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ある殺人マシンの贖罪/『泣く男』

 

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「泣く男」予告編 - YouTube

 

アメリカのナイトクラブにてロシアン極道と韓国ビジネスマンの裏取引現場を襲撃した際に誤って少女まで射殺してしまった殺し屋ゴンは、所属するチャイニーズ極道にその少女の母も殺すように命じられるが、いやいやちょっと待て、どうしようどうしようどうしよう……やめた、むしろ俺が守るということで逆に命を狙われるハメになってしまった。意外にも人情に厚く真面目な男であったゴン、長年培ったその殺人スキルをフル活用して、少女の母親を狙う韓国ギャングから派遣された殺し屋軍団までを相手に大殺戮を繰り広げるのであった。

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韓国版ポスター。人妻付きです。

 

本当にざっくりと言ってしまえば、主人公の名前からもわかるとおり本作はあの『ごんぎつね』の韓国暴力映画版である。そういうコンセプトを把握しておけばややウェットすぎる主人公にも納得がいくはずだ。逆に『ごんぎつね』ってどんな話だっけ?という人がいれば無理にストーリーを思い出す必要はない。『泣く男』を観ればいいのだ。

 

粗悪品のトカレフが大事なところで弾詰まりして大乱闘に突入したり、車のタイヤホイールを盾にして銃弾を防いだり、片腕を負傷した殺し屋がアサルトライフルを股に挟んでマガジンチェンジを行ったりと、ガンアクションへのこだわりが窺えて嬉しい。かつ格闘シーンもハードであり、関節を極め、腿やアキレス腱を切り、壁にもたれる敵の顔面に飛び膝蹴りを打ち込んだりと景気が良いのである。二種類ほど登場するスプレー缶の活用術も、参考にしたくなるものばかりで素晴らしい。

 

ドラマ部分がとにかくウェットかつ前半部は特に大きなアクションもなく物語が展開していくため、そこで受ける印象によっては賛否が分かれる気もするけど、とにかく中盤の団地を舞台にしたゴンvs韓国ギャングvs殺し屋の大戦闘は最高だし、映画自体の水準で言えばかなり高い方だと思うので、ハードなアクションが好きだったり強い男がやや弱い面を覗かせたりする展開に萌える人は是非。監督の前作『アジョシ』とはまた違い、獣のような目で敵を蹴散らすチャン・ドンゴンも素敵だ。ちなみに子供好きという点では『アジョシ』のウォン・ビンとも共通している。殺し屋が子供嫌いだとただでさえ人を殺すのに感じが悪すぎる。

 

ぼくはよく暇なときなどに下の動画みたいなやつを見るけど、似たような興味を持つ人は是非。銃身を振るようにマガジンを飛ばしてリロードするなど、ちょっとした点だけどもあると嬉しいよね。


Tips on Reloading a Rifle (HD) - YouTube