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『ミッション:インポッシブル』シリーズを観た

 

最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』を観た。このシリーズが大好きなので、改めて1作目から鑑賞してみました。

 

 

 


ミッション:インポッシブル』(1996)

監督:ブライアン・デ・パルマ

あらすじ:あるミッション中に仲間が全滅!?生き残ったイーサンは裏切り者認定され、所属する組織IMFにも追われることに。黒幕は一体だれだ!?

 

シリーズ一作目。イーサン・ハントが一番下っ端といった扱い。何者かの策略によって翻弄されるも、自身のチームを結成し、とにかく頑張る。

ブライアン・デ・パルマ監督ということもあって、全貌が見えるまでのなにを信じればいいのか不安定な感じが、いま見ると新鮮。『2』が世界一おもしろい映画だと思っていた子供の頃に後追いでビデオ鑑賞したが、銃を全然撃たないし、任務中に人を殺そうとしたジャン・レノを止めるなど、イーサンが「不殺」の精神っぽいのも不思議で、色々と違和感を覚えていた。いまみると全然面白い。マスクをつかったおなじみの騙し合いは小気味良いし、フィクショナル要素を担うガム爆弾も楽しい。「ここぞ!」というシーンでテーマ曲が流れるところも最高。隠れ家の入り口前に割った電球の破片を撒いて足音を察知しやすくする工作員仕草もあり。ちなみにイーサンはこの時点で、最新作『デッドレコニング PART ONE』でも見せた手品も披露してます。本作では陰謀の犯人扱いされたイーサンが、IMF幹部キトリッジの嫌がらせで母とおじを不当逮捕される、というシーンもあり。お母さんいたんだ、と思った。ちなみにこの頃からめちゃくちゃ走っている。

 

 


ミッション:インポッシブル2』(2000)

監督・ジョン・ウー

あらすじ:感染後20時間で致死率100%になる最悪のウイルス「キメラ」がIMFエージェントであるショーン・アンブローズによって強奪される。イーサンは上からの指令により、ショーンの元カノである泥棒ナイアをスカウトし、ショーンと復縁させることで、危険な計画の阻止に挑む。

 

シリーズ2作目。監督の変更に伴い、ガラッと雰囲気を変えるシリーズだと印象付けた記念すべき作品。ただ、その後の流れを経て振り返ると妙に浮いている一作なのも事実。

冒頭から命綱なしで岸壁をクライミングするイーサン・ハント。これがイーサン・ハントのオフ。エピローグなどを除外すれば結構レアな気もする。IMFのハラスメント体質が炸裂して強引にミッションが開始。今作でのイーサンは基本的にずっとヘラヘラしている。泥棒ナイアをスカウトする流れもニヤニヤしすぎているのでナンパにしか見えない(劇中でもナイアにナンパだといわれている)。笑っている場合か。前作と違って遊び人風なキャラ描写は、今作を007テイストにしようという目論見でもあったのかもしれない。しかし最終的にジョン・ウーのDNAが全編で暴れ回っていて楽しい。イーサンが敵に囲まれるやいなや、ベレッタを二丁構えて撃ちまくる。脱出経路は爆破して確保する。前作の青さはあんまりない。
個人的に興味を引かれたのが、悪役ショーンの右腕であるヒュー。気性が荒く攻撃的な反面、映画冒頭では旅客機を操縦したりとかなりのハイスペックヴィラン。それだけにパワハラを受けるシーンがつらいです。そしてその最期も。今作ですが、倫理的にちょっときついシーンも割とあって、意外と殺伐とした感触でもある。

 

 

 

ミッション:インポッシブル3』(2006)

監督:J・J・エイブラムス

あらすじ:イーサンは現場を退き、エージェント候補生の指導員として活動中。民間人とも婚約中。そんななか、手塩にかけたエージェントが任務中、敵に拉致されてしまう。その救出を命じられるも、そこで明らかになるIMF上層部の不穏な動き。悪役はフィリップ・シーモア・ホフマン

 

シリーズ三作目かつ、その後のシリーズの方向性を決定づける記念すべき一作。イーサン、いきなり婚約中。IMFでは現場を退き、教官として新人の育成を行っているらしい。いきなり引退モード。前作ではあんなにブリブリだったのに。
冒頭のホームパーティが新鮮で、カタギのふりをするイーサンが退屈で空回りがちのちょっとキモいやつとして終始扱われている。『M:I』シリーズで「舐めてた相手が殺人マシンでした」映画の文脈を味わえるとは心憎い。悪役演じるフィリップ・シーモア・ホフマンが強そうというより、ちゃんと怖くてよかった。マスクでの変装シーンで、フィリップ・シーモア・ホフマントム・クルーズのモノマネをしながら演技をしているところ(満面の笑みでルーサーの腕をバンバン触る)大好き。
今作からイーサンの読唇術スキルが登場(次作『ゴースト・プロトコル』でも出てきます)。あとサイモン・ペッグ演じるベンジーも登場。トムがハマっていたのか、キーシファイティングメソッドも登場。

元々はジョー・カーナハンが監督する流れだったそうで……そちらも観たかったのは当然ですが、カーナハンには『スモーキン・エース』や『特攻野郎Aチーム』がある。『炎のデス・ポリス』も観る。

 

 

 

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)

監督:ブラッド・バード
あらすじ:なぜかロシアの刑務所で服役中のイーサン。彼は仲間の手を借り脱獄すると、その足でクレムリンへと向かい、謎の男「コバルト」の情報を入手しようとする。が、そこで待ち受けていたのはクレムリン大爆発とその濡れ衣。米露の緊張が高まる中IMFは解散、僅かな物資と人員だけで「コバルト」の野望を阻止すべく奔走する。

