の勘も思い出してきたあたりでちがう目的が生まれる。デッキを強化したい。もっといいカードがほしい。じゃあどうすればいいのか。手に入れるしかない。

 

他のポケモントレーナーたちに話を聞いてみると、みんなそれぞれの方法でデッキの強化を図っていた。ある者は同タイプのGXスタートデッキを2つ買い、ポケモンやエネルギーカードの配分を変更したオリジナルブレンド・デッキを組み立てていた。またある者は拡張パックに手を出していた。拡張パックとは、1パックあたり5枚~のカードがランダムで入っているものだ。

 

www.pokemon-card.com

 

そんなものに手を出してしまったら、目的のカードが出るまで購入を止められなくなってしまうのは目に見えていた。それでも僕はホビーショップに赴き、なんの考えもなしに店頭で目に入った拡張パックを購入した。闘タイプデッキで無双する、未来の自分を夢想しながら。

 

そして運命的な出会いを果たす。

 

マーシャドーGX」を手に入れたのだ。

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そもそもマーシャドーというポケモンを僕は知らなかったのだけど、闘タイプでGXでしかもたねポケモン(進化が必要なく、即戦力となるポケモンのことをそう呼びます)であるマーシャドー。早速デッキに加えてみる。ルールから60枚で構成されていることに変わりはなかったというのに、デッキの厚みが増した気がした。

 

いざバトルで活躍させてみると、その使い勝手の良さにマーシャドーへの愛着も増す。GXにしてはHPが低めなのが玉に瑕だけど、これだけ活躍してくれているマーシャドーにそんなこと思う必要があるのだろうか。僕が戦法をしっかり練ればいいだけの話。我がデッキに入ってくれてありがとう。いまはもうそれだけだ。

 

バトルの最中にその魅力に気づくカードも多々ある。GXスタートデッキに最初から入っているスタジアムカード「せせらぎの丘」なんてまさにそれだ。闘タイプと水タイプデッキにとってこんなにも都合のいいスタジアムカードもない。

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そんな「せせらぎの丘」とコンボで出したいポケモンソルロック

 

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例によってこのポケモンを僕は知らなかったが、場にスタジアムカードが出ていれば、エネルギーカード1枚だけで相手に40ダメージを与えることができる。こういった技を使うと、自分が利口になったような気になれて楽しい。

 

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一見、愛嬌だけで一定のポジションを得たようなやつに思えるヌイコグマ。GXスタートデッキに最初から入っていた。しかも数枚。愛嬌だけでなんとかなっているやつを見るのが嫌いだ。そう思っていた僕だったが、ヌイコグマは恐るべき進化を見せる。

 

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キテルグマ。相変わらず見た目は愛らしいままだが、その実力はモンスターの名に恥じぬ怪物っぷり。炎タイプ以外からの攻撃は➖30されるのがデフォルトという防御特性から、恐るべき破壊力を有した技まで飛び出す闘タイプデッキのキーポケモンだ。否定ばかりじゃ人もポケモンも成長しない。褒めそやすことで圧倒的なパワーを見せる者も世の中にはいるのだ。ヌイコグマの化け方から、僕は世の摂理を見た。

 

 

そんなこんなでポケモンカードを楽しんでいる。楽しみだすと、あれもこれもと気持ちが湧いてくる。「せっかくのデッキを専用のケースに入れたい」とか、「カード一枚一枚をスリーブに入れて保護したい」などだ。もちろん公式サイトを眺めれば、それらのグッズも充実していることがわかる。でも僕はもう少し、ストリートなスタイルでいたい。そんなワガママが僕を公式グッズから遠ざける。

 

僕は近所の100円ショップに向かった。そしてデッキケースとカードスリーブをそれぞれ購入。前々からその存在だけは認識していたので、いざ必要となると行動も早い。

 

写真はダイソーのカードスリーブ。上がちょっとだけ余るけど、幅はジャスト。

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さらにはメルカリでコイントス用のコインまで購入。ピカチュウかと思ったらピカチュウっぽい知らないポケモンメタモン系なんでしょうか。

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 そんなこんなで、僕はポケモントレーナーとしての長い道のりを再び歩き始めたのである。

 

 

 

デッキをシャッフルしていると、高確率でHのことが頭をよぎる。きっと彼は、いまも沖縄のどこかにいて、ポケモントレーナーとして納税していることだろう。そうであってほしい。じゃなきゃ困る。

 

僕はもう一度、Hとバトルがしたい。

 

きっといつかの夏と、同じにおいがする。

 

 

 

 

 

 

書き下ろし短編一覧(2024年1月20日更新)

 

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新年あけましておめでとうございます。無職は親戚の集まりに向かいます。

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人生の換気を行います。

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あるいは、その衝動。

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誰かがやるのを待ってちゃ、人生終わっちゃう気がするんです。

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焼肉は陰謀のはじまり──。

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サヨナラ。守ってばかりの自分。

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そうです先生。全員殺します。

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おれは無職。環奈のヒモ。もうひとりの「おれ」が現れ、愛の祈りが次元を超える。

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卒業間近の放課後。僕は学ランを探して校内を彷徨う──。

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雨音と独白。その刹那。

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気が向けば、世界の複雑さについて考えてみてもいい気がします。

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むしゃくしゃする!かかってこいよ!

