MidnightInvincibleChildren

好嫌好

 

 

sakamoto-the-barbarian.hatenablog.com

 

 

You Tube観ていたら芸人が「毀誉褒貶あるのは前提として、クジラックス先生の漫画がすごい」というトークをしていた。僕は『ろりともだち』くらいしか読んだことがない。そして『ろりともだち』が大嫌いだったので、ほかは読んでいない。『ろりともだち』とは、ふたりの男子大学生が自身の孤独ややるせなさをホモソーシャルなノリで誤魔化し、気を大きくさせ、暴走し、最終的に女児を狙った性暴力旅行を実行する……という物語だ。あらすじだけでいえば普通に最悪な話。ただ、あえて性暴力に走る加害者側にドラマの視点を置くことで、発表当時はSNSなどで話題になった。だから僕も読んだわけですが。

 

白石晃士監督の『オカルト』という映画がある。江野というフリーターに密着するフェイクドキュメンタリ-作品だ。江野はある観光地で起こった凄惨な通り魔事件の生存者なのだが、事件後、数々の不思議な体験に見舞われているという。そんな彼に密着するうちに、カメラマンの白石は江野と友情のようなもので結ばれていき、やがてとんでもない行動へと突き進んでいく。

 

いま挙げた2つの作品は「ある凶行にいたった二人の男の関係性に焦点を当てた」部分で並べて語られることがある。ただ僕は『オカルト』が大好きで『ろりともだち』が嫌いだ。前者にはあって後者にはないのが、登場人物を突き放す冷たさかもしれない。『オカルト』の後半にも、「間違った」者たちのエモーショナルなやりとりがたくさん出てくる。こんなにもおぞましいことをやっているのに、ふたりの関係性に胸を打たれてしまう瞬間がたしかにある。これは『ろりともだち』の評価ポイントとも重なるかもしれない。ただ『オカルト』は最後の最後にあるひと展開が待っている。究極にエゴイスティックな蛮行の果てに、彼らの浸っていた「文脈」を一蹴するアンサーが返ってくるのだ。これが実におぞましく、冷水をかけられたような心もとなさに、それでもなぜか感動してしまった。『ろりともだち』はそういう点で、最後の最後が気に入らない。あそこで終わらないでほしい。あの身勝手な「エモ」へのアンサーを欲しがってしまう。ちなみに僕はエロ漫画自体をほとんど読んできていないので、『ろりともだち』における「エロ漫画であれを描く」という前提がない状態でいきなり読むのもね、みたいな部分はあるかもしれません。あとシンプルに性暴力描写が嫌いなのもある。そうなってくると、むしろよく読んだなって感じですが。

 

とにかく、出来不出来に関係なく、好きじゃないものは存在する。

 

冒頭のYou Tubeの話に戻るけれど、僕は「(自分の)好きな人が(自分の)嫌いなものを好き」ということが判明すると、湧いてくるやりきれなさに打ちのめされてしまいがちだ。もちろん、こんなことでいちいち悶えるなよ、とも思う。勝手に期待して勝手にショックを受けるのも大概にしたほうがいい。そんな心の声に頭を下げつつ、それでもやっぱり割り切れない気持ちは残るものだ。ここでの割り切れなさは、好き嫌いのもっと根っこにある「倫理観」な気もする。僕は好きな芸人が『ろりともだち』を好きと言っていたことにショックを受けたわけではなく、また別の動画でチャンネルスタッフの一人が「(あの動画で)よくぞいってくれた」的なはしゃぎ方をしており、そこにグロテスクなものを感じてしまったのだ。

 

下ネタとか、性的な話題が年々苦手になってきている。もちろんレベルにもよる。欲求がこめられていると、ちょっときつい。エグいのとかはまじむり。みんながみんなというわけではないが、そういう話を嬉々として披露する人たちが見せる、妙に攻撃的なしてやったり感も鬱陶しい。

 

こんな感じで、ここんところずっとメソメソしています。

 

どんどん遠くまででかけて、いろんな刺激を浴びたほうがいい気がする。

 

読みたい本もたくさんある。

 

どうすればいいでしょうか。

 

Twitter(現X)で両目洞窟人間 (@gachahori) / Xさんにオススメされて読んだ『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』、すごくよかったです。

 

最近、社会で生活する能力がかなり低いんじゃないかと思い至って、武器が必要だと痛感、社会保障に関する知識を意識して学んでいます。なにもかもめちゃくちゃだ。でも闘うって決めたので。