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イングロリアス・マザーファッカー【vsバイト編】

 

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春といえばバイトの季節

 

新年度が始まり、新たな環境に身を置くこととなった人々がはじめるものといえば自殺かアルバイトと相場は決まっております。自殺した人はブログなんて読めませんので、残るはバイトの人のみ。みなさん、バイトしてますか?あるいは、バイトをしていましたか?よほど実家が太いか、私は田中慎弥だという人以外はアルバイトを経験してきたと思います。そんなみなさんに僕は言いたい。

 

カ ッ コ イ イ !

 

バイトをするのはとてもカッコイイことです。なぜならバイトは楽しくないからです。「楽しいバイト」というものはこの記事における「バイト」の概念には当たりません。そもそも、大変矛盾を孕んだ表現ですよね?

今日ここで出てくる「バイト」という言葉はすべて、ちっとも楽しくなく、失敗ばかりで、惨めで、孤独で、ずっと帰りたくて、動悸がして、頭がぼーっとしてくる、あの低賃金な行為すべてを指しています。そんなバイトを経験している人は総じてカッコイイ。あなたはとても勇敢な人間なのです。バイトで嫌な経験をし、「辞める」という形で一区切りつけた猛者たちを、どこかのある部族の間では「イングロリアス・マザーファッカー」と呼ぶそうです。

 

 

イングロリアス・マザーファッカー

僕自身、自慢ではありませんが、これまでにいくつかのバイトを経験してきました。そしてそのすべてで筆舌に尽くしがたい思いを味わってきました。しかし世間一般の基準においてそれらは「大したことない」だの「人生において必要」だの、随分と勝手な言葉で片付けられてしまう程度のものだったようで、人前で話そうにもためらわれることばかり。こんな肩身の狭い思いまで残していくなんて、バイトとはどれだけ恐ろしいものなのでしょう。以下には、そんなバイトと僕の記憶の数々を記していきたいと思います。

 

★寿司屋vsイングロリアス・マザーファッカー★

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大学三年の一年間、僕は大学近くの寿司屋でバイトをしていました。きっかけは卒論に集中したいという先輩からのお願い。回転しない寿司屋ということもあり、ついつい背伸びしたい年頃であった僕は二つ返事で快諾。火蓋は切って落とされたのです。

 

【メモリーズ】

  • あまりの無能っぷりに数時間にわたる説教
  • のちに「ここのバイトは必ず一回は俺に雷を落とされるから」と大将ニヤリ
  • 映画鑑賞という僕の趣味に対し「お前のそれは否定はしない。でも俺はここでお客さんの人生の話を聞いてるほうが断然面白いと思うけどね」という否定
  • 常連の社長さんに「バイトの時給いくらなの?」と聞かれた大将が50円盛って報告
  • ある日カウンターの中でお弟子さんとバイトたちの話をしていた大将が「そういう世代なんだろうね」とポツリ
  • 最終日に「言われたこともできねえんなら要らねえぞ」と言われる

 

【マザーファッカーズ・アンサー】

  • 大学で外せない実習があると伝えオリジナル夏期休暇をとる(二週間)
  • 樽のビールを厨房内に散布
  • 貴重な珍味を残飯だと思って勝手に下げ、三角コーナーに捨てる
  • 常連さんが注文していた蟹の数を間違えて渡す
  • 空き時間は全員をサブマシンガンで撃ち殺す妄想
  • 要求されていた後任者を探すことなく、シフトに穴を開けて辞める

 

なんと一年もの間そんなバイト先に勤めていた僕は、最終的に前任者の先輩と同じく「卒論や就活があるため」という理由を告げ、後任の誰かを連れてくることを条件に辞めることが決まりました。しかし「もうすぐ解放される!」という興奮に酩酊した僕は、後任者をさがすことなく最終日を迎え、運の悪いことに当日発熱してミスを連発、大将に無能っぷりと後任者を連れてこなかったことを同時に怒られバッドエンドを迎えます。激高した大将の「言われたことできねえんなら要らねえぞ」という発言に対して「どのみち今日で辞めるから関係ねえわ」と内心ほくそ笑むほど異様な精神状態に陥っていた僕は深夜にまで及んだバイトの帰り道、口笛を吹きながら記念に携帯で自撮りをしたほど超ゴキゲン。バイト関係者の連絡先も速攻で削除しました。

 

妄想内掃射で愛用していたサブマシンガンMAC-10です ↓

www.youtube.com

 