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叶わぬ恋にはもう慣れたよ。飽きてるし。

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愛だっつってんの。四の五の言うな。

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お祓いできる人とか知ってたら、教えてよ。

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放蕩を続ける無職の親友、その残像に蝕まれていく「おれ」──。

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亜矢子ちゃん大好き大好き大好き……!

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圧縮された暴力と親愛。

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過労と混沌、ささやかな連帯。

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一着のジャケットがもたらす、予感に満ちた日々ときらめき。

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埼玉県北部にて繰り広げられる殺人、徒労、そして反撃……。

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ある労働者の独白と衝動。

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悪に支配された我が家に、大胆不敵な帰宅を試みる「わたし」──。

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愛のしるし』、そして──。

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あなたにできることをしてください。

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文芸部はかくかたりき。

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おれの吐く息はもう雲の上にある。

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最終回はたぶんこない。

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たーがしーじゃか?と彼。

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書き下ろし掌編:『Beat inside the bush』

 

 

 

須藤さんと飲むのが好き。好き好き。好きなの。うふふん。須藤さんは職場の先輩だった人。過去形なのは転職してしまったから。面接の際に、うちの職場の待遇のヤバさを不採用覚悟で愚痴ってみたら同情を買って親身になってもらえたとか話していた。須藤さんにはそういう気持ちのいい正直さがある。だからほぼ毎週飲んでる。てか、須藤さんの転職先はうちよりもずっと待遇がいいらしく、しょうじき羨ましい。か~。やだやだ。悔しいのでビールいいですか? あっし飲みますので。須藤さんも「どんどん飲みな飲みな痛風だけは気をつけな~」と言ってくれるので、うふふふふふ、じゃあもういっぱいだけ、中ジョッキで。須藤さんと飲むときは決まって割り勘だけど、転職してからは羽振りがいいので、いつもちょっと多めに出してくれる。ので、申し訳ない。いや、やっぱありがたい。マジ超好き!

 

みたいなテンションも近くに座る大学生軍団の大声にかき消される。でけえバッグ大量に並べてるところからしてテニサーか? テニサーだね。コールしてますね。コールしてるね、若いね若いね。声量やっば。みたいな感じで私たちが枝豆ほじくりながら話すのは、私の職場にいる安達健さんについて。新卒採用でうちの会社に入って数年、私よりもふたつ歳下だけどいまではマネージャー的ポジションについていて、休日は積極的に社長と食事とかゴルフに行ったりするような、そういうタイプの社員。まあ一言で説明できちゃうんだけどいまちょっと言葉出てこないので私は自分の手を重ね併せてすりすりすり……。背はそんなに高くないけど色白で髪が真っ黒で、実年齢よりもちょっと幼く見える。実年齢よりもちょっと幼く感じるのはなにも見た目だけの話じゃなく、未だに全然学生っぽい言動を見せるので、こっちもそんなに気をつかうことなく接することができるっちゃできる。といっても安達さんはたぶん家とかではネットばっかり見てるタイプの人っぽいので、ネット用語的な言葉が会話の端々で突然とびだしたりと、そういうノリはちょっと寒いと思うが、まあ、それはいま一旦置いておこう。大事なのは、今日出勤した彼の首に、赤いキスマークがついていたという点だ。

 

安達さんは違う部署で同い年の北川紗矢華ちゃんと付き合っているが、本人的にはそれを秘密にしているつもりみたい。でもみんな知ってる。私は朝の通勤時に、駅から職場までの道のりで前を歩くふたりが腕を組んでいるのを観たことがあったし、須藤さんは駅構内にあるカフェで二人がモーニングをとっているところを観たことがあるらしい。

 

私はいまの会社に転職して研修時に会ったときから北川紗矢華ちゃんのことが苦手だ。なんというか、彼女のなぞっている「女子」像が幼く感じるのだ。小学生のころいた、いじわるな子って感じで、物事や人に対していちいち現金なところがある。そういう振る舞いに義務感でも感じてるの? とすら思うときもある。

 

ちなみに北川さんは安達さんと違う部署なので、例のキスマークは安達さんと同じ部署の女達に対する牽制の意味もあるんじゃなくって? と須藤さんが言うのを聞いてなにかがいやに腑に落ちる。そもそも彼ピッピの首にキスマークって、マーキングだよね? ひえ~。うちのダーリンだっちゃ? あの女~! とゲラゲラ笑っていると心が急に罪悪感との均衡をとろうと働いたのか、私は自分の話を始める。

 

「でも気持ちはわかるんですよ。私も大学のころ付き合っていた彼氏にキスマークつけようとしたことありますもん」

 

「あ、そうそう。気持ちはね、私だってわかる。ただ百歩譲って学生ならね。仕事でそれするか~と思うんであって」と須藤さん。それですね~まさに。

 

「でもでも、私のとき、学生ですけど、彼氏は嫌がりましたよ。いやいや、首だと見えるじゃん。見せるためにやってるじゃんって。まあそりゃそうじゃん、と思いましたけどね。でも確かにあのときは彼氏の言うことが冷静でしたね。ダサいっすもんね。あぶね~」

 

