舞城王太郎と中条あやみはどっちも六文字

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2017年になりました。今年も楽しくいけたらいいなと思っています。それ以外に、なにを望むっていうんだ。急に太字になるのは最近海外文学を読んでいるからです。僕の考える海外青春文学っぽさです。とにかく今年は好きなものを声高に唱えていけたらいいなとも思っています。

 

海外文学などにも大きな影響を受けているっぽい作家といえば舞城王太郎がいます。もちろん村上春樹を挙げてもいいのですが、著作をほとんど読んだことがないので、ポスト村上と言われたり言われなかったりしている舞城王太郎を挙げさせていただきます。初めて読んだのは高校のころ、ド田舎に住んでいた僕はイオンの中にある田舎者のサブカル予備校ことヴィレッジヴァンガードで派手なポップとともに積まれていた『煙か土か食い物 』を手にとりました。それが出会いだったように記憶しています。メフィスト賞を受賞した舞城王太郎のデビュー作です。そのポップには「ウーファーの前にいるような文章」みたいなことが書かれていましたが、当時の僕はウーファーを知らなかったので「は?」となりました(のちにくるりの『ハイウェイ』を聴いてなんとなく察しました)。

 

ウーファー - Wikipedia

 

なにもいきなり好きになったというわけではありません。どちらかというとそのトゥーマッチな圧のある口語文体や奔放な展開(いわゆるスリップストリーム)に食傷気味になったほどです。そのくせ地元の図書館で借りたい本が見つからないときなど、なんとなく舞城王太郎著作を手に取ることが何度かありました。『熊の場所』、『阿修羅ガール』……。ひー!面白いけどついていけない!そう思ってまたしばらく間を空け、卒業間近、進路が決定したことでなにかまた読もうかな。そう思って芥川賞候補にもなった『好き好き大好き超愛してる。』、続いて短編集『スクールアタック・シンドローム』を購入しました。『スクール~』に収められている文庫用書き下ろし短編『ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート』を読んだ僕は、そこで初めて自分の中で舞城王太郎という作家がなにかしらの位置を得た気がしたのです。チンポジのように。

 

スクールアタック・シンドローム(新潮文庫)

 

舞城王太郎の小説に関して言うと、なんだかんだ物語が帰結する先が「愛」とか「正しさ」である点が好きでした。そしてその結論に至るまでの「熟考」。とにかく「考えろ」という至上命題がそこにはあって、読み手は登場人物の目まぐるしい思考にライドします。そのテーマが極限まで達したのがSF長編『ディスコ探偵水曜日』なのではないでしょうか。はっきり言ってマラソンのような読書体験でしたが、そのキツさこそが「考えるのをやめるな」というテーマをより鮮烈に表現していたように思います。

 

僕は舞城の書く短編も大好きです。舞城の書く短編は、ひとつのテーマに向かって半ば過剰にも思えるほど、システマティックな構成で見せる物語が多い気がします。一番新しく発表された短編集である2013年の『キミトピア』では、書き下ろし作品も多数収められていて、たいへん充実した内容となっていました。しかしその一方で、『真夜中のブラブラ蜂』という短編を読んで、舞城の伝える「正しさ」に胸焼け、並びに懐疑的な思いも抱くようになってきたのです。もっと正直に言えば、主人公である主婦がウザいババアにしか思えなくて、いやだ~!でも物語的にこの人物を肯定しなきゃ……と勝手にこしらえた義務感との間で葛藤し、ひとり混乱していたのです。お恥ずかしい。僕のそういう衝動は衝動としてまた別の機会に考えなければならないものだと思います。

 

2017年になってまだそう経ってはいませんが、舞城は新作短編を発表しました。新潮 2017年 02 月号に掲載された『秘密は花になる。』です。その冒頭を読んだ僕は、また『真夜中のブラブラ蜂』っぽい話か!?と少々身構えてしまいました。子を持つ母親の話です。しかし今回は、どこか趣が違う。なんなら『真夜中のブラブラ蜂』や『やさしナリン』(同じく『キミトピア』収録)なども孕んでいた「圧の強い正しさ」へのセルフアンサーとも取れるような読後感がありました。まだ読んで日が浅いので咀嚼しきれていない部分も多々ありますが、「正しいかどうかより、考えること自体に用がある」という、なんだかんだいつもどおりの着地な気もします。そんな体幹のしっかりした舞城ですが、今年は『龍の歯医者』というアニメの原作・脚本を務めるらしいです。精力的でびっくりしますが、そろそろまた暴力的でアッパーな小説も書いてほしい気もします。待ってます。

 

 

P.S.

東出昌大似であることがだんだん気にならなくなってきた中条あやみさんですが、本名は中条あやみポーリンというらしいです。そこから派生して「ポーちゃん」と呼ばれているんだとか。なんだかジャッキー・チェンみたいですね。それではまたお会いしましょう。さようなら。 

 

ディスコ探偵水曜日〈上〉 (新潮文庫)

ディスコ探偵水曜日〈上〉 (新潮文庫)

 

 

キミトピア

キミトピア