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2015年劇場公開映画ベストワーストいろんな賞

【2015年劇場公開映画ベスト10】

 

      1位 恋人たち

 2位 クリード チャンプを継ぐ男

 3位 マッドマックス 怒りのデス・ロード

 4位 キングスマン

 5位 ストレイト・アウタ・コンプトン 

 6位 ハイヒールの男

 7位 ナイトクローラー

 8位 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 

 9位 ハッピーボイス・キラー

 10位 誘拐の掟

 

ベスト10選評

10位:『誘拐の掟』

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『ラン・オールナイト』も素晴らしかったけど、個人的な好みとしてはこちら。ド外道の手がかりを追って薄汚く寒々しい街を私立探偵が黙々歩く。それだけで楽しい。幸せ。「7:30」a.k.a.鬼畜なサイコ野郎である犯人コンビが獲物となる少女に出会ったその瞬間、ドノヴァンの『アトランティス』が流れ出すシーンの不謹慎な高揚感が忘れられない。45口径をガンガン撃ちながら強盗を追い詰める冒頭やDEAへのガラス越し顔面パンチ、ホームレスの少年との交流、地下室の惨劇など今振り返っても好きなシーンがたくさん。

 

9位『ハッピーボイス・キラー』

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なんといってもエンディング。謎の多幸感に苦笑しながらも号泣。ぼくにはこの主人公を身勝手な人間だと切り捨てることができませんでした。

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8位『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』

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前作も最高だった『M:I』シリーズ最新作。もはやトム・クルーズは観客に「どうかしている……」と思わせる天才になってしまったので、こっちの心配もよそにどんどん次のステージへと進んでいってしまうが、その姿はずっと見ていたくなるような謎の多幸感で溢れている。本人が喜々としてやっているからなんだろうけど、超人でありながらも今作では引き立て役を買って出るなど実にスマートな余裕まで見せてくれて、それがまたたまらない。ジャッキー・チェンに次ぐエンタメ・クレイジーなトム・クルーズにはまだまだ死んでほしくないけど、次回作だってこの高すぎるハードルを越えてくれるんじゃないか、まあ越えるんだろうなと思わずにはいられないのであった。あとレベッカファーガソン、超好き。足を引っ張る女性キャラなんてとっくに時代遅れだと、超大作映画がどんどん宣言してみせる年だった。

 

 

7位『ナイトクローラー

「進めサイコパス!」映画。おぞましい一方で痛快なところもたまらないですね。

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sakamoto-the-barbarian.hatenablog.com

 

 

6位『ハイヒールの男』

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「どこまでが真面目なんだ……?」と思わせつつも、作り手の迷いのなさで一切白けることなく突き進む怪作。同じ枠に『神の一手』もある気がしますが、主演俳優のアンニュイで色っぽい表情と繰り出すアクションのキレが好みだったので、こちらを選出。ブスなオカマにビンタしてはっとしちゃうシーンなんて何度でも観たい。

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5位『ストレイト・アウタ・コンプトン』

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ヒップホップ弱者であるぼくだけど、創作することにまつわる快感であったり、大きな流れの中にいる高揚感、なによりぼくの大好きな青春の黄昏を描いているところがたまらない。実録ものは大体そうなんだけど、この映画でもエンドロールで号泣しました。それにしてもアイス・キューブの息子、似すぎだな~。

 

 

4位『キングスマン』

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ぼくは「ざまあみろ!」って気分になりたくて映画を観ているところがあるので、この映画におけるある「ざまあみろ!」シーンには感涙。教会大殺戮シーンなどもそうだけど、不謹慎で軽薄なものだからこそ表現できたこの映画の豊かさをかなり楽しみました。

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3位『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

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 全水準が高騰している奇跡のような映画なのは言うまでもないけど、パーソナルな部分に引き寄せて拳を握ることだってちゃんとできたところもありがたい。走って撃って飛んで壊す。小賢しいセリフ抜きにあれだけのことを繊細に語り切った作り手たちの手腕にも感服仕り候。層が厚すぎてめまいがします。

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2位『クリード チャンプを継ぐ男』

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数多の熱いシーンもさることながら、さりげない演出の数々も心憎い一本。何人かの方も感想でおっしゃっていたけど、この映画はゆとり世代と揶揄された経験のある人なんかにこそ観てほしい。ぼくは泣き腫らした虎の目で劇場を後にしました。いまここで新しい物語が動き出したのだから、これから戦っていかなければならないぼくらも階段を駆け上がり、開けた視界に広がるフィラデルフィアの街並みを共に望もうじゃないか。ロッキー・バルボアはちゃんと存在しているんだぜ!

