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忘備røk(2023年12月6日更新)

 

最近見た映画・ドラマ・読んだ本、コンテンツについて。

 

 

【映画】


『ザ・キラー』(2023)

youtu.be11/1にシネマート新宿で、その後Netflixで配信された際に3回観た。今年一番回数観た映画。かっちりした画でうっすらしょうもないのが面白い。語弊のある言い方だけど、面白すぎないので何回も観てしまう。面白すぎないのが一番面白い、みたいな、これは日高屋の中華そばと同じだ。みんな脇が甘くて楽しい。映像面ではフィンチャーのセルフオマージュ的な画がたくさんあって、その余裕な態度にも興奮した。

 


『SISU/シス 不死身の男』(2023)

www.youtube.com劇場鑑賞。今年の頭に予告をちらっと観たときからずっと気になっていた。台詞を多くは用いず、不屈の男VSナチをエクストリームな描写満載で描くTHE!活劇!!!チャプターのタイトルが表示されることで先の展開を想像させる演出も楽しい。一方、メンタルの調子があまりよくないタイミングで観てしまい、楽しいけど上の空みたいな時間があったことも記録しておきます。また家で楽しみたい。女の人たちのシーンでは泣きました。

 

 

ゴジラ-1.0』(2023)

youtu.be埼玉県民の日に劇場で鑑賞。ゴジラ、よかった。ゴジラに気持ちを入れて観ていました。なにかと話題にのぼるドラマ部分は腑に落ちないところも多いが、作品単体でのまとまりをいうのであれば「見やすかった」んじゃないでしょうか。予算的にゴジラの登場時間を倍にしてほしかったというのは無茶な要求なんでしょうが、これだけヒットしているのなら次はもっと予算を出して、三倍くらい建造物を粉々にしてほしい。僕はゴジラが建物をめちゃくちゃに破壊するさまを眺め、無力で無意味なことを痛感する瞬間がなによりも好きなので。

 


『由宇子の天秤』(2020)

youtu.be

Netflixで鑑賞。自殺した女子高生のドキュメンタリーを制作中の由宇子は、並行して父の経営する学習塾で起こったある問題に直面する……という話。2時間半あったが、劇場公開時から気になっていた作品なので迷わず再生。面白かった。例によって、男性性が大勢を不幸にする話でした。地獄の王はきっとペニスの形をしていると思います。とにかく厭~な映画なのですが、なにより劇中で一番自分を重ねてしまったのが萌の父親。生活力なくて融通もきかなくてでも日々を慈しむ心は捨てられなくて、その生きづらさ故にすぐカッとなるあの感じ。演じる梅田誠さんもすごくよかった。

 


『ボトムス ~最底で最強?な私たち~』(2023)

ボトムス ~最底で最強?な私たち~

Amazon Prime Videoで鑑賞。アホすぎて笑ったし、あまりにも下品で乱暴すぎる……と突き抜けているようで、リアリティラインが妙にぎこちない。これどっち?と思う箇所がままあった。コメディ映画で雑に人が死ぬのは全然楽しいし大好きだけど、「ただ雑に死なせているだけ」で笑わせるのであれば、本作における基準の提示がどこかにはほしい……というのも、登場人物たちがラストのその後、普通に罰されるんじゃないかとちょっとだけ不安になった。物語上「雑に死んだ」というより、あれは、ねえ。主演二人の目の暗さに代表されるように、キャストがフレッシュでその魅力には抗いがたいものもある。だからこそ歯がゆい。歯がゆさは、絵の具の黒に近いパワーをもっている。

 


『スクリーム』(1996)

スクリーム (吹替版)

シリーズ最新作が盛り上がっているので、そういえば『2』しか観たことないなと思い、配信レンタルで鑑賞。スラッシャー映画をメタ的に描く作風はなんとなく知っていたが、犯人の正体とそのあまりもの薄っぺらさにちょっとした寒気を覚えた。主人公のすでに死んでいる母親のエピソードなど、振り返れば振り返るほど「厭~」な話だし、予想以上におぞましくて楽しかったです。このままシリーズを追っていこうと思いましたが、最新作の主演俳優がイスラエル批判をしたことから降板させられたというニュースを観て気持ちが失せました。ジェノサイドを肯定できる理由なんて存在しません。

 


