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ライブに行け

 


ライブに行ったことがあまりない。とかいいつつ2018年には吉澤嘉代子のライブに行っていた。すごく楽しかったし、同じ列の席に『何者』の作者が座っていたこともあって(わたくしも、こうして関東に出てきました)という感慨に耽ったのを覚えています。その前だと、2004年に母親がファンでもないのに2枚チケットを押さえていた槇原敬之のコンサート。どうして母親があのチケットを買ったのか未だにわかっていない。普段から槇原敬之を聴いている様子もなかったし、僕も特に聴いていなかったし、本当に不思議な出来事だった。コンサートでは案の定知っている曲が『世界に一つだけの花』しかなく、アンコールで『チキンライス』を歌いに来た浜田雅功登場のときに一番テンションが上がるというかなり失礼な客となっていた。当時中学生だった僕はその自覚で胸が痛かった。歌上手いな、いいコンサートだなとは思いつつ、でもここに座るのは僕らではないんじゃないか?という気持ちが空に昇り、雲になり、汚れたアスファルトを湿らせた。

 

お笑いは好きだけど、ライブに行ったことはほとんどない。とか思いつつ、太田プロライブジュニアライブのG5を観に行ったこともある。太田プロジュニアライブは階級分けされており、Gのあとにつく数字が小さいほど面白いとされている(されている)。ちょうど地元の同級生が太田プロに入ったばかりだったので、応援のために他の友人に誘われていったのだった。その後、同級生は無事昇格していき、G3のライブにも出ていたのでそれも観に行った。そのときはMCがマシンガンズのふたりだった。2016年の出来事だ。お笑いのライブに行ったのはあれで最後になる。

 

 



去る木曜日、さいたまスーパーアリーナへ向かった。テレビ東京の番組『ゴッドタン』の名物企画、マジ歌ライブを観に行くためだ。コンサートとお笑いライブの折衷。これまでの経験からすると自然な流れのように思える。僕は埼玉に住んで長いが、今回はじめてさいたまスーパーアリーナの中に入った。広かった。しかもチケットはアリーナ席だった。ライブは楽しかった。僕はマジ歌という企画が好きというより、マジ歌に好きな芸人が出ているのが好きという感じなので恐れ多いのだけど、会場の盛り上がりや、演者たちの「またここに戻ってこれた喜び」みたいなものを感じてグッと来た。

 

個人的にフットボールアワーの後藤さん、ロバート秋山さん、森三中黒沢さんのパフォーマンスが印象的だった。

 

森三中黒沢さんの「高齢の親がいる一人っ子」が抱える怒り、苦しみ、その表明の難しさをこれでもかと込めた姿には胸を打たれた(客席を練り歩きながら「おまえも親が高齢者だな」と客に絡んでいたのもよかった)。

 

ロバート秋山さんは「うんこ」というクラシック中のクラシックネタをこれでもかと面白く披露していて脱帽した。生で見る本人も群を抜いて迫力があるというか、歌詞を借りれば「魂が違う」し「エネルギーが違う」感じ。二度目の登場で披露していた「カルト宗教ネタ」での、嘘スポンサーをポロッと口走ってしまい、思わず額を押さえながら照れてしまう演技はめちゃくちゃ笑った。

 

フットボールアワー後藤さんはシンプルにめちゃくちゃ華があった。パフォーマンスが圧倒的だった。歌詞はマジでダサかった。音読したいくらい好きなのだ。

 

そんな感じで約三時間、普段味わえないような刺激をたくさん受けてきた。刺激の中には、隣の席の人の笑い声がやたら甲高いとか、そんなに面白くないところでも甲高い大声で笑うとか、どういう技術なのか耳が痛くなるレベルの拍手をしていたとか、そういうのもありました。まあでもライブという場所の醍醐味ともいえるので全然OKです。笑い声の大きさは元気の証だし、拍手の妙に鋭い耳に刺さるようなその音は演者に向ける想いの強さだろうし、まあ中盤から若干辛かったのはありますが、全然!!!またその人はマスクをしていなかったのですが、漂ってくる口臭が小学生の頃の同級生とそっくりだったこともあり、そういやあいつ元気かなとか、そういやあいつもあんまり面白いやつではなかったなとか、そういうことを考えました。つまり僕のライブ満足度にもまだまだ伸びしろがあるってことです。違うか?

 

ところで僕はミソフォニアなのでしょうか。僕の友人で、映画館で違う席の人が過剰笑いをしていると絶対に注意する男がいるのですが、昔は距離のある行動に見えたそれが、いまではすぐそこにあるものとして感じられます。

ja.wikipedia.org

 

 

最後に、僕はこれまで行ったことのある全てのライブを誰かに誘ってもらうことで経験してきました。愛する人へ、こんな僕をライブに誘ってくれてありがとう。世界のよくない面にばかり目を向けてひとり壁まで吹っ飛んでばかりいる僕に、世界の楽しい面を見せてくれてありがとう。「機会」という宝物を与えてくれてありがとう。世界中の皆様、なにかしたいけどなにしていいかわからないときは、身近な人に優しく接してください。マジでいいことが起きます。本来、そういうふうに世界は回っているのです。

 

PS.

マジ歌ライブのあとに深夜1時からラジオの生放送2時間こなすおぎはやぎに恐れおののいた。テレビに出て仕事しているような人、もしかして体の作りが違う?ニンニク注射かな。