MidnightInvincibleChildren

テレビ東京60周年記念式典『祓除』にて

 

 

10月の下旬、友人から連絡が来た。

 

「これ念の為2枚取っといたんだけど、行かんか!?」

 

それはテレビ東京60周年記念式典『祓除(ふつじょ)』というイベントへのお誘いだった。

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

youtu.be

 

11月18日土曜日。僕は会場である横浜赤レンガ倉庫に向かった。横浜駅まで1時間半。そこから地下鉄に乗り換え、日本大通り駅へ。こんなに遠かったっけ。最後に横浜に来たのは2018年の冬。中華街にて食べ放題のお店に入ったのを覚えている。赤レンガ倉庫付近は、やっぱり海沿いの歩道橋が最高で、テンションが上った。めちゃくちゃでかいクルーズ船も停泊していて壮観。笑っちゃうぜ。実際満面の笑みで歩いた。

 

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会場前で友人と合流する。待たせたお詫びだからと、レンガ倉庫内のかわいいお店でキッシュのプレートと青森のりんごをつかったシードルをご馳走してくれた。申し訳ないけど、最高でもある。申し訳ないという気持ちが全面に出るのもそれこそ申し訳ないので、ありがとう。本当にありがとう。美味しかったです。サンキューな。39。

 

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開演時間ギリギリだったので走ってテレ東のイベントブースに駆け込む。敷地に入ってすぐのところで『おはスタ』のトートバッグが売っていた。アイクぬわらとハライチ岩井*1のことを考えながら列に並び、指定された席につく。

 

モニターには大きく「祓除」の文字。

 

とにかく寒かった。会場が海のすぐそばだったし、風の強い日でもあった。あんなに寒い屋外で、大勢の人で集まり、気持ちの悪い動画を立て続けに何本も観て、よしぴよさんの祈祷を見守る。なんだこれ、とずっとわくわくした。震えてもいた。

 

僕はテレビ東京の大森さんが手掛けた数々の番組やフェイクドキュメンタリーQ、梨さんや背筋さんの作品に対して特に考察したことはない。完全に享受する側に回って楽しんでいる。今回もリンクしそうな「断片」の気配に胸をざわつかせることそのものを楽しんだ。

 

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個人的にはスナッフビデオ交換会で入手したMOに入っていたという「開けた土手の上を散歩している親子三人が、謎の音と物体に遭遇した直後、とんでもない”飛躍”を見せるホームビデオ」と、「ノストラダムスの大予言を信じて地下室に閉じこもった男の奇妙すぎるVlog」が特に好き。前者なんて設定からしていささか突飛すぎるが、僕が思春期の頃に感じていたインターネット的なものへのザラッとした感触も想起され、グッときた。開けた場所なのにどうしようもない目に遭うという点も新鮮。

 

イベント終了時の、狐につままれたようにみんなでじっとするあの空気も会場ならではの体験だった。現在もいろいろ考察が盛り上がっているみたいなので、すこしずつチェックしていっている。怪談などのみそは「文脈を見出す行為」だと思うので、どんどん盛り上がってほしい。

 

家まで帰るのにまた電車で二時間近くかけないといけないのはわかっていながら、久々の友人と感想をおしゃべりしたくてファミレスに入った。ファミレスの猫型配膳ロボットを始めてみたといっていた。もともとそうではあったが、友人はどんどん優しい人間になっているんだなと感じた。そんなことをしみじみ感じる夜だった。

 

日をまたいで家に帰った。駅からの道中、空き家がいくつかあるのだけど、カーテンのかかっていない窓を見るのがなんだかいやだった。いとうよしぴよ氏による”設定完了”の意味は、これから理解するのかもしれない。おめでとうございます。

 

 

配信でも見ることができます。ぜひ設定しましょう。

pia-live.jp

 

 

 

 

*1:色んな人と話し合った結果、個人的にはやっぱりキツイ寄りの感情です。

文学フリマ東京37に行ったビジターC

 

文学フリマ東京37に行ってきました。

 

