吉澤嘉代子のライブであの野郎を見た

 

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先週金曜の朝、弟からいきなりLINEがきて、今夜泊めてほしいとのこと。たまたま休みだった僕は快諾して部屋をひととおり掃除した。その日は朝から『万引き家族』を観に行くことになっていたが、観終わってもまだ正午前。まったく問題ない。弟と会うのは4月ぶり。彼が入社式で東京に来ていたとき以来なので、そこまで久しぶりというわけでもない。

 

夕方の6時ごろ駅に到着した弟は、「もう部屋の住所知ってるから」とこちらの迎えを断ったが、部屋には食べるものがなにもなかったので、僕は買い出しついでに駅前へと向かった。馬鹿でかい荷物を背負う弟の頭は社会人カットになっており、ちょうど最近ハマったNetflixのドラマ『13の理由』に登場するザックというキャラクターを演じたアジア系の俳優にそっくりだった。部屋に着くなり、弟は「研修初日の朝に慌てて準備したから靴下の替え持っていない。これいま五日目」と言いながら革靴を脱いだので突き飛ばそうかと思ったが、「いいから嗅いでみ」と言って差し出された靴下は無臭。ネットで話題になった消臭パウダーを使ったら本当に靴が臭わなくなったらしい。早速僕もネットで注文した。

 

シャワーを浴びた弟と酒を飲みながらNetflixで『クィア・アイ』の適当に選んだ回や、『M:I-2』のラストで数珠つなぎに展開するイカれたアクションシーンを観た。ジョン・ウー映画のアクションのリズムは、僕らにとって幼少期より慣れ親しむ生理的なものなので、鑑賞中はずっと笑っていた。心地よすぎて笑うというのは、心地いいという感覚がイレギュラーなものであることを前提としているからなのかもしれないと思った僕は、仕事の話はふらなかった。接した限りでは特に疲れている様子もないし、たぶんボーナスだって出る会社だろうし、僕より友達も多いし、バイタリティもあるので、結局ただの杞憂なのかもしれない。そもそも問題があるのは僕の方かもしれない。ぜんぜん貯金がない。

 

弟は3缶目に飲んだストロングゼロにやられ、夜の10時ごろには寝てしまい、翌日の昼には新幹線に乗るため東京駅へと発った。荷物をまとめながら、PUNPEEの『Oldies』を流していた。僕はその曲をSpotifyでとって、その日の遅番へと向かう道中で何度も聴いた。曇天模様の、どこか秋のような空気の匂いにつつまれて聴く『Oldies』は清々しく、心地よかった。

 

 

日曜日、吉澤嘉代子のライブに行った。

吉澤嘉代子といえば、マイメンの部屋に居候中だった2016年の夏、眠れない夜に流しっぱなしにしていた深夜ラジオで曲を聴いて以来のファンだ。僕はそもそもライブというものに行ったことがほとんどない。中2の冬に母親に連れられて槇原敬之のライブに行って以来だから、かれこれ13年ぶりだ。

 

会場である東京国際フォーラムは有楽町にある。有楽町といえば中央区だ。すぐとなりが銀座なのである。ライブでもない限り、用はない。

会場には何年か前に就活生の小説を書いて直木賞を受賞した作家がいた。広い会場にもかかわらず、同じ列に座っていた。僕はその作家が出ていた回の『情熱大陸』を録画し、何度も再生した過去があるので、その顔を見過ごすはずもない。さすが作家というべきか、座席にドーナツ型のクッションを敷いていた。ケツへの負担には配慮が必要なのだろう。

 

ライブでは僕の好きな曲がガンガン流れた。僕は吉澤嘉代子の曲がもたらす短編小説を浴びるような感覚が好きだ。生演奏に生歌というのも相まって、ライブならではの鮮度にやられた。

 

ライブ終了後、銀座を散歩した。路上でサックスを演奏している男の人がいて、街の放つきらびやかさに更なる華を添えていた。創作において生活は大事だという結論に至り、働くようになってしばらく経つ。体重は10キロ減った。こんなにソリッドな自分は大学時代に引きこもっていた頃以来だ。再起の直前になると、僕は痩せるのである。ドアマンが白手袋にインカムを身につけているような高級店から出てくるやつらを片っ端から睨みつけつつ、家路へとつく。

 

まずはジュリア・キャメロンが日課としていたといわれる「モーニング・ページ」を日課にしようと初めてみた。毎朝、とりとめもない文章を3ページ書くというやつだ。筋トレと同じように、正しい継続にこそ意味があるのだと思う。

 

いまに見てろよ中央区

 

全日本マザファッカー選手権、ひとり選ぶなら、当然ぼく。

 

 

 

 

 

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