「そうそう、もう見せつけが先に来てるから、彼氏も気分よくないんじゃないの? よっぽどおめでたくないかぎりは」

 

「ですよね。ってことはじゃあ、安達さんはおめでたいってことですね」

 

「そりゃ安達さんはおめでたいよ」

 

「かかか、あ、だってほら。まえ話したっけな。安達さん、自分が友達と飲んだときに撮った動画とか見せてくるんですよ。し、か、も! 見せる前に『おれの友達、マジでばかでさ~』みたいなこと言って! そう言われてから見せられるもの、だいたいリアクションに困らないですか?」

 

「わかる無理~」

 

「いや普通に若い男の子たちがギャハギャハ笑ってるだけのなに言ってるのかもわからない動画ですよ? 人に見せるものじゃないですって。しまえしまえ」

 

「安達さんね~、そこも学生っぽいよね、結局」

 

新しいビールが到着した。泡の涼しげな苦味で口の中を満たす。ジョッキの表面を覆う霜に、指先で丸を描いてみる。キスマークがダメなら、じゃあなんならいいのか、そもそもマーキングが必要なくなるにはどうすればいいのか? お酒が回って私も須藤さんも「あれ」とか「みたいな感じ」とか「なんとか」を多用するので、まったく話が深みを得ない。

 

はは、深みって。

 

深み、要るか? 要りません。だって話はぐるぐる迂回しながらもちゃんと進展し、私に大事な経験を思い出させてくれたから。脳の片隅に置きっぱにしていたものに、ようやく光が当てられたのです。わかる? 私はわかる。

 

愛のあるセックスについて。

 

私が口に出した途端、須藤さんは口を放した風船みたいに笑い始めるが、私は自分の発した言葉の響きにハッとして固まる。あ、あああ愛のあるセックス? ワオ~。素面だったら即死だった。

 

でも私は知っている。愛のあるセックスについて。だからこそ、ここで私は笑わなかった。この言葉の強度を信じられているから。

 

もちろんキスマークを残そうとしたような私だ。当時の彼氏とて、キスマークを断ったというだけで、ちょっとAVっぽい真似をしてみたいという提案なんかはわりとしてきて、私もまんざらじゃなかったので、エッチな下着をつけて相互オナニーとかした。穿いているパンツに射精もされた。私のことを笑っている須藤さんだが、本格的に奔放なのは須藤さんのほうだと私は思っている。最近いつセックスしました? と聞こうと思っていると、ふと須藤さんが神妙な顔で「私ね」と言った。

 

須藤さんは潮を吹けるタイプらしい。

 

潮吹きって痛いって聞くけど実際はどうなんだろう?

 

でもお気に入りのAV女優は潮吹きを売りにしているけど毎度「気持ちいい~!」と言いながら吹いているから、痛いなんて嘘なのかなと思っている。須藤さんにも聞いてみようかな。でもそれはちょっと違う気もする。いまは喉にストッパーがかかっていて、質問を投げられない。

 

私は潮を吹いたことはない。

 

「やっぱ潮吹くときって『イク~!』とか言うんですか?」

 

 という私の質問に、須藤さんは首を傾げる。

 

「え、でもあんまり『いく』とか言わなくない? キムは言う?」

 

いわれてみればそうか。「言わないっすね」

 

「いくときは基本黙ってるね」

 

「黙~……まあそうですね」

 

でも潮を吹くことが究極の絶頂というわけではない的なことを、以前どこかで読んだことがあるので、あまり悔しくはない。まあ比べることでもないのか。だってべつに潮は吹けなくていい。もちろん、わざわざ告白してくれた須藤さんの前では言わないけど。

 

だってね須藤さん。私一回だけあるんです。どうしても忘れられないことが。

 

ビールのジョッキについた霜がとけて水滴となり、私の描いた丸の上に一本の筋をつくっている。あれ、急に静かになって。ちょっと須藤さん、聞いてますか? ていうか起きてますか? 聞いてくださいよ。私、大学時代に彼氏とセックスして、一回だけ、もう二度とないんじゃないかってくらいめちゃくちゃ幸せで、絶頂のとき思わず叫んじゃったんですよ。どうしても伝えたくて。なんて言ったと思います?

 

優しい、って言いました。

 

その瞬間、テニサー軍団から爆発的哄笑が沸き起こり、私の言葉よりも優先的に須藤さんの鼓膜と脳がそっちに反応しちゃう。そんで私は須藤さんからサイパン土産であるリップクリームとハードロックカフェTシャツをもらった。めちゃくちゃ嬉しかったので「優しい~!」と一応言ってみたものの、須藤さんには私なりの文脈では伝わらなかったみたいです。

 

 

 

 

 

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書き下ろし掌編:『Midnight Invincible Chilldren』

 

