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R-18ご近所戦争コメディ『ネイバーズ』とクソアホ大学生

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偶然にも場所と時間的な都合が良かったため、ユナイテッドシネマ豊洲で『ネイバーズ』を観てきた。アメリカじゃすごくヒットしたそうだけど、例によって冷遇されてばかりのコメディ映画なので、日本じゃソフトスルーらしい(3月上旬発売予定)。あの傑作『21ジャンプストリート』の続編である『22ジャンプストリート』までソフトスルーらしく、もう信じられない……と思うのも今更なほど日本の映画配給会社はコメディに冷たい。流石にあんまりだと思ったのか、『ネイバーズ』は一週間限定で劇場公開しているので、興味のある方は是非ユナイテッドシネマ豊洲へ(1000円で鑑賞できるよ)。

 

~あらすじ~

子供が生まれ、育児に励む夫婦の隣の家に、大学のフラタニティ(アメリカの大学における社交会的なやつ)が引っ越してくる。毎晩夜中まで酒を飲みマリファナを吸い大音量で音楽を流すので育児環境的にはもう最悪。一旦注意をするもすぐに約束を破って毎夜騒ぎ通す彼らに業を煮やした旦那のセス・ローゲンが警察に通報。そのことに端を発しご近所戦争が勃発。あらゆる手を使った嫌がらせ合戦が始まるのである。

 

ぼくが大学一年だったある夏のこと、真夜中の三時すぎにもかかわらず同じアパートの別室から死ぬほどダサいコール(鉄腕アトムの替え歌)の大合唱が聞こえてきて目を覚ましたことがあった。声の出どころと思しき部屋には、同じ大学で同じ学年のサッカー部が住んでいることをぼんやり認知していたぼくは、ぶっ殺すぞと思いながらももう一度就寝。それからしばらくしてそのサッカー部が違うアパートへと引っ越してしまったことからも考えるに、大家さんや不動産屋のもとに苦情がいったのだろう。当時はぼくも大学生ではあったが、「大学生の飲み会」というものを傍から眺める際の不愉快さを痛感、ぶっ殺してやると思わずにはいられなかった。大学生がお酒を飲んではしゃいでいる姿は、国境を越えて人を腹立たせるのである。『ネイバーズ』を観ているとぼくはそんなことを思った。

 

とにもかくにも、この映画は下品で楽しい。ディルドーをヌンチャクのように使って戦うシーンでは高揚感すら覚えた。個人的にクリストファー・ミンツ=プラッセの登場も知らなかったので嬉しかった。ジェームズ・フランコの弟、デイヴ・フランコも兄に続いてセス・ローゲンと共演。本当に仲がいいんだろうな。いつか3Pでもするといいと思った(デイヴのデ・ニーロものまね似てた)。

 

この映画、ムカつく大学生を完膚なきまでにボコボコにする話かと思いきやちょっと違う側面、というのも、将来なんの役にも立たないであろう“伝説”をつくるため日夜バカ騒ぎに興じる大学生側の内面も見せてくれる。彼らは隣人である夫婦に将来の自分たちを見て、焦燥を感じている。そんなはずはない。おれたちはいつまでも無敵なんだ、と思いたがっている。ザック・エフロンが今まで一緒にバカをやってきた相棒が企業説明会的なものに参加しているのを見つけて、どこか寂しそうにする姿なんてちょっとせつない。

 

その状況を通過し、結婚し家族をもつ側からすれば青くてうざい姿でも、当事者はそのドツボの中で必死に暴れもがいていたりする。存分にぶつかってめちゃくちゃにして、それでなにかがわかったような気になれるのであれば、中途半端に大人のふりをするより早いのかもしれない。ということでラストはあの傑作『プロジェクトX』みたいな大パーティーに発展、そこで決着をつける。結果として赤ちゃんもすごくかわいいし、意外と優しい映画だった。監督のニコラス・ストーラーが撮った『寝取られ男のラブ♂バカンス』も冒頭でいきなりちんこ出てくるけどいい話なのでおすすめです。『22ジャンプストリート』も早く観たい。