関東で生活するようになって長いが、初文フリとなっております。というのも埼玉の北の方に住んでいると、東京が遠い。今回も会場である流通センターまでの道のりをスマホで調べたときに、2時間近くかかると表示されて行くのをやめようかとも思った。未だに油断していると電車で酔うし。しかし年に何度か訪れる「家で過ごしてなんになる?」モードでもあった僕は、会場の雰囲気を味わうことを第一の目的に設定し、肩肘張らず出発することにした。参加される方々を詳しく調べたりとか、そういうのは現地でもできるだろう、それこそ巡り合いだろうという堂々とした不精。ぼんやりと「ナナロク社から木下龍也と舞城王太郎のコラボ作品が出る」とか、「『鬱の本』を出す点滅社がフリーペーパーを配っている」くらいは知っていて、それらがゲットできればもう百点満点ということにした。

 

 

移動時間は長かったものの、モノレールで曇天に見下ろされたTOKYOビル群の隙間をグイグイ縫う感覚はちょっと楽しかった。いざ流通センター駅に到着した時点でもう終盤に差し掛かっていたが、会場は大賑わいだった。会場周りの自販機がほとんど釣り銭切れになっていたのもその証左だと思う。来場者は来場者シールを、出店者は出店者シールを胸のところに貼っていた。僕も胸のところに「Visitor C」と書かれたシールを貼りました。三池崇史監督の『ビジターQ』みたいでかっこいい。心なしか、会場には「一張羅で来たな」と思しき人がたくさんいた。みんなの文フリへの思い入れをひしひしと感じる。

 

 

ナナロク社も点滅社も、会場入り口からみた正面の一番奥【Z】エリアで出店していた。会場をざっくり突っ切って雰囲気を味わいつつ向かえるのでありがたい。まず僕はナナロク社のブースで早々に舞城関連品を三点買った。去年売られていたものもあったので、迷わず買った。

 

それからその隣の点滅社ブースへ。人が何人か立っていたので、タイミングを見てフリーペーパーを頂戴する。『どこにいても死にそう』と題された文庫サイズのそれを持って、一旦外の空気を吸うため裏の搬入用スロープに出た。巨大な倉庫群を背にしながら荷物を整理し、その場でパラパラと『どこにいても死にそう』を読んだ。今日来てよかったなと心から思った。改めて点滅社のブースに向かい、「おしまいステッカー」を2枚買った。ブースに座っていた(おそらく屋良朝哉さんと思しき)方に、『鬱の本』も絶対に買いますと声をかけた。僕はああいう場で声をかけることが本当に苦手なのだが、なんだか気持ちを伝えずにはいられない、みたいな気持ちになっていた。『どこにいても死にそう』の文章を書いた人と対面している興奮もあったのだと思う。

 

それからふわふわした気持ちで会場をぐるぐる回る。事前に調べていなかったせいで、後々色々と後悔する予感を覚えつつ、そのエネルギーを浴びた。敬称略で一気にいきますが、木下龍也、佐藤友哉海猫沢めろん、pha、TBSラジオ記者の澤田大樹を見た。改めて文フリってすごい場所だなと思いつつ、帰宅ラッシュに巻き込まれるのも怖いので早々に駅に向かった。滞在時間はかなり短かったが、なにもない頭の中で、ただただ「やってやるぜ……」という気持ちが煮えていた。

 

乗換駅である東京駅で一度改札を抜けると丸の内側に出てバカデカビル群を眺めながら散歩した。「格差」って感じがいたるところにあってはじめはちょっと悲しくなったが、だんだんどうでもよくなり、『あのこは貴族』を観たくなった。

 

東京駅でカレーを食べた。時を同じくして大規模なシステム障害が起こっていたらしく、あとから入店した外国人親子が発券機でクレジット決済できず、店員の人たちがみんな困っていた。もしもお金持ちだったら、あの人達のぶんまで現金で支払い、せっかくの旅行を楽しんでと伝えたかった。僕はTwitterでSINGO☆西成さんから「粋」だとリプをもらったことのある人間なのに、いかんせんお金がない。

 

帰りの電車では座れなかったが、特に酔いもしなかったので万事快調。風の強い駅のホームに降り立つと、前を歩くオシャレな男子大学生のトートバッグにちいかわとハチワレのぬいぐるみがぶらさがっていることに気づいた。ワッ、と思った僕は息を呑んだ。それから思わず


「なんだ、もう、朝かと……」

 

