休みの日の夜、急に気分が塞ぐ時間


「仕事を辞めた日の帰り道に聴きたい曲」をリストアップしている。シーズン1の最終回的な雰囲気でワクワクするような、足を弾ませるもよし、胸を締め付けられるもよしで、いまから期待が膨らむ。

 

僕の職場は田舎にある。最近新しく来た上司も、都内のど真ん中から異動してきた人で、そのローカル感に戸惑っていることだろう。都会基準のやる気や頑張りが空回るどころか、部下にいなされたりする魔のエリアなのでやりづらいことこの上なしだ。心中お察しします。ただこちらとしても非常にやりづらく、辞める前提で動いていることもあってあと一歩頑張ることができなくなってきているのでよく怒られる。いくつになってもよく怒られるという環境は不快だ。自分の責任じゃないか? みたいに考えることは結果としてあらゆる遠回りにつながるのでやめた。相手に責任がまったくないわけでもあるまいし。以前も書いたけど、僕の方こそ基本的に今の職場環境に怒っているので、露骨かそうじゃないかの違いだけで基本的に我々は怒り合っている仲なのだ。もっと仲良く出来たらいいのですが、できるだけ関わりたくないのが本音です。

 

舞城王太郎の新作『短篇七芒星』が群像2月号に掲載されていたという情報を遅番中に発見し、即購入して読んだ。かつて芥川賞候補にもなった2012年の『短篇五芒星』から早10年。10年ってマジか、と思ったが今回も読みごたえのある短編が7本一気に発表された。

 

『奏雨(そう)』は名探偵モノで、刑事が喫茶店で探偵に連続殺人鬼「足切り」に関する情報を伝えるところから始まる。タイトルにかけたある映画が重要な要素として出てくるなど、言葉遊びが楽しい一篇。

 

『狙撃』は『短篇五芒星』収録の『バーベル・ザ・バーバリアン』を彷彿とさせるスナイパーもの。ある世にも奇妙な出来事が主人公に訪れる、寂寥感が味わい深いドライな一篇。

 

『落下』は深夜百太郎系のホラーな一編。引っ越してきたばかりのマンションでいきなり投身自殺があり、それ以降「恐怖」にまとわりつかれる家族の物語。でも決して後味は悪くなく、恐怖を解体してみせる生きる者のたくましさ感じる一篇。

 

『雷撃』は舞城版『富士山さんは思春期』。

 

『代替』は『淵の王』などにも通じる登場人物ではない「視点」が主役の物語。ある邪悪な男が生まれたその瞬間から周囲を滅茶苦茶にしていく様をただじっと眺める「俺」。やがてその邪悪な男は、石で頭を潰されるが……。読者と感情移入についての話?意図してるかは別として、そう読みました。

 

『春嵐』は他人のトラブルに首を突っ込んで大変な目にあった兄のかわりに、逃げてしまった愛犬を捜す妹の話。兄の彼女といっしょに河川敷を話しながらただ歩くという場面がなによりも尊く読める、爽やかな一篇。

 

『縁起』は幼い娘に「生まれる前の記憶」について訪ねてみたら予想外に詳しい返答をされ、それを聞いた妻が不安定になったので色々悩む男の話。神とか呪いについての深夜百太郎系。主人公が最後に打った大博打がちょっとだけ『レッド・ドラゴン』のラストみたいでした。

 

ということで僕も二ヶ月ほどまったく触っていなかったPOMERAを開いてぼーっと打つという行為をここ数日続けている。うまく行っている感じはあまりないけど続いている。うまく行っている感じがしてすぐに燃え尽きてしまうよりはずっといい状態のように感じる。

 

最近くるりの『水中モーター』(『THE WORLD IS MINE』収録の方)をずっと聴いている。夏みたいに暑かった日の、コインランドリーで初めて聴いた。なんだか小説書きたいなと思いました。