 

 

1位『恋人たち』

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誰かに話を聞いてほしい人々のままならない日常と、ちょっとした折り合いのつけ方は、普段ぼくらの生きる世界ではあまりにありふれていることだからこそ、映画として目の当たりにすることで強烈に身につまされる。とにかくぼくなんかは人の痛みに構ってられるほど強くないから、だからこそ、この理不尽な世界でどうにかこうにか生きていられるんじゃないかと思う一方で、人のなんてことない言動の中に、温度のある光のようなものを見いだせて初めて、今日は空が綺麗だとか、連なるように視界が開けていくのかもな、とも思う。以下、人生は続くのでした。

 

 

いろいろアワード

 

【オープニング賞】

 『ワイルド・スピード SKY MISSION』より

お見舞いオープニング

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 このシーンによって本作がどういった「ものの限度」で進む物語なのかが一発でわかるという最高の場面です。この映画のステイサムは範馬勇次郎っぽさがありましたね。思い出すたび観たくなります。

 

 

【ベストファイト賞】

 『ネイバーズ』より

ディルドーヌンチャクファイト

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 小型のディルドーを構えるザック・エフロンに対し、セス・ローゲン「俺のはお前のよりデカいぜ!」という顔をするところとか、たまらないものがあります。

 

 

【ベストガイ賞】

 『クーデター』より

ハモンドピアース・ブロスナン

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 クーデターによって外国人狩りの始まった東南アジア某国において、またとないほど頼りになった不良オヤジ。元007俳優というキャリアを楽しむかのような役柄も相まって超クールでした。ここのところのブロスナンを見ていると『エクスペンダブルズ』シリーズにも喜々として出てくれそうな温もりを感じる。

 

 

ファムファタール賞】

 『薄氷の殺人』より

ウー・ジージェン(グイ・ルンメイ

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エッチだった。

  

 

【オムファタール賞】

 『フォックスキャッチャー』より

デイヴ・シュルツ(マーク・ラファロ

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その圧倒的な、周囲を狂わせるほどの父性にくらくら。

 

 

【悪役賞】

 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』より

イモータン・ジョー(ヒュー・キース=バーン)

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 はっきり言って全ての賞を『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に捧げてもいいくらいの気持ちだってあるのですが、全部が全部そうなってしまうとただの『マッドマックス』の記事になってしまうため、すべてを代表してこのあたりでイモータン・ジョーを選出させていただきます。核戦争後の世紀末を生きる彼は、奪われた女たちを奪還しようと自ら率先して改造車を飛ばすなど、その行動力、統率力は紛うことなきリーダー。股間に二丁のリボルバーをぶら下げていたりとそのシンボリックな外見からもわかるように、彼は野郎どもの神でもあるのでした。休憩時に目を閉じて鼻歌を歌う姿もV8! 

 

 

【無職賞】

 『ナイトクローラー』より

ルイス・ブルーム(ジェイク・ギレンホール

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  今年は『キングスマン』に出てきたスパイになって世界を救うような無職もいた一方で、無職にありがちなすねた態度が一切見られなかった謎の好無職がこのルイス・ブルーム。金網などを盗んで生計を立てる後藤祐樹じみた彼は、自分を売り込むことになんのためらいもなければ出世意欲も絶倫状態。ズケズケ自分を売り込んでは鬼畜の所業をやってのけるアクティブガイなので、目的達成への最短距離を爆走し続ける。痒いから掻くくらいのノリでモラルを唾棄するその様は現代社会の歪さに順応してみせるニューヒーロー。みんなも彼に師事しよう!塗装が剥げるからガソリンは垂らすなよ!VPN

