MidnightInvincibleChildren

タイトルを考える時間でお皿を洗いました

 

『テレビ千鳥』でノブの言っていた「猫20匹ババア」というツッコミで緊張が走った。


砂川文次の『ブラックボックス』読んだ。バイクメッセンジャーを生業とする主人公を軸に、コロナ禍、非正規労働、税金、アカルイミライなどを克明に描いた芥川賞受賞作。たしかに最近の芥川賞受賞作っぽいな、と思った。主人公がなにごとも継続できず、衝動的に職を転々としたり、人と喧嘩したりするので、耳の痛い感覚が終始あった。物語の中盤移行、主人公は自由競争社会から外れて制度によるルーティンライフに向かうわけだけど、そこで初めて自分の過去だとか、気持ちだとかに少しずつ向き合い始めていく。終盤に漂うどこか諦念のような、それでいて鳥羽口に立つ高揚のようでもある空気が上品だと感じた。

 

Amazonプライムビデオで『アメリカン・フィクション』観た。ハーバード卒で大学教授もやっているアフリカ系アメリカ人の作家が、”黒人らしい? 暴力と貧困を描いた過激な小説を匿名で出版したら大ヒットしてしまう、という話。エッジのきいた皮肉の雰囲気は『アトランタ』を彷彿とさせるも、こちらでは家族との物語にも焦点を当てており、そこで結構ぐっときた。

 

4つの短編を同時進行で書いている。調子がいいように思えても距離が全然測れておらず、結局はいずれ消す文章をもりもり書いている状態。頭の中で物語への認知が固まってしまうとだんだん憂鬱にもなってくるので、できるだけ生活の中では幅広くいろんなことに触れようと頑張る。一番は人と話すことが効果的な気がする。自分の中のテンポを崩してくれる。あまり興味をもたなかったことに触れてみるのもいいかもしれない。こんな感じで、頭の中を換気するための方法をもっと固めていきたい。できれば人の時間を奪わない方法がいい。

 

最近になってポッドキャスト『虚史平成』を初めて聴いた。芸人・街裏ぴんくが平成のいろいろな出来事を土台にずっと嘘の話をするという漫談ポッドキャストなのだが、これがめちゃくちゃ面白い。嘘のつき方、バカバカしいのにどこか不穏な感じ、いつもこればかりで本当に申し訳ないのだけど、ドラマ『アトランタ』の、とりわけフェイクドキュメンタリー回みたいで凄みすらある。本当にずっとひとりで「なにそれ」って嘘をついているだけなのだが、いま一番欲しい刺激を受けているという感覚もあって、かなり興奮してます。「愛・地球博で謎のバイトをやった」話とか「ドラえもん声優交代の裏側で起こっていたこと」、「若貴の喧嘩の理由」、「幽遊白書ゴーストライター」とか最高です。シンプルに声がいい。

 

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ラランドのYouTubeで『ハラスメント全クリ男』を観た。テレビマンの男が打ち合わせの場で次から次へとあらゆる種類のハラスメントをぶちこんでくるというコントだ。これと似たもので『遺伝子レベルでつまらない飲み会』があるが、どこかで観たことあるような業界の有害な生き物を定期的にコントで扱っている。普段だらしなかったりクズな面を担っているニシダのほうがひたすら受け身になって引く、という構図がいいですね。

 

youtu.be

 


Amazonプライムビデオで『MEN 同じ顔の男たち』を観た。DV夫とのある出来事が原因で心身ともに疲弊した女性が、田舎街のお屋敷を借りて羽根を伸ばそうとする話。街で出会う男がみんな同じ顔というおぞましさからはじまる、有害な男性性図鑑。上記のラランドのコントさながら、主人公へのアウトな接し方をじわじわ描いていく。そんな居心地最悪な状況が、ラストでは強烈なグロ描写で爆発します。面白かった。

 

コピー本交換会に僕のZINEを持っていってくださったオカワダアキナさんから、交換したZINEの数々を送っていただいたので少しずつ読んでいる。まず初めにオカワダアキナさんの書いた『せせり』という短編を読んだ。前情報無しだったので、徐々に明かされる情報から作中がどういう世界なのか、解像度が徐々に高くなる感覚が楽しかった。文章のリズム──そっけないようでいて、屈託のなさを含んだ感じもかなり好き。ほかのZINEもどんどん読んでいきたい。

 

終わりです。