MidnightInvincibleChildren

『バトル・ロワイアル』(再上映)を観た

 

youtu.be

 

 

 

 

みんな必死になって闘って、生き残る、価値のある大人になりましょう。

 

あの『バトル・ロワイアル』が公開から25周年を記念して4/4(金)より2週間限定でリバイバル上映している。ということで観に行ってきた。劇場鑑賞は今回が初めて。

 

にしても25周年って。

 

 

神様、もう一言だけいいですか?

 

全国から無作為に選ばれた中学3年生のあるクラスが、最後の一人になるまでの殺し合いを政府によって強制される。公開当時、僕はまだ10歳だったので劇場鑑賞は当然できなかったが、設定を読んでそんなことあってたまるかよと思ったのは確か。観たいような絶対観たくないような。そんなアンビバレントな気持ちでいながら、センセーショナルな当時の空気だけはむさぼるように摂取していて、いたずらに感情ばかり膨らませていった。

 

それから二年後、僕はついに『バトル・ロワイアル』を観ることになる。WOWOW放送版を録画したVHSを、友人が秘密裏に入手したというのだ。早速みんなでそいつの家に集まって鑑賞した。感無量だった。確かにショッキングな内容だったが、思っていたような後味ではなかった。すぐにまた観たくなった。しばらくはみんなで集まるたびに観ていた気がする。脳が柔らかかったこともあって、登場人物のフルネームや出席番号、武器、台詞も暗記していった。劇中の台詞を一言放てば、自動的に続きが返ってくるような、そんな感じだった。

 

仲間内でのムーブメントはとどまるところを知らなかった。特にハマっていた友人と二人で、自分のクラス版『バトル・ロワイアル』の漫画まで描いていた。いまにして思えば先生に見つからなくて本当によかったし、自分を主役級には据えず、中盤でさっさと退場させる謙虚さも悪くなかった気がする。ちゃんと完結させた。

 

中学二年にもなると、理解と時間のある友人数名に声をかけて自主映画版まで撮った。家から自転車で三十分ほどの距離にダムがあって、その周辺の鬱蒼とした茂みや資材置き場みたいな場所をメインにし、爆竹とエアガンとぼそぼそした台詞で憧れのデスゲームに挑戦した。幸いなことに海も近かったので、画面奥にちらりと海を入れることも忘れず、映画版にあった無人島的な閉塞感を狙ったりした。ラストは砂浜まで降りて、余った爆竹をひたすら使っての撃ち合いも撮った。編集もできない順取り一発のチグハグな出来だったけれど、みんなで自販機のウーロン茶を飲んで帰った。

 

そんな思い出いっぱいの作品を劇場で初鑑賞できる日が来たわけだ。毎日いろんなことで疲れているし、希望がないから計画も立てない、そんな静かな日々の階段をのぼるいま、あの映画を観るのである。劇場で。

 

f:id:sakabar:20250415212118j:image

 

 

3年B組、全員出席。

 

あっというまの二時間でした。

 

開始早々、爆音の『レクイエム』に東映マークと波しぶき。テロップによる社会背景ならびに【新世紀教育界各法】のざっくりとした説明。このざっくり具合のバランスに感心していると即座にヘリの爆音。あふれかえる報道陣と軍人。女性リポーターによる「優勝者は女の子です!」の台詞と、軍用車の後部座席に座る歯列矯正した少女。血まみれの笑顔。そのアップ。痺れた。まだ始まって一分くらいじゃ?記憶よりもテンポが良すぎる。

 

今回の劇場鑑賞により、改めて気づいた部分もたくさんあった。

 

小さな箇所でいうと、冒頭のバス車内のシーン。琴弾加代子(三村恭代)と千草貴子(栗山千明)がいっしょに雑誌を読んでいた。杉村弘樹に深く関わる二人の、ゲーム前の交流がちょっと尊い。また、劇場の音響だと教室内の生徒たちの私語もはっきりと聞こえる。そりゃキタノも気になるか。20年越しの納得だった。

 

ルール説明が行われる冒頭の教室シーンはにかく白眉で、室内シーンなのに展開も動きも多い。若手俳優たちとビートたけしという構図もゾクゾクする。そこにぶち込まれる宮村優子。どうかしている。(※一応、「生徒たちがこの法律のこと知らないってのはさすがに不自然では?」みたいなことが頭をよぎらなくもないけれど、外の世界に思いのほかアンテナを張っていない生徒たちのあの感じは、リアリティとしてはマイナスでも、元も子もないリアルとしては飲み下せるかな、くらいの気持ちで昔から処理しています)

 

キャスト面に関してはもういいでしょう。いい顔のアップや啖呵が多くてグッときた。僕らはずっと安藤政信に夢中だし、山本太郎にも泣く。柴咲コウ栗山千明は完全にスター。そんななか今回改めて好きになったのは、かの有名な「灯台の惨劇」でキーパーソンとなる榊祐子、を演じた日向瞳さん。こんなに切なかったっけ。こんなに重たいセリフだったっけ。

 

そしてなにより今作を好きな理由。それはどんなに凄惨な展開が続こうとも「正しくあろうとしてなにが悪い?」的な精神性が最後まで軸となっているところかもしれない。今作の青く、そしてなによりも頼もしいところである。改めて、最高の青春映画だと思った。

 

 

走れ。

 

ちなみに今回は入場者特典があって、生徒42名の支給武器カードがランダムで一枚もらえる。心憎い特典です。ちなみに公式に設定されている支給武器でも、劇中でほぼ映らない物もある。せっかくなら、印象的な武器がほしい。七原(藤原竜也)の鍋のふたや、桐山和雄(安藤政信)のハリセンはおいしい。相馬光子(柴咲コウ)の鎌も最高。

 

僕は劇場内ではあえて確認せず、帰宅してから恐る恐る開封してみた。

 

あッ

 

これは…………!!!

 

 

 

f:id:sakabar:20250415211257j:image

 

 

こっちのをくれ──。 

 

俺はな。医者の息子なんや。

 

動かんとけや……。

 

俺は漁師の息子やぞ。

 

最後に、ええ友達が出来てよかった。

 

 

 

 

 

youtu.be

 

バトル・ロワイアル』、4/17(木)までリバイバル上映中です。

 

アマプラにもあります!