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韓国映画界の『悪魔』軍団

 

韓国映画の邦題には“悪魔”という言葉が多く登場する。

悪魔ってそんなにいるものなのかと思うくらいだが、よくよく考えてみればこの世の中、どこもかしこも悪魔ばかりな気もしてくるので、悪魔のような人間や所業が描かれる映画が多く制作されている韓国映画に配給側が“悪魔”という言葉を冠したくなる気持ちもわからなくもない。そんなあけっぴろげで強烈な素晴らしい映画の中から厳選した四本(これ以上見つけられなかったので諦めた)をここでは紹介していきたいと思う。ぜんぶレンタルビデオ店で借りられるので、いますぐ出かける準備をしよう。 

 

 

①『悪魔を見た』

(原題:『악마를 보았다(悪魔を見た)』)

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~あらすじ~

エリート捜査官(イ・ビョンホン)の妻が連続殺人鬼(チェ・ミンシク)に拉致され、バラバラ死体となって発見される。復讐に燃える捜査官は自らのスキルをイリーガルにフル活用し、三名の容疑者から犯人を絞り出して壮絶な復讐を実行する。しかし相手となる殺人鬼も並の鬼畜ではなく、復讐劇は血で血を洗う殺し合いへと発展していく……。

 

韓国悪魔映画界の代表作とも言える一本。監督はシュワちゃん主演の大傑作映画『ラストスタンド』でハリウッドデビューも果たしているキム・ジウン。主演はハリウッドに殴りこんだ半裸スターことイ・ビョンホンで、共演には『オールド・ボーイ』やリュック・ベッソンの『LUCY/ルーシー』などで知られている韓国映画界を背負って立つ鬼畜アボジことチェ・ミンシク超豪華キャストとなっている。

本作は原題にもそのまんま「悪魔」とあるので、はじめから鬼畜VS鬼畜の血まみれバトルを描いてやろうという意気込みが感じられる。イ・ビョンホンの容赦なさも清々しい一方で、復讐される側のチェ・ミンシクが絶対に悪行を反省しないしやめようともしない姿にはドン引き間違いなし。凄まじいエネルギーでラストまで突き進む体感時間一時間のジェットコースタームービー。観終わったあとは、タイトルを振り返って余韻に浸ろう。

 

 

②『ビー・デビル

(原題:『김복남 살인 사건의 전말(キム・ボンナム殺人事件の顛末)』)

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~あらすじ~

ソウルで働くへウォンは抱える悩みを忘れるため人口たった9人の美しい孤島へ赴く。そこでヘウォンは純粋で人のいい幼馴染のボンナムと再会するが、彼女は夫や住民から奴隷のように扱われており、はてには旦那以外の男性の性処理まで任されている始末。この島激ヤバじゃねえかと慄くヘウォンだったが、ボンナムは島からの脱出に協力してほしいともちかけてきて……

 

“悪魔”といえどこちらは英語。 原題に「悪魔」の文字はないが内容は凄惨を極める韓国暗黒物語となっている。徹底して虐げられたひとりの女性がいかにして“悪魔”になったかを、不愉快極まりない描写の連続で描ききるウルトラスーパーブチギレ映画であり、閉じた世界でおぞましい慣習を生きる者たちと、そいつらに虐げられる者という構図に腸が煮えくり返るあなたは物語後半の大惨劇を是非見届けてほしい。また、タイトルでも示している「悪魔になる」とはどういうことなのかを強く身につまされるような映画でもあるので、残酷表現がそこまで苦手じゃない方には、特におすすめしたい。

 

 

③『ファイ 悪魔に育てられた少年』

(原題:『화이 :괴물을 삼킨 아이(ファイ:怪物を飲み込んだ少年)』)

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 ~あらすじ~

「白昼鬼」と呼ばれる凶悪強盗団に身代金目的で誘拐され、そのまま育てられることとなったファイ。犯罪者である四人の父のそれぞれのスキルを受け継ぎ、犯罪者としての人生を歩もうとしていた彼だったが、ある日連れて行かれた犯行現場でとんでもない真実に直面するのだった……。

 

原題には「怪物」とあるが邦題はちょっとニュアンスを変えて「悪魔」という文言にされている。この映画における強盗団の仕事ぶりを見ていると、その手際の良さ以上に残忍さが目に付くのでなんとなく納得のタイトルだ。本作は殺人マシーンに育てられた心優しき少年が自らの過去に隠された真実を知って育ての親である強盗団に反旗を翻す映画なのだが、なんといってもアクションが素晴らしい。ライフルで狙撃されれば手首は千切れるし、なんのためらいなく命が奪われていく冷たさも印象的。物語が思いのほかヘビーな点も魅力の一つといえよう。白昼鬼のリーダー格を演じるキム・ユンソク(『哀しき獣』のミョン社長でお馴染み)の色っぽい鬼畜演技や、主演ヨ・ジングの好演を是非ご堪能ください。

 

 

④『悪魔は誰だ』

(原題:『몽타주(モンタージュ)』)

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~あらすじ~

15年前に起こった誘拐殺人事件の時効が成立する。かつて犯人を取り逃した元刑事や、被害者女児の母など様々な想いが錯綜するなか、再び女児誘拐事件が発生。その手口は十五年前の誘拐事件とまったく同じものであった……

 

現在と過去が交差してある誘拐事件の真相に突き進んでいくミステリードラマ。邦題は上で挙げたような“悪魔”シリーズにあやかってつけてみたといった感じ。原題は『モンタージュ』。誘拐犯のモンタージュ写真が印象的に登場するし、物語的にも原題の方がしっくりくる感じだ。いわゆるどんでん返し系ではあるが、これまで挙げてきたような作品たちと比べると鬼畜度は低めなので、おもしろいミステリー映画を鑑賞したいって人におすすめです。

 

 

 

 ちなみにこれは余談になるんですけど、『悪魔』の文字以外にも『哀しき~』とついている映画や、これといってくくれる言葉が入っていないタイトルの映画でも面白いものはたくさんあるそうなので、いろいろと手を出してみてはいかがでしょうか。ぼくも心がけようと思います。どんどん残酷になる韓国映画から今後も目が離せない。 

 

 

 

 

 

以上。