と背後から語りかけるようにして歌った。僕には、せわしなく歩を進めていた彼が反応したのがわかった。歩く速度を落とし、片方のイヤーポッズを取り外しながら彼は振り返った。目はこちらを向いていて、なんとなく、不安そうに見えた。何かに驚いているのかもしれなかった。


「……ひとり、ごつ」

 

彼はそんなふうに続きを歌った。僕が微笑んだのは、彼が微笑んでいたからだ。

 

文学フリマに行けてよかった。次は高円寺にあるそぞろ書房にも行ってみたいと思った。外に出ると、こうやって気持ちの置き場所が前へ前へとつながっていくことがある。それをとても嬉しく思う。

 

おしまい

 

買ったもの。全部いいです。



 

今日も腹を減らして一匹の蜘蛛が……

 

「蜘蛛の巣に付いた雨粒の中に映る草木」の写真

 

先週の土曜日、弟がネトフリ版『ONE PIECE』を観るついでに泊まっていった。

 

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翌朝、電子レンジと天井の間にピザMサイズくらいの蜘蛛の巣ができていた。中央には宿主らしき蜘蛛もいた。修羅場を潜ってきたのか、脚が7本だった。昨夜その場所になにもなかったのは確かなので、半日も経たずにこれだけの巣をつくられたわけだ。びっくりした。

 

生活するうえでの動線上だったので、やむを得ず蜘蛛を巣ごとティッシュで包んで玄関の外に移動させた。その後も何度か確認すると、蜘蛛は同じ場所でじっとしていた。なんとなく気になる存在になっていった。

 

そしておととい、その蜘蛛が電気メーターと給湯器の間に新たな巣をつくっているのを見つけた。蜘蛛の脚は六本になっていた。こいつ、生きていたのか。いつもなら一蹴する蜘蛛の巣だが、そのときばかりは指先でちょんとつついて、くすくす笑った。

 

昨日、窓の開け締めするわずかなタイミングを狙ったのか、大きめの蚊が部屋に入り込んでいた。僕は壁に止まったそいつを叩き潰そうと気配を殺すが、ふと思い立って、ティッシュで覆うように捕まえた。それから外に出ると、あの蜘蛛の巣にそっとくっつけた。蜘蛛はしばらくじっとしていたが、振動から巣に生き物がかかったとわかったのか、急にせかせか動き出すともがく蚊に近寄っていった。それから長い六本の脚で器用に挟み込むと、くるくる回転させながら蚊に糸を巻き付けていった。

 

「食べ物を冷蔵庫にしまうみたいなものか?」

 

真っ暗な玄関先で僕がそうつぶやくと、その音だけが秋の夜気にのってひんやり空へと上っていった。

 

今朝、ゴミを出すため外に出ると昨夜の蚊は消えていた。

 

「食べたのか?」

 

もちろん人間が感知できるような返事はなかったが、僕は嬉しくなって「そうだろ!おい!」と叫び、大声で笑った。

 

また今日が始まる。そしてくる。爆弾低気圧が。

 

 

 

 

 

好嫌好

 

 

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You Tube観ていたら芸人が「毀誉褒貶あるのは前提として、クジラックス先生の漫画がすごい」というトークをしていた。僕は『ろりともだち』くらいしか読んだことがない。そして『ろりともだち』が大嫌いだったので、ほかは読んでいない。『ろりともだち』とは、ふたりの男子大学生が自身の孤独ややるせなさをホモソーシャルなノリで誤魔化し、気を大きくさせ、暴走し、最終的に女児を狙った性暴力旅行を実行する……という物語だ。あらすじだけでいえば普通に最悪な話。ただ、あえて性暴力に走る加害者側にドラマの視点を置くことで、発表当時はSNSなどで話題になった。だから僕も読んだわけですが。

 

白石晃士監督の『オカルト』という映画がある。江野というフリーターに密着するフェイクドキュメンタリ-作品だ。江野はある観光地で起こった凄惨な通り魔事件の生存者なのだが、事件後、数々の不思議な体験に見舞われているという。そんな彼に密着するうちに、カメラマンの白石は江野と友情のようなもので結ばれていき、やがてとんでもない行動へと突き進んでいく。

 

