読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ドラマ版『ハンニバル』を観た(season2)

ドラマ

 

f:id:sakabar:20161203105407j:plain

 

残酷で陰鬱でリッチなドラマ『ハンニバル』 にどハマリしたぼくは、変に間をあけてはならぬと意気込み、世に言うIkkimi(一気観)を敢行したのであった。

 

【警告】以下ネタバレあり

 

season1までのあらすじ

FBIアカデミーの講師ウィル・グレアム(ヒュー・ダンシー)は、自閉症スペクトラムの一種として異常なまでの共感能力を有していた。そんな彼の能力を買ったFBI行動分析課のボス、ジャック・クロフォード(ローレンス・フィッシュバーン)は、アメリカ各地で起こる事件の捜査協力者としてウィルの起用を提案する。しかしFBIコンサルタントで元心理学者のアラーナ・ブルーム(カロリン・ダヴァーナス)は精神的な負荷を懸念してウィルの起用に反対。そこでジャックは起用の条件として、高名な精神科医ハンニバル・レクター博士(マッツ・ミケルセン)にウィルの精神鑑定を依頼。かくして全米各地で起こる猟奇事件の捜査が始まるのだった。

 

sakamoto-the-barbarian.hatenablog.com

 

が、いろいろあった末にウィルは殺人容疑で逮捕されてしまう。

すべては元外科医の精神科医で美食家でありながら食人天才サイコパスという素顔を隠し持ったレクター博士の策略だった……。

 

 

 

第1話『懐石』FBI捜査官のジャックとレクター博士が壮絶な殺し合いをする。致命傷を負うジャック。物語は「12週間前」まで遡る……。ウィルのことを心配する面々と心配する演技を続けるレクター博士。その日々と併せて今回も事件が発生。川の中から大量の遺体が発見され、それらすべてに魚の剥製をつくる工程と同じ処理が施されていた。

 

冒頭からFBI捜査官ジャックとレクター博士の激しい殺し合いシークエンス。こちらが呆気にとられていると、そこから時間をさかのぼってみせるという憎い演出が。この作品に限らず、ドラマは「引き」をつくるためのためらいがないので楽しい。

一方でちゃんと殺人事件を起こしてくれるところもサービス過剰な感じでありがたいですね。

今回は大量の死体を使って「作品」を作るアーティストタイプの殺人鬼が登場。

過多な情報が錯綜するなか第2話へ。

 

 

第2話『先付』拘留中のウィルはレクター博士の動向を探るために、自らのセラピーを依頼する。一方、川からは新たに遺体が発見される。

 

一線を越えてくる相手に対し、こっちも一線を越えてやるというウィルの意気込み感じられる回でした。犯人の所業と、迎える結末にはハンニバル・レクターという男のいやらしいほどのカリスマが見てとれますね。相変わらず時間と労力のかかる異常な犯罪を犯すやつらが後を絶たないので、そういう意味でもリッチな気分に浸れる素晴らしいドラマだと思いました。

あと、レクター博士が悪いことを行う際に着用する透明な雨合羽みたいなやつ。あれを着て年末の大掃除などに励んだらテンションが上がりそうです。

 

 

 第3話『八寸』ウィルの裁判中に切断された耳が届けられる。その切断面から使用されたナイフはウィルに容疑がかけられている事件の証拠品であることが判明。保管庫の管理担当者が犯人か?と警察がその人物の家に突入したところ、トラップが作動し部屋が爆発。消火された部屋からは、保管庫管理担当の男が鹿の角に突き刺された状態で発見される。 

 

 鹿の角に突き刺された遺体はこれで何体目なのでしょうか。しかしこの一件のおかげで裁判中で動けないウィル以外の異常犯罪者が隠れているのでは?とみんなが思ってくれてひと安心。どうせレクターだろ、と思っていると、レクター以外の第三者の存在が匂わされ、さらに情報が混み合ってきます。ぼーっとしているとおいていかれてしまうのがこのドラマの魅力。最後の方でもう一体派手な遺体が出てきますが、そのころになるともはや異様な遺体ごときじゃ驚けなくなった自分に気づけます。

 

 

 第4話『炊合せ』ウィルは面会に来た行動科学捜査員のビヴァリーに、死体絵画の中央に位置していた人物を徹底的に調べるよう助言する。その人物こそ死体絵画を作成した張本人であり、レクターによる説得で自らアートの一部となった被害者であるとウィルは読んでいた。一方、森の中では新たな遺体が発見される。遺体の脳と眼球はくり抜かれ、そこに蜂たちが巣を作っていた。

 

人間養蜂場というseason1「人体きのこ栽培」に次ぐ異常な遺体の登場。

犯人の正体は善意を暴走させたロハス系サイコでしたが、みんないろんな技術を持っていて恐ろしいですね。一方で本筋であるレクター絡みの事件ですが、ウィルの助言によってビヴァリーがレクター宅に侵入し、「なにか」を発見。その背後に佇むレクター。銃声が轟いて次回へ。

主要キャラクターも平気な顔して退場させていく点も海外ドラマの醍醐味って感じがしてたまりません。

 