うわ~終わった~。

定額制のアダルトサイトに登録したら最初の二週間は無料とのことだったので、その間にAV観まくって有料期間になる前に退会しようかな、へへへと目論んでいたぼくはここにきてあろうことか恋をした。企画物の女優さん。名前がわからない。なんかソファーに座って軽くインタビューを受けているシーンでは「あき」って名乗っているけど、名字は何なのか、仮に名字はないとして、「あき」がひらがな表記でいいのかカタカナなのか、漢字だとしたらどう書くのか、もしかすると「AKI」かもしれない。はあ~? どう検索すればこの女優さんの他の作品ディグれるの? ぼくはブックマークから企画モノなどに出演している素人系女優の名前を検索する専門のサイトを開いた。作品名ならわかっている。それを打ち込んで出てきた情報をしらみつぶしにしていくと、どうもぼくの観た作品は長く続いている人気シリーズの総集編だったらしく、お目当ての女優さんは本来そのシリーズのVol.18に出演しているとのこと。じゃあVol.18で検索。出演者、の、名、前……出た! あれ? 計六名の女優さんが出演している作品なのだが、出てきたのは五名分の名前だけで、まあ六分の五ならたどり着けるだろうとひとりひとりをググッて画像で顔を確認していく。違う、違う、違う……ときてあれえこれもしかしていなくない? ぼくがのけぞると安もんのワーキングチェアがぎいいっと騒ぐ。よりにもよって六分の一で情報のない女優さんに恋をしてしまうなんて。さらに不幸は重なる。無料期間は残り一日なのだ……という意味での「終わった~」でした。

 

いや、始まってもねえわ。

坂本にLINEする。

 

 

〈最近のAV女優さんに詳しい?〉 既読

 

 

《なんで急に笑》

 

 

なんでいつも笑ってんだこいつは。まあいいか。

 

 

〈企画物に出ている人なんだけど名前が出ないの。専門の検索サイトにもなかった。協力おねがいです〉 既読

〈商品ページURL〉 既読

 

 

《この中のだれ?》

 

 

と質問されてぼくはためらう。

例えば恋バナをしていたとして、だれが好きなの? と聞かれて即答できるタイプの人間じゃないのである。「あき」って人はどちらかというと顔が丸くて鼻も丸くてちょっと垢抜けない感じの女優さんだ。もちろんそこが超可愛いのだが、ほかの人がどう思うのかはちょっと気になるところだ。というのもぼくは高校のころの「オススメAV女優を発表しあう会」にて、ガチな熟女系の女優を発表し、場を困惑させた前科があるのだ。また思い出しちゃった。みんな高校生で臆病だったってのもあるだろうけど、露骨なほど狼狽した面々にたいへんなショックを受けたのだ。そのときの心の傷は、いまだ滲出液でてらてらしているというのに……。

 

なんて怯えているぼくの返信を待たずに、坂本からURLが送られてくる。

 

 

《検索したら5人出てきた。この中にいる?》

 

 

そこには、さっきのぼくがたどり着いた五名と同じ名が並んでいた。

 

 

〈おれもそこまでは調べられたんだけど、5人の中にいないの泣〉 既読

 

 

《まじか。おけ》

《ちょっとまって》

 

 

頼もしい。

もうちょっと自分でも調べてみるかと、再度あらゆる検索ワードを捻出していると、LINEがくる。

が、坂本じゃない。

加藤。

うわ、久しぶり。高校卒業して最初の夏に会った以来じゃないっけ?

 

 

《藤沼ゆうじゃない?》

 

 

加藤の文面を長押しして検索する。藤沼ゆう。いや美人だけどこういうタイプの顔じゃないんだよなあ……。もっと味のある顔なのだ。っていうか坂本のやつ、加藤にも連絡したのか。うお~、ちょっと恥ずかしいけど懐かしい~。っていうかいまふと気づいたが、ぼくは彼女がインタビューシーンで「あき」と名乗っていたことを先に伝えるべきだ。早速坂本と加藤にそのことを送信。

 

 

《なるほど》

 

 

《了解》

 

 

頼もしい二人です。と思っていると三人目からのLINE。

 

 

《キカ単女優の場合、名前が複数あったりするからなあ。月本希美は?》

 

 

誰やねん。

LINEの登録名も「たー」だし。ぼくは一応、月本希美で検索する。顔を見た限り……。

ぼくはまた背もたれをぎいぎい鳴らす。どうしてこんなにも遠いんだ。

 

 

〈ありがとう。でも違うみたいです…〉

 

 

念のため敬語……。既読がつくのを確認するまえに坂本に質問を飛ばす。

 

 

〈たーって誰?〉 既読

 

 

《あれ? 久留米だよ。知らない?》

 

 

え! 

マジか! 

久留米嵩!

懐かしい~。LINEやってたんだ。もっと早く知りたかったなあ。ぼくは束の間、スマホの画面を眺めながら胸の内側でたっぷりふくらんだ郷愁にひたる。背もたれをぎっこぎっこ鳴らしながらイスを回転させ、すぐそばの窓に向き直る。夜気にのって虫の声が届く。月ははっきり光を放ち、周囲の雲を浮かび上がらせている。坂本とは定期的に連絡をとっているとはいえ、加藤に久留米と、ちょっとした同窓会のような気分になったぼくは久留米に話しかけてみる。

 

 

〈ていうか久しぶり。元気? おれは元気~〉 既読

 

 

《だろうね。久しぶり~~~》

 

 

〈久々に話すのがこんな内容ですまぬ〉 既読

 

 

《まあ大事なことだから》

 

 

