そして誰もいなく……ぶっ殺してやる!/『サボタージュ』

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シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーが主演した映画『ラストスタンド』が昨年のベストだった身として、彼の主演復帰二作目があのデヴィッド・エアー監督の作品だと知ったとき、これはとんでもないことになるぞ!と思ったりした。
デヴィッド・エアー監督といえば野蛮なストリートを描かせたら右に出るものがいない男、脚本を担当した悪徳警官映画『トレーニング・デイ』はアカデミー賞を受賞。同じく悪徳警官のキアヌが危険なストリートとその裏で暗躍する腐敗警察組織を相手にコンバットシューティングと暴力とわずかな正義感で大暴れを見せる『フェイクシティ ある男のルール』を監督したかと思えば全米一凶悪なストリートをパトロールする警察官の日常をPOVスタイルで見せた映画『エンド・オブ・ウォッチ』を発表するなど、アメリカのガラの悪い世界を鮮烈に描き続けてきた男だ。
 
特に前作『エンド・オブ・ウォッチ』では突発的な暴力やメキシコ麻薬カルテルの残忍さなど、命の軽い世界を刺激的な映像で見せてくれた。な、の、で。そんな男があのシュワルツェネッガーを主演に迎え、麻薬取締局DEAの特殊班と麻薬カルテルの攻防にアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』要素をミックスさせると……よくわからないけどすごいことになるぞ!食い合わせの想像もつかない!と超興奮。R指定だし。最高だ。ヤッター!すげえ暴力の予感!
 
 
冒頭、麻薬カルテルメンバーの豪邸に装甲車で突入するDEAの特殊班。リーダーはシュワちゃん。その時点でこのチームの実力が予想できる。壁越しに機関銃を乱射されれば、壁を爆破し、撃ち殺す。異様なテンションでチンピラどもをガンガン射殺していくその動きは熟練された荒くれどものそれだ。そもそも銃ってすごく怖い!そう思える映画も久しぶりな気がする。
いろいろあってメンバーが見つけるのは札束の山。麻薬カルテルの資金だ。ヤッター!喜ぶ面々。そしてなにをするのかと思いきやいきなり横領!ジップロックみたいなやつに札束を入れ、紐に結びつけて下水に垂らしておく。残った金は派手に爆破!あとは仕事の後で下水から回収すればいいだけ……なんて悪巧みが成功するかと思いきや、あれ?下水にお金がない。横領した金はすでに何者かに回収された後だったのだ。
横領がばれた特殊班の面々はこってり取り調べを受ける。シュワちゃん演じるリーダーは責任をとらされデスクワークに回されたばかりか、常に二人の監視までつけられることとなった。その間特殊班の面々は仕事なし。トレーニングもできないのでみんなで部室のような場所でタトゥーを入れたりチンコチンコと下品な会話を繰り広げたりして過ごしている。こいつらとにかく品がなく粗暴。隊員には女もいるがセクハラだってなんのその!ガンガンこいやの荒い世界。
そんなある日、シュワちゃんの謹慎も解け、荒くれ特殊班の活動が再開することに!また暴れられるぜ!喜ぶ面々。しかし、メンバーの一人が不自然な列車事故で肉片と化してから、不穏な気配が彼らを取り巻くのであった。俺たち、消されるっぽいぞ?金を奪われた麻薬カルテルが黙っているわけがないのであった。

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ということで暴力とサスペンスが融合して暴力が勝ってしまったようなこの映画、のっけから麻薬カルテル製スナッフビデオのシーンだし、銃弾はガンガン脳天を貫通、飛び散る血にも遠慮がなければサービスと言わんばかりに臓物も山盛り。荒くれ者どもとそれを上回る野蛮さで襲いかかる麻薬カルテルとの血で血を洗う抗争の一方で、次第に事の不審さも露わになっていき、どうも一筋縄じゃいかない気配。そもそも金を奪ったのは誰?こいつら、本当はなに考えてるのだろう?などなど不穏な空気が充満する中、派手に人が死んでいく。ライフルの弾丸は民家のドアや壁なんて簡単に貫通するし、街中で撃ち合えば市民も死ぬ。サスペンスの要素を凌駕すらしちゃっている暴力性なのに、ラストはしっかりシュワちゃんが落とし前をつけてくれるから素晴らしい。シュワルツェネッガー主演作が立て続けに最高なのがぼくは嬉しいし、その歳でハードな映画を選び続ける姿勢にも胸を掴まれた。ありがとう。
 
ちなみに本作の麻薬カルテルは『エンド・オブ・ウォッチ』にでてくるカルテルと同じという設定だそうですよ。そう思うとラストの展開はよりグッとくるものがあります。シュワちゃんはこれまで数々の悪党をぶちのめしてきた男だぞ!ただですむわけないのだ。
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