いま挙げた2つの作品は「ある凶行にいたった二人の男の関係性に焦点を当てた」部分で並べて語られることがある。ただ僕は『オカルト』が大好きで『ろりともだち』が嫌いだ。前者にはあって後者にはないのが、登場人物を突き放す冷たさかもしれない。『オカルト』の後半にも、「間違った」者たちのエモーショナルなやりとりがたくさん出てくる。こんなにもおぞましいことをやっているのに、ふたりの関係性に胸を打たれてしまう瞬間がたしかにある。これは『ろりともだち』の評価ポイントとも重なるかもしれない。ただ『オカルト』は最後の最後にあるひと展開が待っている。究極にエゴイスティックな蛮行の果てに、彼らの浸っていた「文脈」を一蹴するアンサーが返ってくるのだ。これが実におぞましく、冷水をかけられたような心もとなさに、それでもなぜか感動してしまった。『ろりともだち』はそういう点で、最後の最後が気に入らない。あそこで終わらないでほしい。あの身勝手な「エモ」へのアンサーを欲しがってしまう。ちなみに僕はエロ漫画自体をほとんど読んできていないので、『ろりともだち』における「エロ漫画であれを描く」という前提がない状態でいきなり読むのもね、みたいな部分はあるかもしれません。あとシンプルに性暴力描写が嫌いなのもある。そうなってくると、むしろよく読んだなって感じですが。

 

とにかく、出来不出来に関係なく、好きじゃないものは存在する。

 

冒頭のYou Tubeの話に戻るけれど、僕は「(自分の)好きな人が(自分の)嫌いなものを好き」ということが判明すると、湧いてくるやりきれなさに打ちのめされてしまいがちだ。もちろん、こんなことでいちいち悶えるなよ、とも思う。勝手に期待して勝手にショックを受けるのも大概にしたほうがいい。そんな心の声に頭を下げつつ、それでもやっぱり割り切れない気持ちは残るものだ。ここでの割り切れなさは、好き嫌いのもっと根っこにある「倫理観」な気もする。僕は好きな芸人が『ろりともだち』を好きと言っていたことにショックを受けたわけではなく、また別の動画でチャンネルスタッフの一人が「(あの動画で)よくぞいってくれた」的なはしゃぎ方をしており、そこにグロテスクなものを感じてしまったのだ。

 

下ネタとか、性的な話題が年々苦手になってきている。もちろんレベルにもよる。欲求がこめられていると、ちょっときつい。エグいのとかはまじむり。みんながみんなというわけではないが、そういう話を嬉々として披露する人たちが見せる、妙に攻撃的なしてやったり感も鬱陶しい。

 

こんな感じで、ここんところずっとメソメソしています。

 

どんどん遠くまででかけて、いろんな刺激を浴びたほうがいい気がする。

 

読みたい本もたくさんある。

 

どうすればいいでしょうか。

 

Twitter(現X)で両目洞窟人間 (@gachahori) / Xさんにオススメされて読んだ『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』、すごくよかったです。

 

最近、社会で生活する能力がかなり低いんじゃないかと思い至って、武器が必要だと痛感、社会保障に関する知識を意識して学んでいます。なにもかもめちゃくちゃだ。でも闘うって決めたので。

 

 

 

1週間振り返り

 

「スクロールしてみて!文字がどんどんでてくるよ!」

 

 

 

この一週間、毎日ブログに記事をアップするという試みを行ってきました。今日がその最終日。気がつきゃ10月。去年の10月1日、僕は前職の朝番で、プリキュアのグリーティングイベントのPAを担当していた。あっという間だが、月日の流れにいちいち動じていられない。進みたいやつは進め。進められなかった人は、それはそれ。それはそれなんです。そんな感じで、この一週間を振り返っていきたいと思います。

 

 


月曜日

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9/21(木)に「マジ歌ライブ」にいったので、”ライブ行かず”として過ごしてきた僕のライブ観と改めて向き合ってみた。近くの席の人によって感じ方が変わってしまいかねないギャンブル性も含め、ライブを楽しめるようになったら、もっと行く機会が増えるのかもしれません。あと記事には書きませんでしたが、ライブのスペシャルゲストが何名かいて、それがことごとくピンとこなかったので、一緒に見に行った人と「なんか大体においてそっちじゃない側に回っちゃうよな」と笑いました。

 

 