 

第5話『向付』ビヴァリーの切断遺体が発見される。ウィルは「彼女は僕を信じたから死んだ。同じことは繰り返さない」と宣言。精神病院の看護師であり彼のファンだと声をかけてきた保管庫担当職員惨殺事件の犯人を名乗る若い男を懐柔、レクター殺害を指示するのだった。

 

ビヴァリーのあまりにあんまりな切断遺体にドン引き。レクターの悪行&涼しい顔に怒りを禁じえません。そこにきてついに一線を越えるウィルの行動にも興奮。「バケモンにはバケモンをぶつけるんだよ」という『貞子vs伽椰子』 っぽい発想に胸が熱くなります。そんなウィルの刺客ですが、とはいえ天下のレクターと渡り合えるかと言ったら……意外と善戦していましたね。ジャックの登場がもう少し遅れていればレクターは死んでいたはずです。後一歩でした。彼の健闘を称えましょう。

 

 

第6話『蓋物』桜の木と一体化した遺体が発見される。ウィルはseason1に登場した殺人鬼ギデオンと接触し、レクターを挑発する。ウィルの策略に気づいたレクターは、ウィルと仲のいいFBIコンサルタントのブルームと寝る。また、二年前に「チェサピークの切り裂き魔」によって殺害されたと思われていたFBIアカデミーの訓練生ミリアムが発見される。

  

発生する猟奇殺人事件と並行して白熱するウィルvsレクター。ウィルはかつてレクターと接触した殺人鬼のギデオンと精神病院内で接触。一方のレクターはウィルの淡い恋心を弄びます。この過程でどんどん名も無きものたちが死んで行くので胸が痛い……。見張りの警官にだって人生があるんだぞ!

 

 

第7話『焼物』「チェサピークの切り裂き魔」の被害者であり唯一の生存者でもあるミリアム。彼女に面通しをしてもらうが、レクター博士には反応を見せない。一方でもうひとりの容疑者として浮上したのが精神病院の院長チルトン。彼の家に現れたレクター博士はチルトンを眠らせ、チルトン宅を訪問したふたりのFBI捜査官を派手に殺害。さらには四肢を切断されて死亡したギリアムの遺体も放置することでチルトンにすべての罪をなすりつける。ジャックに逮捕されたチルトンをマジックミラー越しに確認したミリアムは突然パニックに陥り、一瞬にして拳銃を奪い取るとチルトンの頭めがけて発砲してしまった。 

 

チルトン博士が不憫すぎる!全部の罪をなすりつけられ、挙句の果てに銃撃されるなんて。レクター博士の偽装工作技術はやや豪快すぎて、逆に疑われなさそうな感じが嫌ですね。細かいことはいいから撃っちゃえよ、というのは責任を持たない外野の意見でしかありませんし、ぼくらは事の成り行きを見守ることしかできません。

 

 

第8話『酢肴』死んだ馬の胎内から人間の遺体が発見される。勾留を解かれたウィルはレクター博士にセラピーの再開を依頼。一方、レクター博士のもとに通う女性患者マーゴは自らの兄を殺しかけたことをセラピーで報告。レクター博士守秘義務を守ると告げたあと、お兄さんを殺すことこそ一番の治療になると伝え、計画をさらに練るか、代行者を探すように助言する。

 

馬の胎内から遺体が発見され疑われる動物保護施設職員のピーターだけど、真犯人の正体はそのソーシャルワーカーという展開に唸らされました。レクター博士精神科医。犯人のソーシャルワーカーも含めて人を助ける立場を利用して弱者を操作する卑劣なやつら。福祉業界の暗部を見せられたような回でゾクゾクします。ちなみに新たな登場人物マーゴといえば原作『ハンニバル』 にも登場する大富豪メイスン・ヴァージャーの妹。『ハンニバル』的展開に突入しそうなので興奮します。ちなみにこの回の監督は『CUBE』 『スプライス』 ヴィンチェンゾ・ナタリです。「馬の胎内」とかそういう要素がぽかった気もします。

 

 

第9話『強肴』獣に襲われたかのような無残な惨殺死体が発見される。損傷は激しいながらも食べられた形跡がないことなどから、これは獣になりたいと願う人間の犯行だとウィルは推理。いろいろ調べた結果、レクター博士の患者の中に、かつてそのような願望を持った少年がいたことが発覚。現在、そのランドールという名の男性は博物館に勤めていた。

 

とても好きな回です。というのも「生まれ持った自分の肉体に違和感を覚えながら生活してきた“獣”の心を持った男」というランドールのキャラクターが素晴らしい。また動物の骨で作成したアーマーで武装して、夜な夜な人間を狩るという行動もさることながら、かつてお世話になったレクターに操られウィルを殺しに向かうという展開も楽しかったです。しかもウィルが見事返り討ちにしてランドールの亡骸を持参しレクター邸に現れるシーンもクール。神経衰弱王子ウィルというよりはすっかりタフガイ。レクター博士も「君にはサイコパスを送りつけれたのでこれでおあいこだよ」とか言っていました。確かに!

