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のんと能年玲奈/『この世界の片隅に』&『海月姫』

 

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能年玲奈が「のん」への改名を発表してから4ヶ月。 その報せを初めて聞いたとき、ぼくははっきりとした違和感を覚えていた。「いや、のんって!」ということではない。そもそも「能年玲奈」という名が彼女の本名のはずなのに、なんでその使用を禁じられているんだ、バカ野郎、冗談じゃねえ、ということだ。いくらかわだかまりも残ってはいたが、なにはともあれ能年玲奈が戻ってくる。その点に関してはまごうことなき吉報で、ぼくはとても嬉しかった。振り返ってみればなんと1年半もメディア露出がなかったのだ。ぼくは週刊誌が大好きなので、彼女の「騒動」に関するいろいろな記事を読んでいたし、彼女に対するネガティブな記事を書いた媒体すべてを記録したメモに「どうでもいい圧力に屈した雑魚ども」と銘打ち、これらを二度と読まないと誓ったりもした。メディアの露出が減ろうとも日々ブログを更新し続けていた能年ちゃん。あわよくばを期待して新宿御苑周辺をウロウロしたこともあった。そんな彼女がようやく、その才を発揮できる場を得るためだというのなら、改名だってなんのその。いろんな戦い方をしてほしいし、できる応援ならしていきたいと思っている人は大勢いるのだ。

 

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ということで『この世界の片隅に』を鑑賞してきた。能年玲奈が「のん」に改名して初の主演作品ということになる。アニメーション映画なので声での出演だ。こうの史代さんの描いた原作は未読だけど、映画におけるその柔らかなタッチで描かれた「日常」のあまりの情報量とテンポに、のんびり構えていた頭がちょっと混乱した。しかしそれも押し付けがましい圧の強いものではなく、映画で描かれている時代、場所で、確かに流れている時間を、いっしょになって体験しているかのような没入感を与えてくれるものだった。なにより主人公すずを演じたのんa.k.a.能年玲奈の声。「ぼーっとしている」と自嘲気味に話すすずに、文字通り息を吹き込む、命を宿すという偉業を彼女はやってのけていたと思う。そのおかげもあって、ぼくらは知りもしない昭和の、反省や後知恵で構築された初めから忌むべき対象としてあるのではない、そこにある「戦時」を味わうことができたのだ。だからこそ、彼女がなにを喪失するかも痛く響いてくるのではないだろうか。やったぜ能年ちゃん!ぼくはこの映画に携わったあらゆる人に畏敬の念を抱いるけど、これまでの経緯などをふまえたうえで、今作の能年ちゃんには顔面の失禁をこらえることができなかった。今年公開された中でもベスト級の作品に能年ちゃんが出演していて、かつめちゃくちゃいい演技をしていた、それを大勢が観て感動して褒めてくれている、その構図がぼくの胸中をぬくもりで満たしてくれた。

 

結果ぼくは『この世界の片隅に』及びのんa.k.a.能年玲奈のことが頭を離れなくなった。しかし原作や関連商品に手を出そうにも現在清々しいほどお金がないので、その欲求に関してはただじっと耐え忍ぶしかない。いまの自分に出来ることといえばかねてから気にはなっていたものの中々手が伸びなかった彼女の主演作『海月姫』 を鑑賞すること。ということで『海月姫』を鑑賞した。ぼくは能年玲奈を吸収し、明日へと歩を進める活力に変えたかったのだ。

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はっきりいって『海月姫』の能年玲奈はとてつもなくかわいい。魅力が溢れていて、尊い。この映画には、彼女の輝かしい瞬間がギュッと詰められている。さらに書くとすれば、キャストもとても豪華だ。能年玲奈のほかにも菅田将暉長谷川博己が好演を見せている。2016年に話題となった映画(『ディストラクション・ベイビーズ』『シン・ゴジラ』『この世界の片隅に』)の出演者たちがこぞって共演している様を見ると、未来人として感慨を覚えてしまう。また、『アイアムアヒーロー』で見事なゾンビっぷりを見せつけてくれた片瀬那奈のコメディエンヌぶりにもびっくり。周りが漫画っぽい演技を「頑張る」中、片瀬那奈の演技はこちらが気を遣わずにすんなりコメディとして受け入れられる「技」を感じた。それにしてもこの映画の能年ちゃん、撮影がさぞ楽しかったんだろうなと思えるほど目を爛々とさせていて、この勢いが2016年に復活したことを考えたときに、改めてジーンとした。

 

いろいろあるけど、頑張ろうよ。ぼくはのんa.k.a.能年玲奈について考えるとき、決まって最後はそう思う。なんてことのない言葉だけど、それを実践する様を見せられると言い訳するのも野暮に思えてくるから不思議だ。彼女の今後の活躍が、いまから楽しみで仕方がありません。

 

 

 

 

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