火曜日

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ジョン・ウィックシリーズにあまりハマれていない居心地の悪さを『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が高火力で吹き飛ばしてくれた、みたいな気持ちを込めました。もちろん、大目に見ることに慣れ始めた側面も手伝っている部分はあると思います。これまでのジョン・ウィックが「こっちを観ながら変なことをしている人」みたいな印象だったとしたら、今作は「全然目の合わない、どんどん遠くに走って行ってしまう人」って感じで頼もしかったです。

 

 

水曜日

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水曜日ともなると、早々に書くことがなくなり、日常の雑記みたいなものになりました。秋の匂いと、それに紐づけされた甘酸っぱい記憶。税金への納得度が低下した今、怒りはどんどん表明していきましょう。余裕ある人のほうが少ないので。

 

 

木曜日

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バイオハザード RE:4』にDLCダウンロードコンテンツ)が来たので、その魅力をかなりの労力を割いて書いた。自分のプレイ動画保存してGIFまで作った。これ書いた数日後に、マーセナリーズにて210万ポイント達成しました(ウェスカーで村)。やったぜ。

 

 

金曜日

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最近、夢中になってみている芸人のYouTubeを紹介した記事。まだ若干恐る恐る観ているところがあるので、絶対に観て!みたいなテンションでは書いていないことに読み返して気づく。ごめん。「フィリピン編」で一番良かったのは、僕が今書こうとして放置したままでいる「内定ないのに友達の卒業旅行についていく話」の、空気感とか、イメージとか、そういうインスピレーションを与えてくれたことです。

 

 

土曜日

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本当に書くことがなくなり、日々のこと、さらにいえば「夢」の話を書いた記事。はてなブログのお題に頼りました。お題があるととりあえずスタートを切れるのでいいですね。ちなみに本文の夢よりも、今朝見た夢*1のほうがインパクトが強かったので「惜し~」と思いました。

 

 

そして今日、日曜日。

 

昨日のレイトショーで『HUNT ハント』を観てきた。大統領暗殺を企む二重スパイが身内にいる。疑心暗鬼に駆られるKCIA所属の面々。光州事件その後の韓国を、硬派かつケレン味あふれるアクション、容赦のないバイオレンス、『裏切りのサーカス』級の情報量で描く物語。振り落とされないようにしがみつきつつ、感情を振り回され、息を呑む。めちゃくちゃ面白かった。これだけポリティカルな話を、だれにも甘くない物語として見事に仕上げた作手の意識、その成熟度にまずショックをうける。イ・ジョンジェすごすぎる。情報を整理した状態で、もう一回観たいくらい好きです。

 

みたいな気持ちで、今日は部屋の掃除をしたり、ペペロンチーノを作ったりして過ごしています。今朝放送の『僕らの時間』がとてもよくて、泣きました。

 

 

「みんなで幸せになろうね!」

「角を生やして怒っているとみせかけて上を指差す嫁」の写真[モデル:高尾実生]

 

使用画像: https://www.pakutaso.com

 

*1:ノリで変なことをしちゃう友人が心霊スポットの廃屋で、落ちていたボウリングの玉を硬球くらいのテンションで放り投げ、近隣住人に怒られ、案の定祟られ、霊たちの仲間となって、吹奏楽のパレードみたいにみんなで『史上最大の作戦』のマーチをピアニカで演奏するという牧歌的な百鬼夜行に参加していたのを見て、大好きな映画『どこまでもいこう』みたいでいいじゃん、とほっこりするという夢

バイオレンスステッカー・イン・マイ・ドリーム

「混淆街(フォトモンタージュ)」の写真

 

1週間連続でブログを更新する。そう決めて本日が6日目。せっかくだからとはてなブログのトップページを開いてみると、週ごとにはてなブログ側がお題を出していた。ありがたい。今日は天気も優れず、気圧のせいか特に眠い。だから眠ってしまいたい。

 

今週のお題「夢」

 

夢は比較的よく観るほうだと思う。今朝は場面転換の多い夢だった。車を運転していたら武装した10代の少年たちに襲われ、僕はなんとか逃げおおせたのだけど、たまたま近くを歩いていた少年が布みたいになるまでナイフで切り裂かれてしまった。八つ当たり的な行動で、ここまで醜いことができるとは。僕は近くのボロアパートに逃げ込んでいた。そこにはジャン=クロード・ヴァン・ダムが住んでいた。見るからに老兵。激しい籠城戦が始まる予感。その予感だけ浴びて、記憶は飛んでいる。

