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お父さんはもう後に引けん/『ラン・オールナイト』

 

ここ最近のリーアム・ニーソンは本当に人をよく殺す。『シンドラーのリスト』で救った人数以上に殺しているんじゃないだろうかと巷では専ら噂。そして今回もたくさん殺すよ!『ラン・オールナイト』!試写で鑑賞してきました。無料!ありがとうワーナー・エンターテイメントジャパンさん!

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~あらすじ~

マフィアの下で働いていた殺し屋のリーアムは、自らの人生には何も残っていない事を嘆いてアルコールに溺れる日々を送っている。唯一の肉親であるカタギの息子は、裏社会で生きるリーアムを嫌悪して孫の顔も見せてくれない。親友でありマフィアのボスであるエド・ハリスが気にかけてはくれるが、過去に犯した罪の意識に日々苛まれ続けるのだった。そんなある日、エド・ハリスのバカドラ息子が勝手に始めたドラッグの取引でしくじってしまい、取引相手であるアルバニアン・ギャングを殺してしまう。なんとその現場には、たまたまリムジンの運転手として雇われていたリーアムの息子が居合わせていた。バカドラ息子は、リーアムの息子に対してもその銃口を容赦なく突きつける。そうはさせるか!トラブルを知り、息子の様子を見に来たリーアムは咄嗟にボスの息子を射殺。いくら30年来の親友だったとは言え、最愛の息子を奪われたエド・ハリスは静かに宣告する。「お前とお前の息子を殺す」。親友にブッコロ宣言されたリーアムは、牙をむく夜のニューヨークを息子とともに奔走する……。

 

今作の監督はジャウム・コレット=セラ。名前がなかなか覚えられないこの人は、去年の『フライト・ゲーム』に続いてまたまたリーアム主演映画を監督していました。

sakamoto-the-barbarian.hatenablog.com

もっといえばその前の『アンノウン』もリーアム主演作。映画監督としてもフィルモグラフィのうち、その半分がリーアム主演作。リーアムのことが好きなのでしょうか。きっと、そうなんでしょうね。

 

今作でもリーアムはいつもと同じく最強のお父さん。ただし今度の相手は「睨むだけで人を殺せそうな男」エド・ハリス御大。捨て犬顔のリーアムと狼顔のエド・ハリスの顔面対決も見ものとなっています。どちらも「愛する息子」が行動理由なので、敵だなんだと区別するのもちょっと憚られる。「思い詰めたかわいそうなお父さん」は見ているだけで涙が出てくるものです。四面楚歌のニューヨークで、自分を嫌う息子を親友が仕向けた追っ手から守らなければならないリーアムの眉毛はどんどん下がっていく一方。とはいえリーアムなので一度敵が現れると迅速な動きで即・制圧。歴史が違うんだと言わんばかりに巨漢マフィアどもを蹴散らす様はリーアムのお家芸でありますからこちらもおひねりを投げたくなります。ちなみに今作でのリーアムはこれまで見せていたような手数の多い工作員ライクなファイトスタイルではなく、裏社会で培ってきた経験を伺わせるステゴロ・スタイル。愛銃もオートマチックではなく使い込んだ感じのリボルバーで、アウトロー度高めとなっております。

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「全員おれがぶっ殺す」

 

 

一方のエド・ハリスだって負けちゃいない。前半部ではスマートで優しい面も見せていたのに、事が起きてしまうと息子と組んでヤンチャしていたチンピラを呼び出し粛清!部下たちが蹴散らされるのも予想済みといった御様子で動じず、移動中の車内で重い口を開く……「“プライス”を呼べ」。“ボスが殺し屋を手配するよう部下に支持するシーン”好きのぼくとしては大変上がるシーンです。

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「絶対消す」

 

そこで呼び出されたのはプロの殺し屋“プライス”。演じるのはラッパーのコモン。こんな顔だっけ。髭剃ると印象が変わりますね。

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「自分、あいつ殺せるならタダでもいいっすよ」

 

リボルバーでガツンガツン撃ち殺していくリーアムとは対照的に、多弾数のオートマチックにレーザーポインタをつけ、ドラゴンボールスカウターライクなナイトビジョンまで持ち歩いてる現代っ子プライス。格闘だって負けちゃいないぜ!リーアムとボコボコに殴りあうシーンは必見だ。

 

子を想う気持ちをエネルギーに暴走する二大オヤジの激突でニューヨークはウォーゾーンに。「一線を越える」ことを決めた場面のリーアムは本作の白眉ともいえる勇姿を見せてくれます。監督があのジャウム・コレット=セラなので、演出は硬派でありながら外連味たっぷり。とにかくリーアムがここぞという時にキメるシーンでは、細かいカット割りで過程を見せたあとスローでググーっと引っ張ってからの……!!!ってこの演出、『フライト・ゲーム』でもほぼ同じ感じのやつありましたね。ぼくはこの演出が大好きなので、ここまできたら次作でもやってほしいくらいです。待ってるから!

 


映画『ラン・オールナイト』予告編 - YouTube