……痛み入る。

それから「あき」さんそっちのけでぼくは久留米と近況報告をしあう。彼女できた? できてない。大学どう? 夏休みどうすんの? などと話していると、加藤から上原亜衣とのLINE。はあ~? なに急にやる気なくしてんのこの人~、ってかまあいいのかやる気なんてなくたって。ここまで付き合ってくれただけで、ぼくは嬉しいんだもの。

 

で、結局ぼくはこの四人でグループを作る。みんなで夏休みの予定を出し合い、帰省のタイミングを調整してどこかで四人集まれたらいいねと話している。他にだれ帰ってくるのかな。クラス会とか企画しないのかな、などと話していると、急に加藤が《花火!》といいだし、一枚の写真を上げた。

 

写り込んだ民家の屋根らしきものがちょうど夜空を四角に切り取っているその写真には、星空に伸びた花火の軌跡が、重なり合い、消えかけていた。

 

ぼくはAV女優を五十音順にリストアップしたサイトに並ぶ女優の顔と名前を流し見ている。レーベルごとに区分けできるので、ぼくは「あき」さんの出演している作品のレーベル名を打ち込み、出演女優一覧をぼんやりと眺めた。そのサイトには女優さんのプロフィールとして、スリーサイズとバストのカップまで表記されている。ふと思い出してみるに、「あき」さんの胸は比較的小ぶりな印象であり、特筆すべきポイントはあのパンと張ったお尻なわけで、そのあたりも念頭に置きつつ画面をスクロールしていく。

 

その中にひとり、愛らしい鼻をした女の人を見つけた。バストサイズは八十のD。うお。マジか。ぼくは手元にあった紙のはしにボールペンで「宮崎あき」とメモする。その他にも別名義として「白石きき」とか「忽那りな」などの名前もある。名字と下の名が、ぜんぶ脚韻を踏んでいるな。別タブで出演作品一覧も開く。あ、少ない……し、早々にアナルを解禁している、というか、それが引退作品らしい。ぼくはアナルプレイにはそんなに興味がないし、この待遇はちょっと納得がいかない。

 

でもぼくの納得に関係なく、世界は進み続けるのだ。

 

無数の暴力がいま、いま、いま、いまこの瞬間にだって誕生し、その結果をもたらしている。結果は派生し、新たな流れを生む。無数の文脈が世界に張り巡らされ、この星、なんなら宇宙にまで影響を及ぼす小さな種に、また水を与えるのだ。

 

ぼくは切なくなる。でも少しだけだ。ここで少しなのは、すべてを理解するにはぼくの心や頭の出来が脆弱すぎるからなのだろう。せめてもの願いは、和姦だ。いやらしかろうと、そこに愛があれば、どれだけいいか。もうすでに引退しているっぽい彼女の、和姦系の作品を支持し続けよう。ぼくのその選択により、また新たな未来が、止めようもなかった悪しきレールを外れ、光の道をつくるかもしれない──。

 

洗面台で手を洗い、ベッドで横になりながらスマホをいじる。「あき」さんのことは、坂本たちには内緒にしておこう。ぼくはもう無料期間の終了にも戸惑わない。

 

あのころと同じにおいがする。

 

ちょっと目を離していた隙に、三人は「サッカー部・野球部のイケイケメンバーが帰省時にペンションを借りて乱交パーティーを開催するらしい」「女子は誰々集まるのか」「それは本当に合意の上なのか」「お酒を飲ませて行為に及べば準強姦にあたる」「準強姦は、強姦のソフトなやつという意味ではなく、罪の重さ的には同じ、れっきとした凶悪犯罪」「じいちゃんのマニュアル車なら出せる」「マニュアル車は久留米しか運転できないので、ドライバーは久留米」という話をしていた。そして、いくつもの《どうする?》スマホ画面に並んだまま会話が止まっている。

 

あ、ぼくの意見を待ってくれているのだ。

 

おいおいマジか。ぼくは思う。いつまで高校時代のマインドを引きずってるんだっての、こいつらは。どうするったってそんな。ぼくはスマホで時計を見る。え! もう2時半。時間こえ~。

 

 

 

そりゃ行きますよ。

 

 

全員ぶっ殺そうぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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書き下ろし掌編:『ウキウキ、キックミーアップ!』

 

 

眠れぬ夜をこえて迎えた朝に、俺は思う。眠すぎる。これ以外思いようがないので、ベッドから降り立ったさいの、ぺたりとした足の裏の感触や、背中一面を覆う鈍重な後ろめたさに気分をかすかに上下させつつ、カーテンを開け、朝陽を浴びた。するとどうだろう。これは合図だ、と言わんばかりに頭が冴えてきて、冴えたら冴えたでもうなにもかもが嫌になって、そのなにもかも、例えば今日一日にやるべきこと……というかやっておいたほうがいいこと、例えばなんの気なしに触れた乳首に生えている硬い毛を抜くとか、まあその程度のことなんだけど、ってことはなんだ? 俺はべつになすべきことなどほとんどもたないのである。仕事してないし。ならばなぜ早く起きたのかというと、睡魔を上回る飢餓感に襲われたからだ。そもそも空腹だったから眠れなかったのかもしれないし、だったら今日は腹いっぱいにものを食べ、爆睡してやろう。後のことはもう知らない。たっぷり睡眠をとった、未来の自分に任せます。そう決めてしまえば、途端にこの一日が輝かしいものに見えてきた。いまからアイスコーヒーでも飲んで、なすべきことを探そう。俺は自由で、自由は無敵だ。誰でもいいからかかってこい。