 

 

【皆殺し賞】

 『キングスマン』より

教会大殺戮

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  アメリカ南部にある教会で大規模な殺し合いが発生する様をワンカット風の演出で描いた壮絶なシーン。手間、見応え共に最高。レイナード・スキナードの『Free Bird』が流れる中キリスト教右翼の人々と英国紳士が阿鼻叫喚を築き上げるという不謹慎なギャグでありながら、あるキャラクターの尊厳が踏みにじられるという物語上の悲劇の場面でもあるところが胸に迫る。

 

 

【ベストダンス賞】

 『薄氷の殺人』のアレ

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 なんなら憎たらしくさえ思える絶妙なダンスを披露する主人公。このシーンのふてぶてしい感じが、ラストの奥ゆかしさに呼応していてまたいいんです。

 

 

【主題歌賞】

 『ハッピーボイス・キラー』より

The O'Jays『Sing A Happy Song』


The O'Jays - Sing A Happy Song (Philadelphia Intern. Records 1979)

 主人公が職場のレクリエーションでコンガ・ラインをつくって踊る際に流れる曲であり、エンドロールでも軽快に鳴り響くゴキゲンなナンバー。脚本では元々『恋のマカレナ』が流れるという設定だったが、監督がその曲を嫌いだったためにこちらになったとか。そもそもこういう明るく楽しい曲ってつらい感情があってこそ生まれるような気もするので、この映画の構造にもマッチしていて最高でした。楽しい歌を歌おうなんて言葉、なんの悩みもない人からは出てこないだろうし。

 

 

【エンディング賞】

 『ワイルド・スピード SKY MISSION』より

"FOR POUL

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 主要キャストが亡くなったという現実に対して、映画だからこそできる最も熱く切ないお別れではないでしょうか。映画と現実の境界が曖昧になる瞬間。直前までニヤニヤしていたというのにいきなりの号泣。ありがとう。お疲れ様でした。

 

 

 


 

 

 

【ワースト……】

 『96時間/レクイエム』

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の監督 オ リ ヴ ィ エ ・ メ ガ ト ン

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こ、このやろう……!

 今年はいい映画ばかり観てきたので、昨年の『渇き。』や『TOKYO TRIBE』のように個人的に癪に障る映画には出会いませんでした。なので特別取りざたすほどのものでもないって感じですが、一応『96時間/レクイエム』がキツかったです。一作目のおいしかったところが何も残っていない味のしなくなったガムのような映画で……って観る前から惰性で作っている感じプンプンだったのにリーアム・ニーソンが頑張ってるらしいのでワクワクして観たんですが、オリヴィエ・メガトンの、作品を撮るごとに酷くなる嫌がらせじみたカット割りの応酬とか、そのくせモタモタして見える人の生理に逆らうような編集とか、アクション映画を観に来たというのに、劇場の暗闇の中、前の人の後頭部をしばらく眺めてしまうほど憂鬱に。アクションに興味がないとかもう別にそれでもいいんだけど、せめて俳優の演技を殺すような真似だけはしないでほしい。リーアム・ニーソンは老体にムチ打ってスタントを使わなかったシーンなどもあるらしいので、おいメガトン、コラ!ジャンルへの興味のなさが演出の客観性に一役買っているならよかったのにね。本当に興味がないって態度だけ伝わって来るから、むしゃくしゃするんだろう。なんでぼくはどの作品の感想よりも長く『96時間/レクイエム』なんかに怒っているんだろう。ただメガトン監督、セガールとの相性は良さそうだとは思いました。セガールと大暴れしてくれたら文句なし。ふと思ったのですがメガトン監督、スマホをいじりながら観るのにちょうどいい映画をつくる才能は高いのかもしれません。映画館向きじゃなかっただけかもしれませんね。ずっと画面観ててごめんなさい。ぼくが悪かった。

 

 

 


 

 

 2015年も数多くの映画に出会えました。全体的に新しい時代の幕開けを告げるような映画を多く観たような印象です。また新しい一年が始まります。それではみなさん、良いお年を!