 

 

 

★人材派遣アルバイトvsイングロリアス・マザーファッカー★

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大学を無内定で卒業した僕にとって人材派遣会社への登録は自然な流れ。倉庫内軽作業などの比較的簡単な業務を単発で入れるところもなんだか魅力的。人間関係を築くリスクを思うと気が遠くなるので、ここはひとつ、後腐れを気にせず収入を得られる派遣に決まりだ。そう思った僕でしたが、ここでも自らのアイデンティティーと向き合うハメになるのでした。

 

【メモリーズ】

  • 軽作業とは名ばかりの重い商品
  • 派遣の挨拶を無視する社員
  • 終日「ポケット般若心経」の検品で発狂寸前(ノルマである検品数に達しないと罵声が飛ぶ)
  • 長時間立ちっぱなしの作業にて、午後の作業開始直後に元ヤン風おばさんが「眠いだるい疲れたやる気ないって人にはさっさと帰ってほしいくらいなんですけどねえ!」と怒鳴り、全体の士気低下
  • 緊張で喉が締まって声が出づらくなったのを「やる気がない」とみなされ叱責を受ける
  • でんでんそっくりな社員のおじさんから指示を受けるも滑舌が悪く聴きかえすたびに罵声
  • 帰り際、名前を記入する用紙に記入し忘れたことを思い出し、戻って記入していると警備員のおじさんが「バカばっかだな」とつぶやく

 

【マザーファッカーズアンサー】

  • 少しでも感じの悪い現場だと、「もう二度と会わない」ことを武器に全力で手抜き
  • 交通費を出さない現場に対しては、移動で疲れたぶん堂々と休む
  • 「わからないまま進めずに、ちゃんと質問して」の言い方が少しでも高圧的だと絶対に質問しない
  • 業務終了直前にミスをして、後始末を社員に任せ帰宅 
  • 倉庫を出てすぐに「死ねジジイ」と独りごちる
  • 倉庫を出てすぐに「死ねババア」と独りごちる
  • 二日連続勤務にも関わらず二日目は行かない風邪をひいて寝込む
  • その倉庫のある地域には近づかない

 

そもそも派遣バイトは、一番はじめの会社での登録の際にする書類への記入がいやに面倒くさくてため息が出ますね。あそこからもう気分はどんよりです。

現場の当たり外れはもちろんあって、帰省した際のおばあちゃんのように迎え入れてくれる現場もあれば、そうじゃない現場もあります。どちらに当たるかは運かもしれません。ただし、前日になってもまだお仕事メールにやたらと募集が上がってくるような現場は人があまりいつかない会社かもしれませんので、ある程度参考にはなると思います。

とはいえ派遣バイトのいいところは、長く関わることを考慮して無理な社員などと無理に関係性を築かなくてもいいところです。クソな態度には堂々とムッとしていいのです。好きなだけ仁王像のような顔をしましょう。

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挨拶を返されなかったときの僕です ↑ 

 

 

まだ見ぬマザーファッカーたち

 今回は僕自身の数少ないバイト経験を振り返って書いてきましたが、世界にはまだまだイングロリアス・マザーファッカーが大勢います。自分の失敗した話をするのに抵抗を覚えさせるような環境に身を置いている方が大半だと思うので、なかなかその姿、武勇伝に触れる機会がないと思います。

しかし、SNSの発達に伴って「顔が見えなきゃいいや」との高度な心理的発達を遂げた人類が増加。実はちょっとネットを覗くだけで、よりマザーファッキンなエピソードに触れることができる、そんな豊かな時代でもあるのです。

バイトが嫌だ、バイト先の人間が憎いと心をすり減らすあなたは、より間近でイングロリアス・マザーファッカーに遭遇できる藤岡弘、(探検隊)のような存在なのかもしれません。それはとてもラッキーなことです。イングロリアス・マザーファッカーを目撃したときは、「あれがイングロリアス・マザーファッカーか!」と声をあげましょう。そしてイングロリアス・マザーファッカーの言動からたくさんの勇気をもらいましょう。彼らは生きることを肯定してはばかりません。そのエネルギーはきっと、よりよい未来への第一歩を、すべての者に踏み出させるのです。

 

あるいは、いまこの記事を読んでいるあなたこそが、次の世代を担う新たなイングロリアス・マザーファッカーのひとり……なのかもしれません。

 

 

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【早い者勝ち!】 あなたのお名前、残ってる?