 

その意気込みが態度に現れていたのか、散歩がてら立ち寄ったコンビニでニッカボッカを穿いた赤ん坊のように小さな目をした男に舌打ちされた。道を塞いでいたからだと思う。確かにこちらが悪い。でも、態度が不快だ。頭に血が上ったままおりてこない。殺してえ。こんなことならもっとちゃんと眠っていればよかった。おさまらない怒りも睡眠不足が原因なのだろう。睡眠は大事だ。カフェインの含まれたアイスコーヒーなんて飲んでいる場合じゃない。帰り道、八つ当たりも兼ねて半分ほど残ったコーヒーを道端に撒いてみた。すると犬を散歩中の、定年退職を迎えたばかりで、髪が薄く、黒縁の眼鏡をかけ、ラコステの鮮やかなグリーンのポロシャツを着た男に舌打ちをされた。真っ白でふわふわの大型犬を連れていて、はねたコーヒーで犬が汚れるのを懸念したのかもしれない。でも俺は頭に血が上っているので、ロジックでの理解を上回る怒りにより、はっきりと表情を歪めた。向こうは向こうで、朝からなんて男に会ってしまったんだと言わんばかりに、顔を歪め返してきた。鼻の穴がむず痒くてしかたがないというような、目も当てられない表情だった。こらえきれず、叫んだ。

 

「でけえ犬だなおい!」

 

家もでかくねえと飼えねえよな! いい気なもんだぜ……。

 

それから家に帰って八時間寝た。

 

寝起きに頬を撫でたそよ風が心地よく、急に自分が嫌になり、大声を上げて泣いた。

 

 

 

聞こえますか。

 

 

 

いつでも遊びに来てください。

 

 

 

 

 

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書き下ろし掌編:『歓迎』

 

 

 

はい、雨。

 

六月の二周目辺りから続く雨が急に止んで真夏のような晴天が広がったのが昨日で、慌てて洗濯をした。あっという間に乾いた衣類をとりこみながら、いよいよ迎えるであろう梅雨明けを期待したってのに、早朝の雨音で気分が死んで、睡魔も長く居座る羽目となった。ばかやろう。もう知らない。どうせ今日は休みだし。

 

昼になって、ようやく湿気った布団から抜けだした私は、冷蔵庫に何もないことを思い出し、でもお腹は空いている、なのに雨が降っていて、ついでに昨日はシャワーすら浴びずに寝てしまっていたことも振りかえり、部屋の真ん中で立ち呆ける。とりあえずスマホを手にとってアパレルメーカー系の配信メールを削除していき、LINEのニュースアカウントの見出しだけを流し見て、テレビにするかラジオにするかで迷う。テレビをつけてしまうともうしばらく動くことをやめてしまうだろう。決めることすら後回しにしてシャワーを浴びる。顔を押し付けたバスタオルからは、くっさ、部屋中の湿気を吸ったような重いにおいがする。

 

ここのところ、人からの連絡が減った。もちろん仕事関係の連絡ならたま~に入ってくることもあるが、わたし個人への連絡はない。ちょっと前までやっていたマッチングアプリも退会した途端、自分の本来持つあらゆる面での気のなさが可視化されたように余白が増えた。他者の存在が生活から遠のくことで、わたしの怠惰の自由度も増したというわけだ。そりゃこの部屋も汚えわ。掃除しよ。

 

ラジオを流し、洗濯機を回した。食器も洗う。時間にするとひとつひとつが五分とかからないのに、そんな五分のために数日億劫な景色を拝むことを受け入れているのだ。目覚めてから時間が経ったことによって少しずつ頭が冴えてくる。わたしは思う。過去の自分に、このおばかさん。フローリングをワイパーで拭いた。積まれたままの服もハンガーにかけていく。ラジオからは二度目の交通情報が流れた。そうだよ、お腹空いていたんだ。ちょっとだけ息の切れたわたしは腰を反らせてから、最寄りのコンビニまで歩くことを決める。

 

もうひとりで外を歩くのも平気になった。とはいえ、雨の日は緊張が蘇る。雨音のせいで周囲の物音がかき消されてしまうから、何度も足を早めたり、振り返ったり、道を外れたりを繰り返す。もうそろそろこの名残だって消えていくのかもしれない。わたしは、恐怖を抱くことで気持ちの均衡を保っていた。均衡が安定しつつあるいま、わたしがあの経験に対して思うのは、ささやかながら、懐かしさとすら言えそうだ。

 

掃除のさなか、決まってわたしはあの手紙が通帳らと一緒に抽斗の中に収まっているかを確認する。勝手に動くはずがないのに、いつかふっと消えてしまうんじゃないかという疑念がつきまとっている。ボールペンをサッと走らせただけの文字で「先生、ありがとうございました。」とだけ、名前すらなかったが、わたしはそれが誰からのものなのかすぐにわかった。

 