 

 

第10話『中猪口』前回、獣男ランドールを返り討ちにしたウィルは、レクター博士に「生の実感を得た」と過激な告白をする。レクター博士はそんな彼に傷の手当てを施し、協力的な態度を示すのだった。後日博物館では、バラバラにされ、動物の骨と組み合わされたランドールの遺体が発見される。悪に染まったウィルはマーゴと寝る。レクター博士はマーゴの兄でありサディストの大富豪メイスンと接触、君もセラピーを受けてはどうかと誘う。

 

このあたりからぼくは物語の先行きに不安を覚え始めます。レクターvsウィルを楽しんでいた者としては、ウィルがレクターに取り込まれちゃう展開なんて見ていられません。ラストのある行動なんてもう……。その一方でヴァージャー家絡みの話が盛り上がってきたため興味は持続されます。妹にモラハラしまくり、泣かした子供の涙を採取して酒に入れて飲むという気持ち悪い嗜好を持つメイスン。映画『ハンニバル』ではとんでもない姿になっていましたが、彼もこれからそうなるのでしょうか。期待が膨らみます。

 

 

第11話『香の物』FBIの駐車場で車椅子に固定されたまま焼かれた遺体が発見される。検死の結果、遺体は新聞記者ラウンズのものだった。一方でマーゴが妊娠する。父親はウィルだ。マーゴは後継者である息子を手に入れるためウィルと関係を持ったのだった。それを知った兄のメイスンは、マーゴを襲わせ、腫瘍が発見されたと適当な理由をつけてマーゴの子宮を摘出してしまう。それを知ったウィルは激怒。メイスンを殴り、「お前の豚にはすべての元凶であるレクターを食わせろ」と唆す。 

 

前回に引き続きウィルへの気持ちが離れつつあるぼくは、サイコな大富豪メイスンから目が離せません。レクター博士とイチャイチャするウィルよりも、妹の心体と尊厳をここまで蹂躙するのかという鬼畜な所業にドン引きすること請け合いの展開でした。しかしその一方でラストのウィルの発言から、ウィルは決してレクター博士に篭絡されたわけではなく、密かに反撃の機会を狙っているらしい様子がうかがえます。これにはとてもテンションが上がりました。

 

 

第12話『止め椀』マーゴの復讐案として「メイスンの殺害」で意見を一致させるレクターとウィル。一方でウィルはメイスンにレクター博士を拉致させる。豚小屋で吊るされたレクター博士の前に登場するメイスンとウィル。しかしここぞという隙を突いてウィルはレクターの拘束具をナイフで切断。メイスンの手下たちに殴られ気絶したウィルが目を覚ますと、そこにメイスンやレクターの姿はなく、豚の餌食となったメイスンのボロボロになった手下がぶら下がっているだけだった。そのころ、レクターはウィルの家に。彼はメイスンに薬を飲ませたあと、自らの顔の肉を削ぎ落としたあとで犬に食べさせるよう暗示をかける。かけつけたウィルはドン引き。トドメをさせというレクター博士の指示も拒否。レクター博士は、やれやれといった様子でメイスンの首の骨を折るのだった。

  

メイスンの顔面破壊、ついにきました。首の骨が折れても生きながらえたようで、ものすごい顔のまま車椅子生活に突入、ということで映画『ハンニバル』のあの姿になったわけです。ウィルはレクターに篭絡されたふりをして彼の逮捕を画策しているようですが、レクターにバレてないはずはない、そんな気がして落ち着きません。なにはともあれ次回でseason2は最終回。ウィルがレクターに対し、みんなに正体をばらすよう諭していました。これでようやく第1話の壮絶な殺し合いにつながることになりそうですね。楽しみ。

 

 

第13話『水物』ウィルはレクターと逃亡の計画を立てるその裏で、FBIのジャックとレクター逮捕の作戦を進めていた。

  

ついにレクター博士が大量殺人の容疑者としてジャックと衝突。

激しい殺し合いの末にジャックは致命傷を負い、ワインセラーに篭城。ドアを破ろうとするレクターの姿をブルームまで目撃、というラストにふさわしい本性大公開っぷりに興奮が抑えきれません。

ジャックの加勢としてレクター邸を訪れるウィルですが、そこには死んだはずのアビゲイルの姿が。彼女はブルームを2階から突き落としたあと、ウィルの目の前でレクターに首を切られてしまいます。これってseason1第1話の模倣ですね。ウィルからアビゲイルを何度でも奪ってみせるレクターの底意地の悪さ、超憎たらしいです。

ということで、結果全員がレクター相手に惨敗を喫したわけですが、これだけ派手に暴れたらもう陰湿な裏工作は通用しなくなりそうなので、season3でどういった展開になるのでしょうか。外国に逃げるのだとしたら、映画『ハンニバル』のような展開が待ち受けていそうです。  

 

 


 

 

ということで以上、『ハンニバル』season2でした。season1を意図的にざっくりまとめたこともあったので、その反動からか大変長くなってしまいました。

season3の感想はまた次回。「メイスンリベンジ編」に期待大!

 

f:id:sakabar:20161203120053j:plain