MidnightInvincibleChildren

ジョエル・シルバー製作の人生

 

書いていない小説の話をしたい。あたかもすでに書いたみたいな態度で話したい。最後に、まだ書いてない旨をいってもいいし、いわなくてもいい。実際に書いた小説の話は一旦禁止。

 

綿矢りさの『オーラの発表会』読んだ。大学生になった海松子(みるこ)は、実家から通学できる距離にもかかわらず、両親から一人暮らしを命じられる、という話。とてもよかった。癖のある登場人物が多いが、みんな愛らしい。かといって好きにならなくたっていい。そんな抜けの良さが全編にあり、こういう物語が存在することの嬉しさを味わう、そんな小説でした。

 

松本次郎の『フリージア』全巻読んだ。「敵討ち」が法制化された近未来の日本?を舞台に偏執的な登場人物たちを描くバイオレンスアクション漫画。ずっと気にはなっていたが、高校生くらいの頃にブックオフで立ち読みして「まだ受け入れがたいレベルで大人向けだな」と思って距離をおいた作品。暴力の厭~な手触りやあっけなさが詰まっていて面白かった。個人的に、毒殺事件で敵討ち対象となった一言も発さないおばさんや、ケイコのエピソードなど、ものすごく胸に迫る。

 

Amazonプライムビデオで『カード・カウンター』を観た。ポール・シュレイダーがまだこういう話の映画をつくってんのか、という感動があった。同じ話の映画を撮りまくってきたからこその余裕や迫力が画面に満ちていてよかった。僕もあまり臆せず似たようなものをどんどん書いていきたい。つまらなかった飲み会の話とか。

 

Netflixで『トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして』を観た。遅ればせながら、といった感じ。いないことにされる、あるいは、過剰なまでにそこにいろと扱われる。主人公を救うためならそこにいていい。または、悲劇的な要素としてならそこにいていい。もっともっとクリアにしていきたい。あらゆる無自覚に足を取られないようにしていきたいと思う。

 

バッド入っている。何もしたくない人のための居場所を作りたい。世の中、何かをしたい人向けのもので溢れかえっている。なにもしたくない人、それこそなにもしたくない子どもたちだってたくさんいる。なにもしなくていい場所を設けて、じっとしてていいんだよって伝えたい。そして、なにもしたくないというその気持ちにつながるいろんなことを、ほどいていきたい。みんなでどうですか。

 

Amazonプライムビデオで『ロードハウス/孤独の街』を観た。シックスパックでバキバキ状態のジェイク・ジレンホール主演、ダグ・リーマン監督作品。元総合格闘技の選手がフロリダにある【ロードハウス】の用心棒として雇われるという話。そこは地元ギャングによる嫌がらせを日常的に受けていたため、やがて大きな争いへと発展していくんだけど、製作がジョエル・シルバーなので、良くも悪くもざっくりしている。ざっくりした映画は大好き。主人公がステゴロ最強なんだけども、揉め事が本格化すると割と躊躇なく一線を越えるし、かといってそれが重く描かれるわけでもなく、敵は敵で悪いんだけど極悪って雰囲気でもなく、最後にはちゃんとタイマンもあるし、なにもめでたしじゃない気がするが、いいじゃん。個人的にはフロリダの空気感が最高で、僕も潮風を感じながら素肌にアロハシャツ一枚でふらふらしていたいと思った。なのでそのチルな空気を楽しむうえで、話はむしろこれくらいでちょうどいいな、とすら思った。調べてみたら1989年の同名映画のリメイク版らしく、そっちの主演はパトリック・スウェイジで、製作はやっぱりジョエル・シルバージョエル・シルバー!!!

 

おしまい。