MidnightInvincibleChildren

粗熱を冷ます時間

 

 Amazonプライム・ビデオで『市子』を観た。正直コンディションがよくなくて、序盤にある子役のパートがぜんぶなくてもギリ成り立つんじゃないかとか、そういう態度をとってしまった。鑑賞したのがちょっと意地になって小説を書いていた日で、なにを切るとかなにが足りないとかもんもんと考える癖がとうとう切り離せなかったのだ。また今度観ようと思います。ただ、杉咲花がこんなにうまい人だとは思わなかった。この悲劇を生んだ背景にある、膝から崩れ落ちるほどくだらない諸々への怒りは湧く。

 

乗代雄介の『皆のあらばしり』読んだ。部活で地元の歴史を研究している高校生が、謎の関西弁男に声をかけられ、謎の書物『皆のあらばしり』について調査を進めていくという話を、調査活動そのものではなく不定期に行われる進捗報告の描写に限定して描いていく小説だ。楽しかった。そこはかとないユーモアと温かさがある。『それは誠』もそうだけど、小学生の頃にみたNHKの子供向けドラマのような優しい感触。『ズッコケ三人組』とか。

 

Netflixで『わたし達はおとな』を観た。『ほつれる』の加藤拓也監督作。大学生の主人公が妊娠したところから始まる、時系列シャッフル型の青春物語。未来が明るかった頃との対比で見せる修羅場シーンは『ブルー・バレンタイン』を彷彿させる。大学生だからより邪悪に映る部分もあるのかもしれないけれど、欲望を持った者同士が集まればこういうことは何歳だろうと起こりかねない、そんな普遍性を感じながら観た。藤原季節演じる演劇サークルの男がきめ細やかにモラハラ男として演出されていて、冒頭、主人公が体調不良でぐったりしている姿を見て体調を心配する素振りは見せつつ朝ご飯をつくらせるという、あのグロさ。性行為の際に避妊具を使用しないのはモラハラビンゴカードの中央のマスみたいなもので、一番ビビッときたのが旅行で行くホテルの受付の人への態度だ。相手がまだ喋っている最中で必ず立ち去る。チェックイン、チェックアウト両方でそうしている。その姿は奇しくもアカデミー賞ロバート・ダウニー・Jrそっくりだ。加藤拓也監督のモラハラ演出に今後も注目していきたい。

 

Netflixで『我、邪で邪を制す』観た。台湾映画。ワクワクするタイトルですね。余命いくばくかの逃亡犯が、自分よりも凶悪とされる指名手配犯2人をぶっ殺してみんなの記憶に残りたいと頑張る話。露悪一辺倒になりすぎず、ちゃんと主人公にも愛嬌があるのでぐいぐい観てしまう。中盤からテンションが変化し、新興宗教の施設を舞台に物語が進みだすが、人の心につけ込む洗脳の手口がいやに丹念に描かれる。かと思うとなかなかにショッキングでバイオレンスな展開をカラッと描くし、ラストの寂寥感もあとを引く。面白かったです。

 

オカワダアキナさんのZINE『PROTEST MONOLOGUE プロテスト・モノローグ』を読んだ。僕もZINEをつくったことがありますが、創作物を並べて終わりって感じのものしか出していない。この『PROTEST MONOLOGUE プロテスト・モノローグ』はイスラエルパレスチナで虐殺を行っている現在を生きるオカワダさんの言葉が書かれている。SNSで声を上げることへの温度差であったり、はばかられる気持ちだったり、それでも「表明」の持つパワーだったりを、実際の活動の記録とともに綴っていてグイグイ読んだ。まだ読んでない人にもぜひ読んでほしい。吉住さんにも読んでほしい。今月いっぱいはコンビニでプリントできます。

 

 

思ったことを伝えることで、初めて動き出すものもある。眼の前の虚空にだって干渉し続けよう。蝶の羽ばたきが暴虐を止めるかもしれない。

 

一年ぶりにYOUTUBEに動画を上げた。まだ『バイオRE:4』をやっている。来年もやっていると思う。

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