MidnightInvincibleChildren

ウージの森で歌った友よ


鶏肉とブロッコリーを蒸しているうちに興が乗って、フライパンをブンブン振っているとブロッコリーがコンロのうざってえ隙間に落ちて消えた。ファック・ユアセルフ。いまの僕ならコンロの隙間に消えた食材で一品作れるかもしれない。

 

蒸し野菜をよく食べています。つい最近、ゆるやかな糖質制限を始めたのです。炭水化物大好き人間だけど、花粉症があまりにもひどく、薬の他に改善すべきところはどんどん改善していこうと思い至って、調べ、たどり着いたのが糖質制限だった。こればっかりは目先の実感を求めるよりまずは継続することを念頭に頑張ります。ちなみにチートデイと称して既にピザを食べたりしたので、本当にそのくらいの感じでやってます。

 

新潮の2023.4号で舞城王太郎『恐怖は背骨になる。』を読む。お母さんが再婚しようと考えている相手は「達磨」恐怖症らしい……どうでもいいけど無視するにはひっかかるので調べてみるか。。。という導入から女子中学生の主人公が「世間一般a.k.a.普通」について考える物語。例によって風のような文体によるめくるめく思議を浴び、あっというまに読み終わった。親が子に与えたがる「普通」→「それはとことんの、理想上の無害」であり、「範囲」「尺度」「節度」なのかもしれない。でもそんな「便利」によっかかって漫然と過ごしていると心にだって褥瘡のようなものができるんじゃありませんか?という話。はじめはサラッと圧を感じた同級生・桜木さんがとてもいい感じでした。作中のお父さんみたいな「想像の何倍も愚かだった人」など、舞城作品らしい味わいも随所に。コンスタントに新作短編を書いていてすごい。なんかサラッと書いている感じが常にあって、心憎さもひとしお。

 

バイオハザードRE:4』の体験版がリリースされたので早速プレイした。難しい。個人的に敵も硬けりゃ動きも重たい。オリジナル『バイオ4』はこれまでのシリーズから操作システムを一新してびっくりするほどの軽やかさを得たことが画期的な作品だったと思っているので、やや気持ちが乗り切っていない状態だが、楽しいものは楽しい。この若干の不満も、結局体験版という行き止まり感がもたらすもどかしさのような気もしてきた。隠しコマンドによって出現する最難関モード『MAD CHAINSAW MODE』で十回以上死んでいます。一回だけクリアしましたが、難しすぎて腹がたつのでほどほどにやっていきたいと思います。

 

youtu.be

 

動画編集ソフトで、中学時代に友達と撮ったホームビデオ映像のデータを編集している。

いまどこで何をしているのかもわからない当時の友人達が、風の音にかき消されるような声量でセリフを吐き、セリフを忘れ、キューの合図に気づかず硬直し、アクションの段取りも飛んでちぐはぐな殺陣で戦い、我慢できずに笑っている。当時流行っていたのか……たぶん流行ってすらいなかったであろう内輪ネタも急にぶっこむし、撮影場所も基本的に僕の実家やその周辺で撮られているので内容にミスマッチな画が続くのもおかまいなし。見る側の脳内補正を前提とした……いわば、観客を信頼した作り手の姿勢がそこにはある。鬱蒼としたさとうきび畑を背に真顔の友人が直立しているだけのシーンに漂う乾いた不穏さなんてほぼ『ソナチネ』だ。そもそもが学校終わりにダラダラする延長で撮っていたものばかりなので、長くて5分もないくせに作品としての体裁はなんとか取り繕いたいというこだわりも感じていじらしい。

そんなひたすらに小っ恥ずかしい映像のかたまりを、バラしては繋いでを繰り返している。これが結構夢中になる。単純に懐かしいってのもある。編集ソフトでは不要な間を取り除いたり、効果音をつけたり、早回しやスローにしたり、映像の前後を入れ替えたり、BGMをつけたりしている。ブラッシュアップを経たそれらの映像をいざ再生すると、決まって息もできないくらい笑ってしまうのたまらないで。それこそ、あの頃の自分たちに見せたらその場で失禁するくらい笑う気がする。思えばこの映像を撮っていた当時も、みんなで録画内容を確認するたび笑っていた。

常連俳優でもあった弟に編集した動画を送った。弟も失禁しそうなほど笑ってくれたらしい。その流れで、十年ほど連絡を取っていなかった友人の連絡先を弟がくれたので、彼にも送ってみた。未だにガラケー説のあるその友人が無事に動画を開けるか心配だったのだが、「見たよ」と返事が来た。文面からはいまいち伝わってこなかったが、気に入ってくれたみたいで嬉しかった。

 

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観た。めちゃくちゃ泣いた。特に後半はずっと涙が止まらなかった。数年前、別バースの橋本環奈と同棲している男を主人公にした『ばりくそ慕情』という短編を書きましたが、『エブエブ』みたいな話に膨らませられたら最強だったのになあ、とも思った。