いくらわたしとて、初めは変な人だなと思っていた。しばらく連絡を取り合ってわかったのは、彼が精神的な疾患に苦しんでいること、社会生活への復帰を強く望んでいるが、実現へのハードルがいくつも存在すること。彼はなんらかの理由から、どうしても部屋から出ることができないでいた。わたしがプロフィール欄に「精神保健福祉士」の資格を掲げていたことからコンタクトをとったのだろうなと半ば白けつつ、その切迫した物言いを無下にもできなかったので、メールでのやり取りを続けた。そこからLINEを交換して、電話もするようになった。声は、カサカサ。思っていたよりも饒舌だったけど、かといってこちらを詮索する様子もなく、今日あったこと、感じたことを軽く話し、わたしの漠然とした愚痴に耳を傾け、最後には必ず「おつかれさまです」と言った。他者を心から労うというよりも、その言葉しか知らないというような、妙なぎこちなさがあった。エロい写真も要求してこなかったし、電話でそういうムードに誘導しようという気配もなかった。懸命に生活を維持しよう、そのためには他者の存在が必要で、選ばれたのがたまたまわたしで、というふうにわたしは解釈していて、だから自然と力むこともなくなった。こちらが返信せずとも、電話をとれなくても、そのことを責めるようなことはしない。

 

コンビニで週刊誌を読む。それから冷凍食品とお酒を買って、再び雨の道を進む。

 

ある日、彼がいつもの発作が出たことを電話で話したその数時間後、なんの脈略もなく自分の命が狙われていると言い出した。これから大勢がやってくる。どうするべきか迷っていると、彼は言った。以前にも何度か、盗聴されている可能性があるとか、監視されているかもしれないとか、そういったことをほのめかすことがあった。規則正しい生活と、栄養のある食事、軽い運動を勧めていたが、結局のところ、家からほとんど出ることのない生活を送っていたのだ。社会資源の活用も拒否。いずれはこうなることだって予想できた。わたしのなあなあにしていた時間のつけがここに回ってきたのかとちょっとだけ憂鬱になったが、それは結局わたし自身、彼との距離をうまく取れていないことの証左でもある。まずはどうでもいいと思おう。それから頭を落ち着けて、できることをしてみよう。

 

電子レンジでパスタを解凍しながら、薄暗い部屋に明かりをつけた。もう一日が終わろうとしていた。なんもしてねえや。まあ、掃除しただけ合格としよう。

 

電子レンジが甲高い音を立てる。わたしは電子レンジの前に立つ。ふと後ろを振り返る。

 

クローゼットが開きっぱになっている。

 

さっきの掃除で?

 

思い出せない。でも、違和感はある。恐る恐る近づき、わたしが迷わず手を伸ばしたのは例の抽斗た。

 

あの日以来、彼とは連絡がつかなくなった。わたしが寝ているあいだに、不在着信が何度か入っていたが、朝かけ直したところで誰も出なかった。寝る直前の通話で、わたしは彼に伝えたのだ。どんな相手であろうと、あなたにはなにも手出しできませんとか、安心して、温かいものをとってとか、好きな音楽でも流し、どうか朝を迎えてくださいとか、もうすっかり夜も更けていて、わたしも眠かったこともあって、そんな感じの言葉を並べ立てて、それで、どうなったんだっけ? たしか彼の、「そうしてみます」という言葉が返ってきた気がする。不安げな、なにかを諦めたような、その一方で、なにかを決意したようにもとれるあの声だけが、ありありと蘇ってくる。

 

わたしは抽斗を引く。ない。あの手紙が。

 

さっきわたし、どっかに持ってっちゃったっけ?

 

さすがにそれくらいなら憶えている。わたしは手紙をもとの位置に戻して抽斗を閉めた。すっかり真っ暗になった窓の外では、いまだ雨粒が水たまりを叩いている。雨の日は証拠が残りにくい、みたいな話を、映画かなにかで観たような気がする。は? やば。警察呼ばなきゃ、と慌てたわたしは、一旦冷静になろうと深呼吸を五回繰り返してから、もうちょっと探してみるかと思う。で、見つける。手紙じゃなくて、ミニテーブルの上に無造作に置かれた札束。ぜんぶ一万円で、分厚くて、たぶん百枚以上ある。

 

「こんばんは」

 

比較的おさえたつもりだったのに、わたしの声は部屋中に響いてバツが悪い。

 

「まだいますか?」

 

電子レンジの中にあるパスタがすっかり冷たくなるまでわたしはぼーっと突っ立ったままでいた。再度加熱するためにボタンを押して、オレンジ色の明かりに照らされながら、ちょっとだけ明日の仕事のこととか、さっきシャワーを浴びたので今日もまたそのまま寝ようかなとかを考えていた。

 

コーヒーくらい淹れたのに。

 

それにしてもどうすんのこれ。

税金とか。

 

 

 

 

 

 

 

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吉澤嘉代子のライブであの野郎を見た

 

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先週金曜の朝、弟からいきなりLINEがきて、今夜泊めてほしいとのこと。たまたま休みだった僕は快諾して部屋をひととおり掃除した。その日は朝から『万引き家族』を観に行くことになっていたが、観終わってもまだ正午前。まったく問題ない。弟と会うのは4月ぶり。彼が入社式で東京に来ていたとき以来なので、そこまで久しぶりというわけでもない。

 

