納涼こわい話「お隣の息子さん、無職だそうよ」

 

 

 

暑い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。熱中症などで体調を崩したりなどしていませんでしょうか。ぼくは現在沖縄の実家におりますが、すでに熱中症で信じがたい頭痛と吐き気に襲われ寝込み済みでございます。高校時代まではそういった軟弱な体ではなかったのですが、大学を涼しい地域で過ごした反動がやってきたといった感じでございます。去年もバイト先のバーベキューにお呼ばれしたその先で熱中症に見舞われました。芝生の上に転がる僕を見た周りのみんなはただの酔っ払いだと思い込み、笑い、写真を撮り、Facebookに上げるなどしておりました。ぼくは「いいね」を押しましたが、文明の発達とともに他者への思いやりが希薄となった現代社会に対して警鐘を鳴らすに相応しい一件ではないでしょうか。このように夏に敏感なぼくは、この時期になると無性に怖い話に惹かれるところがありまして、先日も心霊スポットで不謹慎な行為を行うといった内容のDVDを鑑賞中に霊障に見舞われるといった経験をしたばかりです。

 

ぼく自身、怖い話は苦手であり、本当に怖い内容のものであれば、それに触れてしばらくはトイレにひとりで行くこともままなりません。それは想像力が豊かだからとお母さんは言います。ぼく自身、めちゃくちゃ怖い実録系よりも、エンターテイメント性に溢れたフィクションのホラー映画などを好んで鑑賞します。実録系じゃなければ大丈夫なのです。『呪怨』も『リング』も一人暮しの際に鑑賞できました。しかしドラマ仕立ての映画の他に、「実録っぽさ」と恐怖を同時に演出する手法があります。それがフェイクドキュメンタリーです。「実録っぽさ」を維持しながらも物語的に大きな飛躍だってもたらすことができる魔法の手法です。日本にはフェイクドキュメンタリーの名手で白石晃士監督という方がいますが、彼の作る作品はどれも恐怖と刺激とブラックな笑いと気持ちのいい飛躍が込められているので、いくつか紹介したいと思います。

 

 

ノロイ』(2005) 

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あるホラー関係のプロデューサーである小林雅文さんの自宅が全焼、焼け跡から奥さんの遺体だけが発見されます。小林さん本人は依然行方不明ですが、彼の取材に使用されていたと思われるビデオカメラが制作会社に送り届けられ、いざその内容を確認してみると衝撃的な映像が収められていて……というあらすじ。ホラー系バラエティ番組、超能力、隣のキチガイ、放送事故系霊能力者、お蔵入り映像、山奥の集落、廃屋、ダム、動物の死骸、土着思想、集団自殺など、数々の不穏なディテールを散りばめながら「なぜ彼は失踪したのか」「なにを見たのか」が次第に明らかになっていく傑作ホラー映画です。一見無関係に思えた出来事が繋がって、次第に浮かび上がってくる真相や、ぶれるカメラが目を見開くようにある一点を向いたその瞬間に映るおぞましく禍々しい映像などなど、こちらの興味を牽引し、途端に手放すかのような心許なさもたまらない一作となっております。アンガールズの二人も本人役でちらっと出てます。

 

 

『オカルト』(2009)

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予告編 :『オカルト』/ Trailer :『occult』 - YouTube

 

 ある観光地で起こった通り魔事件の取材を始めた白石監督(本人役)が、事件の関係者に話を伺っているうちに「あの事件以来、身の回りで“奇跡”が起こるようになった」とか言い出す非正規労働者に焦点を当てることに決め、完全密着を敢行。彼の悲壮感溢れる生活の中、宣言通り数々の不思議な現象がカメラに収められていきます。しかし撮影を進めて行くうちに、彼自身の不穏な思惑も浮かび上がってきて……というあらすじ。冒頭の陰惨な通り魔事件から端を発し、UFOや古代文字といった着地点の見えない飛躍を経て、キーパーソンである非正規労働者の「ある目的」が明らかになってからの「こんな話なの?」と思うほど予想外な展開が最高。個人的には白石監督の最高傑作、というかフェイクドキュメンタリー映画の中でも屈指の名作だと思っているくらいに大好き。小説家でもある中原昌也さんが担当したBGMも終始悪意に満ちていて素晴らしい効果をもたらしています。とにかくラストが最高!ラスト!ああラスト!言いたいな~!くっそ~ラスト。ラスト以外も最高だけどやっぱあのラスト。あ~また観ちゃお!

 

 

 

 

 

ほんとうはこのまま白石監督の『シロメ』、『超・悪人』、『カルト』、『コワすぎ』シリーズも紹介しようと思いましたが台風で窓がガタガタ言い出したのでここで終わります。今朝親知らずを抜いたばかりで鈍い痛みがとれないし滅法減った気力体力忍耐力とあとなんらかの霊障によってこれほどまでに「成し遂げられなさ」を噛み締めるしかない状態に陥っているのだと思います。ああ、しんどい。風、強い。