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ウルトラスーパーデラックスビッチvs韓国マフィア『LUCY/ルーシー』

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「人は脳の10%しか使っていない」という中学生が喜びそんなトンデモ理論から着想を得て一本の映画を作ってみたら……しかもそれをあのリュック・ベッソンが……ということでできたのが映画『LUCY/ルーシー』。

台湾在住のアメリカ人、ルーシーはクラブで出会った運び屋に頼まれて高級ホテルにいる何者かに荷物を届けるよう超強引にお願いされる(これを強要という)。いやいや行くとホテルのロビーに現れたのは超コワモテ韓国ヤクザたち。サバンナでチーターが獲物を捕えるというわかりやすい映像がインサートされ、ルーシーはヤクザ達に部屋に連れて行かれるが、そこで待ち受けていたのは……

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登場から部屋の奥にて遺体の解体作業中であり、高級スーツに返り血姿、「次はなんだよ」というテンションでのそのそ現れるその迫力は韓国を離れてもしっかり健在。リュック・ベッソンといえば『レオン』にてゲイリー・オールドマンを色っぽすぎる鬼畜として登場させたが、その系譜チェ・ミンシクに踏襲させている。ブレのない監督だ。

ルーシーが持ってきた荷物の中身は大量にある謎の青いツブツブで、案の定新型の激ヤバドラッグであったそれをなんと下腹部に埋め込まれてしまい、彼女はそれを海外まで運ばなくてはならなくなる。そんなルーシーは、その後謎の部屋に監禁される。どういう経緯かはよくわからなかったが、とにかく監視係のチンピラに乳を揉まれ、抵抗したところボコボコにされてしまう。あんまりな話だ。しかもその際に腹を蹴られた衝撃で下腹部内の袋が破け、ドラッグが漏れてしまうのだ。このままじゃオーバードーズでくたばる!あー!でもそのドラッグの影響でルーシーの脳は超覚醒し、10%を上回る活動を始めるのであった……


そもそもがとんでもねえ理論から始まる物語だけど、間にモーガン・フリーマンが学会で発表している場面を挿入するという力技で物語内での信憑性を演出。そうこられちゃなあ。もちろん最後まで付き合うけどな!ぼくは人智を超えてしまったスカーレット・ヨハンソンの活躍を楽しむことに専念した。
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ウルトラスーパーデラックスビッチとなったルーシーはもう人の痛みなんて想像するだけ脳の邪魔とでも言わんばかりに大暴れ。英語がわからないタクシー運転手の脚を撃ち、助かる見込みのない患者を射殺して手術台を乗っ取るなどの蛮行を無表情で繰り広げ、片手間感覚で韓国ヤクザにもリベンジ。その間にもどんどん脳はヒートアップしていき、外国語を一瞬で理解、人や電波を支配するなど、思いのほか力の飛躍がすごいので「これ、100%までいったらどうなってしまうんだ……」という思いでゾクゾクするような、げんなりするような、途方もない気持ちになった。

演出は大仰かつ過剰なのですごく楽しい。チェ・ミンシクの起用ということもあり、リュック・ベッソン監督は韓国映画もちゃんとチェックしてるんだろうなという箇所もいくつかあった。中盤で使われている音楽はパク・チャヌク的韓国暴力映画っぽい雰囲気さえあった。

他にも「あ!リュック・ベッソンっぽい」と思ったのは韓国ヤクザが研究所を襲撃する場面で、ボスのチェ・ミンシクが先陣を切るシーンだ。両手にサブマシンガンを持って派手に弾丸をばらまくんだけど、このサブマシンガンがストックをたたんだ状態のやつで片手で持つとすごく見栄えがする。ヨーロッパコープ作品にはこういう系統の銃が本当によくでてくる気がする。
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ルーシーは覚醒してからほぼ無敵状態なのだけど、そんな彼女に意地でも復讐してやると食らいつき続ける韓国ヤクザが素晴らしい。くたびれた目で元気いっぱいに暴れるチェ・ミンシクは観ていてゾクゾクするし、ラストの大銃撃戦で手下たちが見せる連携プレーでのバズーカ発射シーンにはおひねりを投げたくなった。

ラストは凄まじい境地にまで至る映画なので、この『LUCY/ルーシー』を観たあとに同じくスカヨハ出演の『her 世界にひとつの彼女』を続けて観たら最高だと思った。トンデモ理論発のトンデモ映画を中学生の妄想的無敵描写で彩った素敵な素敵な一品なので是非劇場で揺れるスカヨハのおっぱいを楽しんでください。でもそこまでエロくはなかったかも。そこそこ。そこそこでした。