『オールド・ボーイ』のあいつ

 

リメイク版『オールド・ボーイ』を観た。オリジナルの韓国版で最低の気分にさせられた者としてはあまり期待をしすぎるのもよくないという予防線を張っていた。でももうそんな自分にうんざりだった。僕はどんどん期待したい。この世の中に。これからの未来に。諦めることを覚えすぎていつしか飛べなくなるのをただ受け入れたくはない。それに主演はジョシュ・ブローリン。信用できるゴリラ。そしてエリザベス・オルセンフルハウス姉妹の可愛い妹。そして彼女は役が役だけに……生唾を飲み込んで鑑賞したのである。

 

映倫の最低なボカシ処理がますます許せなくなるほど韓国版の真似に留まってたまるかというしっかりした努力があったし、それは功を奏していたように思う。監禁シーンではバスルームの壁の穴から登場した白いネズミちゃんと交流を深める場面がすごく好き。韓国版では孤独のあまりおぞましい蟻の幻覚に襲われていたが、こちらではネズミちゃんを心から愛おしそうに愛でる場面で主人公の孤独がそれだけ過酷なものであることを表現していたし、そんなハートウォーミングな交流さえも主人公を追い詰める道具とされてしまうところに監禁した側の嗜虐性、そしてそこまでする理由ってなんだ、という物語的な牽引にもなったように思う。

 

オールド・ボーイ』のいいところといえば理由も知らされずに監禁された男が絶望の末に“怪物”と化す点が挙げられると思う。テレビで格闘技の試合などを観ながら見よう見まね、延々と続く筋トレにイメトレ、「絶対許さねえ」という恨の精神でもってぶよぶよボディのおっさんが暴力魔神となるのだ。ここは物語が加速する瞬間というか、衝動的な気持ちよさがあって観ていて興奮する。そして不意に訪れる解放。野に放たれた野獣が真相解明及び復讐のために奔走する。リメイク版の今作では主人公を暴漢と勘違いしたアメフト部のジョックス数名が瞬殺されるシーンで主人公の培ってきた暴力技術がお披露目されるがどうかと思うくらい凄惨で最高。喉を潰され、放り投げられれば頭から落下、身体の大事な骨がへし折れる様子を畳み掛けるように見せてくれる。ドニー・イェン主演の『イップ・マン/序章』で日本兵相手にイップ・マンがその暴力性を解放するシーンに似たおぞましさがあった。一応、アメフト部のみんながあまりにもかわいそうでだったことは忘れずに書いておきたい。韓国版ではただの不良相手だったのに……。ただまあ、最後まで見たあとに振り返ってみると、主人公は彼らに過去の自分を重ねたのかもしれない、という超強引な解釈を得たのでいまはあまり気にしていません。どんまい。

 

また韓国版で有名なワンカットで見せる横スクロール型乱闘場面も、また違った動きを取り入れた見せ方をしてくれていて興奮。

韓国版。


Oldboy - 25:1 Fight Scene (HQ) - YouTube

 

リメイク版。


Oldboy (2013) - Hammer Time! - YouTube

 リメイク版に関してはアメリカなのに誰も銃を持ってこないのかよとは思ったけど、そっちのほうが野蛮度が上がるので目をつぶります。

 

と、ここまでで1300字以上も書いてしまっているんだけど、本当はこんなはずじゃなかった。もっとほかのことが書きたかったのだ。韓国版の『オールド・ボーイ』にはとても印象的なキャラクターが出ている。そう、あいつだ。

 

こいつ!

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監禁の首謀者の横にいつもくっついて歩いている白髪の小男。

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寡黙で穏やかな表情を崩さずなにを考えているのかわからない。

だがしかし!!!

 

「このやろおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

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スッ……

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!!!?

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今回、リメイク版ではこのボディーガード役が女性となって登場。何かしら異色の存在にしなければならない、という製作者側の意志を感じる。

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ちょっとでんぱ組っぽい。

なぜかエロい格好もする。

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ちゃんと強いぞ!

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キャラの濃さでいうと韓国版の方が強烈だったが、こういうケレン味のある脇役はどんどん出してほしいものだ。この際、原作を輩出したこの日本でも新しいオチをこさえて映画化してみてもいいんじゃないかなと思う。できれば浅野忠信役所広司以外でお願いしたい。まああの二人でもいいけど。個人的には渡部篤郎での『オールド・ボーイ』が観たいけど、あの人はどちらかといえば監禁の首謀者役を買って出そうだ。佐藤浩市もいるし椎名桔平もいる。赤井英和……とどんどん出てくるが敵のボディーガードは、白髪オッサン、スケベ女ときたので残るはデブかオカマだ。デブのオカマでもいい。ということでマツコデラックスに演じてもらえばいい。こういう話をお酒を飲みながらずっとしていたい。人に会いたい。