 

堀北真希前田敦子が仲良しで、どういうわけかそんな二人と僕は会う。流れでエアガンショップに行く。僕は今、エアガンはいいかな。ということでステッカーを探す。すると前田敦子がくいつく。前田敦子のほうがお金を持っているので、値段も見ずにステッカーを買う。店員のおじさんから商品を受け取ってすぐ、すぐ横の棚に貼ろうとして注意されていた。さすがだなあと思った。

 

未だに「なにかに間に合わなくなりそうになって焦る」という夢ばかり見る。

 

チェックしたいと思っていたドラマや映画が連続して配信される。だんだん映画もドラマも別に観なくていいと思えるようになってきた。本だって読みたいものだけでも読み切れないのに、『カラマーゾフの兄弟』なんてもう無理だ。間に合わないことで気持ちが楽になることだってあるはずだ。今夜も好きなだけ眠る。

 

 

 

 

『バキ童ちゃんねる』と

 

『バキ童ちゃんねる』とはお笑い芸人「春とヒコーキ」のYou Tubeチャンネルである。ボケ担当のぐんぴぃと、ツッコミ担当の土岡で「春とヒコーキ」。ボケ担当であるぐんぴぃ氏がABEMAニュースの街頭インタビューで日本の童貞率の高さについて質問された際、「誠に遺憾です」「バキバキ童貞です」と答えたことからインターネットミーム化、フリー素材のように扱われることにより多くの人の目に触れ、話題となったのが2019年の出来事。当時、僕もTwitterなどでチラチラと目にはしていた。これが僕の【バキ童】初認知となる。しかし「童貞ネタ」に忌避感を覚えているタイプの僕は、特にディグることはしなかった。彼らのYou Tubeチャンネルを見始めたのも、ここ数週間のことだ。2023年。我々も年をとった。

 

はじめから熱心な視聴者というわけではなかった。映画やドラマをじっくり観たい気分ではないが、なにかしたい、音がほしい、みたいな時間が一日の中にはある。そこでなんとなく再生したのが『バキ童ちゃんねる』だった。特別気持ちを入れずに何本か視聴した。片や元ブックオフの店長、片や元ニート。青学の落研出身で、話が面白い。それが心地良い。力の抜けた感じもまた憎い。そんな感じでついつい動画を再生していた。

 

生い立ちなどパーソナルな話をする系のやつが入り口として楽しいです。ずっと聴いていられます

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好きな企画です↓

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【バキ童】ことぐんぴぃ氏は、同じお笑い芸人たちとルームシェアをしていた。通称「キモシェアハウス」。基本的に全員不潔で、攻撃的で、しょっちゅう喧嘩する。2021年にこのシェアハウスは解散しているが、現在も交流は続いていて、今年の五月にはメンバーでフィリピンに行っている。

 

ちなみにぐんぴぃ氏、自身のnote*1に「フィリピン編」の動画再生数があまり伸びていないことへの思いを綴っていた。配信でも語っている。ぐんぴぃ氏がこれまで避けてきた「内輪」山盛りのものだったからだ。正直わかる。僕も最初のころはキモシェアハウス関連の動画を飛ばしていた。チラッと観てみたこともあったが、基本的に画面に写っている部屋の状態も話している内容もかなり不潔だし、ほとんどのメンバーが攻撃的なのでよく喧嘩もしている。

 

僕は大学時代にオタサーに所属していたので、そういうカテゴライズをあてがわれる、あるいはその自覚をもった男たちの想像以上にマッチョな感じはよく知っている。その証左として、オタサーの人ほど「AT限定」免許をバカにする傾向にある。さらにたちが悪いのは、いざ対面では「運転するだけなら全然AT限定でもいいと思いますよ」とかいいつつも、SNSでは「AT限定免許は認めない」みたいなつぶやきをしたり、その投稿に「自分もそう思います」とリプを飛ばしたり、そういうことを平気でする。たまたまそんなやりとりを見つけてしまった僕は、これは走馬灯用素材になりそうだな……と背中を丸めた。とにかく、そういう人*2はかなり多かった。がんじがらめなのだ。それが自分を苦しめる歪なルールだったとしても。

 