『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』(2023)

youtu.beNetflixで鑑賞。知人の敏腕ディレクターさんからLINEがきたので観ることにした実話ベースの映画。人生はしんどいけど、負けたくねえんだって話でした。無謀に思える挑戦でも、チームでならやれる。気の遠くなるような遠泳のさなか、息継ぎする際の一瞬の景色にあなたがいてくれることがどれだけの力になるか。普通に泣きました。

 


『TAR/ター』(2023)

youtu.beAmazon Prime Videoで鑑賞。本当は劇場で見ようかと思っていたけど、2時間半あるので躊躇っているうちに見逃した系映画。天才マエストロ、リディア・ターの孤高な日常と忍び寄る不穏なノイズの話。情報量が多いものの脚本が手取り足取りでもないので油断ならないこの感じ……『裏切りのサーカス』を観たときの気持ちに似ている。パワハラにグルーミングと、過ちだらけのターがたどり着くあのラストははじめこそぽかんとしてしまいましたが、あれこれ調べて振り返るにつれじわじわきています。ジョギング中に聞こえる謎の絶叫、夜中に動き出したメトロノーム、本編中に数回映りこむ◯◯……など不穏すぎる演出も楽しかった。

 

副読本として最高の内容だったので、主義に反しない方は鑑賞後にでもぜひ…↓

ameblo.jp

 

 

 


【ドラマ】

 

『ジェン・ブイ』

ジェン・ブイ ティザー予告

Amazon Prime Videoで全話鑑賞。『THE BOYS』のスピンオフドラマ。スーパーパワーをもった若者たちの学園が舞台の血みどろ青春もの。面白かった。アメリカの若者の包茎の扱いが割とフラットなのも学べます。

 


『ハッピー・バレー 復讐の町』シーズン1

第1話

Amazon Prime videoで鑑賞。参考にしているドラマウォッチャーの方々が高確率で名前をあげる2013年のドラマ。ハッピー・バレーと呼ばれるイングランド北部の小さな町で若い女性の誘拐事件が発生。ある小心者のふとした思いつきからエスカレートしていく地獄を描いた映画版『ファーゴ』のような導入からはじめる犯罪ドラマ。特筆すべきは8年の刑期を終えたチンピラのトミー・リー・ロイス。大体の行動が他者への権利侵害という最悪すぎるキャラクターなのだが、そんなトミーとの間に最悪すぎる因縁を抱えた主人公キャサリンがあんなやつはサイコパスだと一蹴する一方、元夫が「(トミーは)愛されずひねくれて育っただけだ」と訂正する。このやりとりに象徴されるような誠実さが芯となっているドラマだと思います。みんながみんな正解ばかりは選べないし、割り切れない悲しみが容赦なくふりかかるが、大きく振り回されるだけじゃ終われない。互いにぶつかりあってそれでも生きていく様が胸を打つ、とても素晴らしいドラマでした。S2もキツそうだけど楽しみ。

 


『FARGO/ファーゴ』シーズン5

庶民の悲劇

Amazon Prime videoで鑑賞中。大好きなドラマシリーズ『FARGO/ファーゴ』最新作が毎週1話ずつ配信中です。3話までしか観ていないけれど、良いです。個人的にジュノー・テンプルが主人公を演じていることからも、今作では『キラー・ジョー』*1のその後を描こうとしているんじゃないかと勝手に思っています。『FARGO/ファーゴ』名物でもある放浪する殺し屋もいい感じにスピリチュアル要素かましてて、期待が高まります。

 

 

 

【小説】


イヤミス短篇集』真梨幸子

イヤミス短篇集 (講談社文庫)

イヤミス読みて~ってときありませんか。ちょうどその時期だったのでいかにもすぎるタイトルの本著を手に取りました。冒頭の一篇が「これはイヤミスなのか?」な話だったのでちょっと距離ができてしまいましたが、後半にいくにつれ「厭さ」にブーストが掛かるので結果楽しかったです。

 


『6』梨

6

『祓除』つながりで梨さんの気味悪い話読みて~となったので。『かわいそ笑』に続く二冊目の連作短篇集です。面白かったし怖かったんですが、ネットに掲載されるような軽薄で、つかみどころのない気持ち悪さのほうが好みかなという感じではあります。

 

 

ポッドキャスト

 

『どうせ死ぬ三人』

open.spotify.com

というポッドキャストを聴き始めた。「おじさん」についてのトークが最高だったので散歩しながら過去のも聴いています。「歌詞の検討」シリーズが楽しいです。

 

 

 

 

以上です。また!