夕方の6時ごろ駅に到着した弟は、「もう部屋の住所知ってるから」とこちらの迎えを断ったが、部屋には食べるものがなにもなかったので、僕は買い出しついでに駅前へと向かった。馬鹿でかい荷物を背負う弟の頭は社会人カットになっており、ちょうど最近ハマったNetflixのドラマ『13の理由』に登場するザックというキャラクターを演じたアジア系の俳優にそっくりだった。部屋に着くなり、弟は「研修初日の朝に慌てて準備したから靴下の替え持っていない。これいま五日目」と言いながら革靴を脱いだので突き飛ばそうかと思ったが、「いいから嗅いでみ」と言って差し出された靴下は無臭。ネットで話題になった消臭パウダーを使ったら本当に靴が臭わなくなったらしい。早速僕もネットで注文した。

 

シャワーを浴びた弟と酒を飲みながらNetflixで『クィア・アイ』の適当に選んだ回や、『M:I-2』のラストで数珠つなぎに展開するイカれたアクションシーンを観た。ジョン・ウー映画のアクションのリズムは、僕らにとって幼少期より慣れ親しむ生理的なものなので、鑑賞中はずっと笑っていた。心地よすぎて笑うというのは、心地いいという感覚がイレギュラーなものであることを前提としているからなのかもしれないと思った僕は、仕事の話はふらなかった。接した限りでは特に疲れている様子もないし、たぶんボーナスだって出る会社だろうし、僕より友達も多いし、バイタリティもあるので、結局ただの杞憂なのかもしれない。そもそも問題があるのは僕の方かもしれない。ぜんぜん貯金がない。

 

弟は3缶目に飲んだストロングゼロにやられ、夜の10時ごろには寝てしまい、翌日の昼には新幹線に乗るため東京駅へと発った。荷物をまとめながら、PUNPEEの『Oldies』を流していた。僕はその曲をSpotifyでとって、その日の遅番へと向かう道中で何度も聴いた。曇天模様の、どこか秋のような空気の匂いにつつまれて聴く『Oldies』は清々しく、心地よかった。

 

 

日曜日、吉澤嘉代子のライブに行った。

吉澤嘉代子といえば、マイメンの部屋に居候中だった2016年の夏、眠れない夜に流しっぱなしにしていた深夜ラジオで曲を聴いて以来のファンだ。僕はそもそもライブというものに行ったことがほとんどない。中2の冬に母親に連れられて槇原敬之のライブに行って以来だから、かれこれ13年ぶりだ。

 

会場である東京国際フォーラムは有楽町にある。有楽町といえば中央区だ。すぐとなりが銀座なのである。ライブでもない限り、用はない。

会場には何年か前に就活生の小説を書いて直木賞を受賞した作家がいた。広い会場にもかかわらず、同じ列に座っていた。僕はその作家が出ていた回の『情熱大陸』を録画し、何度も再生した過去があるので、その顔を見過ごすはずもない。さすが作家というべきか、座席にドーナツ型のクッションを敷いていた。ケツへの負担には配慮が必要なのだろう。

 

ライブでは僕の好きな曲がガンガン流れた。僕は吉澤嘉代子の曲がもたらす短編小説を浴びるような感覚が好きだ。生演奏に生歌というのも相まって、ライブならではの鮮度にやられた。

 

ライブ終了後、銀座を散歩した。路上でサックスを演奏している男の人がいて、街の放つきらびやかさに更なる華を添えていた。創作において生活は大事だという結論に至り、働くようになってしばらく経つ。体重は10キロ減った。こんなにソリッドな自分は大学時代に引きこもっていた頃以来だ。再起の直前になると、僕は痩せるのである。ドアマンが白手袋にインカムを身につけているような高級店から出てくるやつらを片っ端から睨みつけつつ、家路へとつく。

 

まずはジュリア・キャメロンが日課としていたといわれる「モーニング・ページ」を日課にしようと初めてみた。毎朝、とりとめもない文章を3ページ書くというやつだ。筋トレと同じように、正しい継続にこそ意味があるのだと思う。

 

いまに見てろよ中央区

 

全日本マザファッカー選手権、ひとり選ぶなら、当然ぼく。

 

 

 

 

 

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夏、到来?

 

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みなさん、こんにちは!

 

 

前回の記事から1ヶ月以上経ってしまいました(笑)

 

景色の陰影は日々濃くなり

 

もうすっかり夏、到来!!?

 

ぼくなんて、すでに夏バテ気味です(笑)

 

 

さて、つい昨日のことなのですが

 

デッドプール2』を観てきました!

 

待ちに待ったデップーちゃん。

 

ちなみに

 

「デップー・チャン」と書くと

 

ハリウッドでも活躍するアジア系の俳優さんみたい!

 

 

閑話休題(←使い方あってますか?)

 

デッドプール2』とても面白かったです!

 

やー、笑った(笑)

 

根底にあるしっかりとした倫理観が、縦横無尽のように見える脚本の軸となり、とても見応えのある、素晴らしい作品

 

だったと思います(笑)

 

様々なギミックが投入された作品でもあるので

 

これ以上書くのはネタバレ!

 

興味のある方はぜひご覧になってください!

 

 

それにしても暑い~~~!

 

みなさまも熱中症などには気をつけてください!

 

それではまた✌

 

 

 

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