しかし、キモシェアハウス動画をながら再生しているうちに慣れてくるのも事実だった。まず安心してほしいのが、画面越しに臭いは届かない。極めて下品な話もただの音として笑って聞けるようになってくる。やがてメンバー個々のパーソナリティにも理解が深まり、興味がわく。また、童貞を研究するスウェーデンのピーター博士が登場したのも大きかった。フィールドワークとして彼もキモシェアハウスで暮らすのだが、そこで客観的な外からの視線が付与されることにより、風通しがグッと良くなった気がする(ピーター博士の順応性があまりにも高いため、その効果はすぐに薄まるが)。


そんな近所にいると話は別な個性豊かな面々が交わす日常的な会話がやっぱり面白い。日高屋の中華そばみたいなので、続けて観てしまう。「仲良くしろよ……」と思って眺めていた喧嘩も、いまとなっては楽しい日常。何気なく飛び交うワードが、つい一時停止したくなるようなひっかかりを保持しているので、くすぐったくなってくる。メンバーも全員面白い*3


ちなみに「フィリピン編」だが、キモシェアハウスメンバーでフィリピン旅行したのにはある目的があるのだ。それはメンバーの一人である【レンタルぶさいく】がフィリピンで就職し、疲弊しているとの噂を聞きつけたため。みんなで救出に向かうためだった。フィリピンの地で再会した彼らは、かつてひとつ屋根の下で苦楽を共にした仲間同士で再び笑い、傷つけ合い、対話する。比較的多くの本数アップされているため、観終わるまでの時間もかなりかかるだろう。それでも最高の瞬間が山のように収められていた。生を実感するための人間大砲。射撃場でぐんぴぃ氏らが銃をおおはしゃぎで撃つ場面では、見学のピーター博士が「欧米ではインセルという破壊的な童貞サブカルがあって……」と神妙なトーンで話し出すことで見事に相対化していた。慣れないナイトクラブでヤケになって踊り狂う場面なんて、音を消して再生したら『aftersun/アフターサン』*4だった。

 

僕個人としては、エンディングで涼宮ハルヒのキャラソン『SOSでもだいじょーぶ』を流してほしいほどの感慨に包まれた。なので観終わったあと、実際に曲を再生して余韻に浸った。オタサーにいながらも最終的に壁をつくり、二度と関わることもないだろうと判断したかつての自分に、その壁の向こう側に進む方法だってたくさんあったはずだと思わせてくれた。そこで待っていたかもしれない景色を見せてくれた。今夜は中秋の名月キモシェアハウスでもだいじょーぶ!ウォォー!

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*1:

フィリピン編のたくらみ|ぐんぴぃ(バキ童・春とヒコーキ)

*2:低い自尊心をマチズモに預けて威を振るう、本当のかっこよさに触れられなかった人々

*3:個人的にはガクヅケ木田さんの、絶妙な小芝居を瞬時に入れてくるところが好き。Wikipediaにも『顔マネ(上地雄輔濱田岳)』という特技が記載されていて合点がいった。

*4:現状今年のマイベスト映画です。

映画『aftersun/アフターサン』公式サイト 5/26(金)公開

『バイオハザード RE:4』にDLCが!

 

バイオハザードRE:4』、ずっとやってます。

 

今月24日木曜日に追加DLCの配信&アップデートがありました。本編にも登場するエイダ・ウォンが、メインストーリーの裏側でどのような行動を取っていたのかが明らかとなる中編『SEPARATE WAYS』(有料DLCにて)。そしてミニゲームマーセナリーズ』にも新キャラ&新ステージが無料アップデートにより追加されました。

 

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『SEPARATE WAYS』

 

そのボリューム

さっそくプレイしてみました。

せっかくだからとハードモードで臨んだところ、最初のボス戦で弾薬が尽きます。本編同様、考えなしで突っ切れるほどの難易度ではないみたいです。ストーリーのボリュームも想像以上。本編の約半分ほど?の体感で、初回は5~6時間でクリアできました。オリジナル『バイオ4』に存在していたあるボスキャラが『RE:4』ではカットされていて……という点でも嬉しい要素の詰まったDLC

 

 

新要素

エイダの所持している新アイテム「フックショット」でのアクションが最高です。せっかちなので、移動を省略できる要素は大歓迎。

 

また、登場するショットガンがソードオフ仕様になっていたり、ブラストクロスボウという火薬矢を放つオリジナル武器が登場します。使い勝手に関わらず、新しい武器はテンションが上りますね。

