MidnightInvincibleChildren

うるせえ、喰らえ

 

大学生の弟が春休みということもあって帰ってきたので家の中に話し相手ができたのですが、この前じゃれあいのつもりで取っ組み合ったら普通に力負けして尻餅ついてしばらく呆然としてしまいました。おれはなんなんだ。そんな自問も実に不毛。自慰に二時間かけていたほうがどれほど有益か。

 

先週の月曜日、弟と『ミュータント タートルズ』を観てきました。ジェットコースターのような映画で、まあまあ面白かったです。帰りにはピザを食べながら、ウィリアム・フィクナーは出てくるだけで悪役だってわかる顔だねという話をしました。ピザ屋の店員さんがかわいかったけど、たぶん「ピザ食っててキモい」と思われていた。

 

金曜日、弟がそうするというのでじゃあぼくもといった流れで五キロほど走ってきました。かなり無理をしたのに腹筋も割れなければ顔も引き締まりませんでした。なんのために走ったのだろう。報酬なき苦労を良しと出来ないギャングな男なので、大学時代のバイト先を今でも恨んでいます。

 

昨日、父が「カラオケに行こう」と言い出したのを弟がボウリングに変更させ、三人でボウリング場へ向かいました。が、一箇所目に空きレーンがなく、仕方なく向かった二箇所目にも空きレーンがないという驚異のボウリング人口に為すすべもなく、途方にくれて帰路につきました。その途中、車内のラジオからベビーメタルというアイドルグループの『ギミチョコ!!』という曲が流れ、ぼくは数年ぶりに車に酔って吐き気をこらえていたにも関わらず、心を奪われ聞き入ってしまいました。アイドルオタクの弟に「この曲だれが歌ってるの?」と聞いたところ「ベビーメタルの『ギミチョコ!!』。全部カタカナだよ」と検索も見越した説明をしてくれました。「サビの高揚感がいいよね」と言ったぼくは、最近似たようなことを何度も言っているような気がして、急に不安になりました。このまま帰っても更年期障害の母親に馬鹿にされるだけだと踏んだぼくたちは急遽自宅近くの居酒屋に寄り、ビールで乾杯をしました。その居酒屋で弟は、「顔見知りの人間に外で会っても知らないふりをしてしまう」、「大学の友達はすぐ語りたがるのに、自分には語りたいものが何もない」などの悩みを吐露していました。ぼくは「ここ最近、一周してなにも怖くなくなった」という悩みを心にしまったまま、テーブルの上の水滴を拭き続けていました。

 

ぼくがFacebookの「〇〇さんをご存知ですか?」という通知に「知らねえから死ね」と怒鳴り返す行為を繰り返している間も、所ジョージは権利収入で信じられない額のお金を稼いでいるのだと思うと、つい笑ってしまいます。

 

大学二年の夏に書いた短編を膨らませていたら、つい先日50,000字を超えてしまいました。昨年末から書き始めたのですが、なかなか納得もいかないまま、書いては消してを繰り返し、いまに至っています。主人公は大学生なので、書くにあたり自分の大学時代を振り返る機会も増えました。届いた当初に流し見した程度のアルバムも改めて開いてみましたが、全ページをめくり終わったあとに「え!」と声が漏れるほど、自分の写真がありませんでした。その情念を込めてキーボードを叩き続けた結果、「L」キーが外れてしまいました。「R」キー使うからいいもんね。それにしても、伝えたいことが特にないまま、軽薄な言動だけを書き連ねた末に見えてくるものがあるはずだと信じることにも体力が要るみたいです。とにもかくにも完成はさせて、しばらく置いて、読み返して、直して、友達に読ませたいと思います。それでなにがどうなるとかは、あまり考えないようにしています。

 

最近、弟がラップのリリックを考え、同じ趣味を持った友達とラインのグループで発表し合っていることを知り「お」と思いました。その中で挙げられていた弟が大学の「イケイケ軍団」に捧げたとかいうリリックを紹介したいと思います。

 

 

あーね それな ワンチャン いやノーチャン

日本語使えよなんの冗談?それ

すぐ抜きたがる案の定まんこで いつものセフレのヤリマンと寝る Ah

原動力はみんなと飲む酒 仲間と宴 という名の近所迷惑

注意するとすぐ手出す性格 救いようがねえやつ

が蔓延るこの時代から生まれる多くの被害者 そりゃ意味ないな 

まず聞く耳がねえ 基本的自己中心 いつも数人

ぼっちを見つけりゃ鼻で笑い 馬鹿ではないやつに課題任せたらいい

なんて腐った思考持つ そろそろ気づけよウザったいぞ

 

 

これを実際に弟が歌って録音した音声をラインに貼ったところ、それに対する弟の友人の感想が「おまえのフロウまじ変態すぎる。」というもので、いい友達持ったな、と思いました。