MidnightInvincibleChildren

『ぼくは勉強ができない』じゃございません

 

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全然勉強ができない。そのことについてここ数年、考えたり考えなかったりしている。おそらく僕の知能レベルもさる事ながら、性格にこそ大きく起因する話なんじゃないかと最近になってようやく思い至るようになってきた。僕にはすぐ人に話を合わせてしまう癖があって、それはかなりの悪癖で、いろいろな弊害が後になって一気に押し寄せ、曖昧な笑みや過剰な謝罪で対応するしかなくなる。そういう場面はこれまでにも何度もあった。わかったふりをしてしまうのだ。会話の全貌をいち早くつかみたいがために、多少の疑問や謎を流してしまう。全貌にたどり着いたところで、要点をスルーしているので結果「は?」となることが多く、相手も「は?」となる。そうなるともう殺し合いだ。そのせいもあって殺伐とした日々を送っているが、殺伐ついでに勉強もできないとなると、それはやっぱり嫌だ。ぜんぶナシはおかしいでしょ、ちょっとくらい与えてくれ、という思いが尽きることはない。

 

なぜ話を合わせる癖があると、勉強ができないのか、というと、もうそのまんまなんだけど、言葉や文章に対してもテンションだけを合わせてしまうのだ。ふんふん、なるほどなるほど、と頭では思ってはいても、それはいつもの癖からくるリアクションというだけで、なにも頭に残りやしないのだ。そういうことから、資格の勉強などをしようにも、いざ本番を迎えたところで「は?」となる。そんなこんなであらゆる試験には落ちてきたし、「成功体験の乏しい自分」だけが月日とともに強化されていくだけ。もう疲れました。『ぼくは勉強ができない』という小説でも書こうかな。

 

な~~~にが『ぼくは勉強ができない』だ、と大学時代、『ぼくは勉強ができない』 を読んだ僕は思った。函館にある、函館山が望める日当たりのいい部屋のベッドの上に寝そべる僕は、村上龍『69 sixty nine』 の方が断然好きだったのだ。『ぼくは~』の方は、山田詠美の「私の理想のイケてるナマイキボーイ」感に、他の軟弱な男どもも見習いたまえ、という当てつけ臭さを感じ取ってしまい、鬱陶しくてたまらなかった。軟弱な男どもだからだ。一方で『69 sixty nine』の主人公だが、嘘つきで卑怯で軽薄ではあるものの、結局最後まで好きな女の子にキスひとつもできなかった。その一点だけとっても『エクスペンダブルズ2』の冒頭に登場する改造トラックくらい「なんだか」愛おしい。自分の感じた「なんだか」は蔑ろにしたくない。その感情こそ僕だけのものだからだ。当時の僕は、過ぎ去ったばかりの高校時代を振り返りながら、最高の男子高校生を描けるのはいったい誰なのかばかり考えていた。その一環として手にとった『ぼくは~』は苦手だった。主人公はぜんぜん馬鹿じゃなく、むしろ大人さえたじろがせるほど聡明なくせに、それなのになお、みんなに勝とうとばかりしている。端的に言えば全然ダサくないのだ。親父の金玉に帰れ。みんな慎ましくあるべき、だとは思わないので好き勝手やってもらって構わないけど、僕はちょっと遠くに離れておくね、ば~い。そんな小説だった。

 

そもそも男子高校生という生き物がダサくないはずがない。ブームを測る尺度としてすぐ登場させられる天下の女子高生がそもそも絶望的にダサいんだから、男子がダサくないはずがない。女子高生はダサい。おしゃれな服を着ていてもダサいし、髪を巻いてもすね毛剃っていてもダサい。男子はおしゃれしないし髪も巻かないしすね毛も生やしっぱなしなので言わずもがなダサい。極めつけは、ダサいダサくないに必死なところが一番ダサい。これがいわゆる「ダサイクル」というやつだ。石黒正数先生が『ネムルバカ』でそう描いておられた(いま調べたら「駄サイクル」でした)。

 

石黒正数先生といえば代表作である『それでも町は廻っている』 が最終回を迎えた。最終巻である16巻を読んだ僕はしんみり。ほとりちゃんの「夢への第一歩」を描くエピローグの加減が絶妙でとても良かった。あくまで「高校生活3年間」の話なので、大団円!!!すぎないあのラストもちょうど良かったと思います。だって人生はこれからも続くんだもの。

 

人生は続く。僕は勉強ができないし、往年のアイドルは線路に立ち入り、若手女優は出家、工作員が正男を暗殺する。余生にしがみつく生臭いクソジジイどもは、「かつての苦労」を盾に呪いの壁を築き続ける。レッドカーペットの染料はやつらの血で決まり。ニヒリズムを滅多刺しにしよう。僕はもう話を合わせるのをやめる。人との会話では否定から入るし、水だって差せば腰も折る。力ずくで自分の話題に持っていく。自分だけずっと喋る。そんな人間になるくらいなら、真面目に勉強したほうがマシ。

 

 

 

 

 

 

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