 

シリーズ四作目。前作との間でイーサン・ハントになにがあったのか、仄めかされる内容がどれも殺伐としており不穏だが、映画自体は娯楽活劇としてのブラッド・バードの演出が冴え渡っているように感じて終始楽しい。現場エージェントに昇格したベンジーを通して「あのイーサンと一緒にミッションを遂行する」というドキドキを観客が味わえるのも新鮮。さらには新キャラであるブラント(ジェレミー・レナー)の登場によりユーモアあふれるやり取りも増えた。そのため、最終的にはイーサンがとにかく頑張るこれまでのミッションとは異なり、より「チーム戦」がフィーチャーされている印象。
注目すべきは今作の悪役。核戦争により人類は新たなフェーズに移ると信じているIQ190の元大学教授、さらには元スウェーデン軍特殊部隊所属という欲張り設定。口数も少なく、大胆不敵で神出鬼没、部下とたったふたりであれこれ策略し、自らも最前線で行動、シリーズでも屈指の「怪物」。どこか幽霊っぽいのもいい。

 

 


ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)

監督:クリストファー・マッカリー
あらすじ:謎につつまれたテロ組織「シンジケート」壊滅のため任務につくイーサン・ハント。CIA長官からは「シンジケート」はIMFのでっち上げ組織ではないかとの嫌疑がかけられる。IMF解体という窮地に加え、お尋ね者となったイーサンは、いつもの仲間と、ピンチから救ってくれた謎の女性イルサの協力を得ながら「シンジケート」を追う。

 

シリーズ5作目。その後立て続けに監督を務めることになるクリストファー・マッカリーのシリーズ初監督作。冒頭から常軌を逸したスタントを披露するトム・クルーズ。各国の工作員を引き抜いて結成された危険集団「シンジケート」と、そのリーダーであるソロモン・レーンが敵としていい感じ。そしてイーサンと同格かそれ以上のスキルを持つイルサの登場。今になって振り返ると、役者が揃いました感があっていい。
スペクタクルな見せ場はアバンタイトルくらいで、酸素ボンベなしの長時間潜水、ガツンガツンとしたカーチェイスや超高速バイクチェイス、ロンドン市内での攻防など、割と硬派なアクションが続く。そのおかげか妙なまとまりを感じる。オペラ会場での攻防は楽器型ライフルなどガジェットも富んでいて最高。「シンジケート」の正体に関して振り返ると、冒頭のCIA長官の訴える内容が示唆的にも思えてくる。そういう「脚本~」な部分もいい感じ。

 

 

 

ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)

監督:クリストファー・マッカリー
あらすじ:「シンジケート」の残党によって結成された組織「アポストル」が世界を核の炎で包むべく活動を開始。その情報を追ってCIAエージェントのウォーカーとともにその足取りを追う。そこにはイルサの姿が。キーとなるのは前作で捕まえた「シンジケート」のボス、ソロモン・レーンの存在だった。

 

シリーズ6作目。アバンタイトルのドヤ感が強くて最高。アバンタイトルはできるかぎり堂々と見得を切ってほしい。今回は前作から地続きな内容なので、『ローグ・ネイション』と二部作感あり。トムがHALOジャンプしたりトイレで派手な格闘したりパリ市内をバイクで逃げ回ったりロンドン市内を全力疾走した挙げ句、ヘリにぶら下がって空中GTAののち実際に操縦するなど見せ場のつるべ打ち。シリーズがまたひとつ新たな到達点を見せた一作な気がします。冷静に考えるとどういうこと?な所も多いですが、そのどういうこと?がまた楽しさのひとつというか、パーティー会場のトイレにいためちゃくちゃ強いやつ、説明されても妙に腑に落ちない感じがつきまとっていて、最高ですね。最高だと思うことにしました。指針みたいなもので。そんなトム・クルーズ総決算な作品。

 

 


ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023)

監督:クリストファー・マッカリー

あらすじ:世界最強のAI「エンティティ」が暴走を始める。「エンティティ」に深く関わるとされている2本の鍵を巡って、イーサンは最強スリ師グレースを仲間に加え、IMF所属前の因縁の敵であり「エンティティ」の使徒である謎の男「ガブリエル」とすったもんだを繰り広げる。

 

シリーズ7作目にして現時点での最新作。しかも前篇。今回もアバンタイトルが最高です。CIAのイーサン捕獲チームや『ゴースト・プロトコル』に続いてキャラの立った殺し屋が出てくるのも楽しい。アクションが全体的にコントっぽくて、その余裕も流石だなといった心地。車両でのドタバタするアクションはドリフのコントみたいでよかった。ドリフのコントのオチで流れる例のテーマ曲を流してほしい。これでいてまだ前編。
ちなみに前作から「ん?」という気配のあったイーサンとイルサの関係性……からのある展開は飲み下し難いものがあったが、「まだ前編だから……」で保留にしています。まあ後編で別になんともならない気もしていますが、こっちは『ワイルド・スピード』シリーズも履修しているのでついつい「そういう強引さもこの世にはある」という前提で考えてしまいがち。心して待ちます。

 


『デッドレコニング PART TWO』に期待すること
ジェレミー・レナー演じるブラントの復活
・ハードなガンファイト(『2』超え希望)
・ハードな肉弾戦(『2』超え希望)

・ハードな読唇術

・ハードな手品披露

グレネードランチャーを撃つルーサー

・流氷全力疾走、または滑走

・開始一時間くらいのタイミングでやっと流れるオープニングクレジット、みたいな外し演出

 

 

公開は2024年6月を予定しているそうです。待ち遠しいですね。