 

『SEPARATE WAYS』用のレコードも追加されているので、トロフィーコンプリートに再挑戦できます。本編では辛酸をなめになめたプロフェッショナルモードのS+クリアが、本作でも必須条件となります。時間はまあまあかかりそうですが、楽しみです。

 

 

マーセナリーズDLC

新キャラ&新ステージ

大好きなミニゲームマーセナリーズ』にも追加DLC。こんなに嬉しいことはありません。過去作でも、僕は本編以上にミニゲームにのめり込む傾向にあります。

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追加キャラは、4キャラクターが追加されました。それぞれの解放条件も含め、以下のとおりです。

 

 

■エイダ・・・アップデートにより初期解放

■エイダ(ドレス)・・・エイダで全ステージをSランク以上でクリア

■ウェスカー・・・エイダで任意のステージをAランク以上でクリア

■レオン(ピンストライプ)・・・レオンで全ステージSランク以上でクリア

 

 

これらのキャラでプレイしてみたところ、初期キャラクターよりもポイント獲得率が高めに設定されているのか、150コンボを達成できなくとも100万ポイント以上は余裕で稼げるような印象です。

 

新ステージである『岸壁』。暴走チェーンソー男が登場するという点などを含めオリジナル版での『港』を彷彿とさせます。ガナード全種類にマーセナリーズのボスキャラオールスターズと難易度高めのステージとなっています。

『岸壁』

暴走チェーンソー男。序盤で1体、後半に2体出てきます。

 

 

高ポイント獲得方法

新キャラでいろいろ試した結果、バレットラッシュ時の高ポイント攻撃が以下のように設定されていました。自分調べなので精度は怪しいですが、ご参考までに。

 

 

エイダ

ハンドガ

エイダはハンドガンでのヘッドショットポイントが最も高いです。ほかキャラだとライフルを使用した級のポイントです。比較してもハンドガンは連射性、操作性で上回る点が多いのでしっかり狙えばポイントを荒稼ぎできそうです。ショットガンは獲得ポイントを見る限りかなり微妙ではありますが、制圧面ではかなり使い勝手もいいので、補助武器として使用すれば良いかもしれません。

 

 

エイダ(ドレス)

セミオートライフル/マシンピストル

エイダ(ドレス)だと、マシンピストルとセミオートライフルのヘッドショット時のポイントが同じなので、どちらか好きな方、あるいは両方を使ってガンガンポイントを稼ぐと良いかもしれません。ただしエイダのマシンピストルが腰だめ射撃のため、ヘッドショットは正直決めづらい気もします。使い切りのロケットランチャーは獲得ポイントもエグいので、できるだけ大勢を巻き込めるように使用すると最高だと思います。

 

 

■ウェスカー

体術

ウェスカーはポイントだけ見れば銃器類の活躍が期待できますが、実際プレイしてみると圧倒的制圧力を持った体術の優先度が高い気がします。マグナムは弾数がかなり限られている武器なので、余裕があればヘッドショットで高得点を稼ぐのも手かもしれません。

マグナム



 

 

■レオン(ピンストライプ)

シカゴタイプライター

レオン(ピンストライプ)ではシカゴタイプライターでのヘッドショットがおすすめ。他のサブマシンガンと比較しても連射性が圧倒的なのでヘッドショットを決めやすいです。弾数に余裕がある際にマグナムも使っていけばかなりの高得点が期待できます。ショットガンはアタッシュケースを圧迫するだけじゃなく、ポイントも微妙なので、僕は早々に捨てちゃったりします。

 

 

そんな魅力たっぷり『マーセナリーズ』ですが、僕は未だ200万点に到達したことがありません。いつか必ずと、引き続き邁進していく所存でございます。

 

 

もっとほしいもの

Guns.Lots of guns.

今回の追加DLCですが、残念ながら新たな特典武器などは追加されませんでした。

ということで前々から噂されているオリジナル『バイオ4』にあった最強の隠し武器【P.R.L.412】は依然として鳴りを潜めたままです。ただ【P.R.L.412】はあまりにも高性能でゲームジャンルすら変わりかねないレベルだったため、今回はオミットされる可能性も十分ある気がします。

個人的には各武器をもう1種類ずつ新しいものを追加してほしい気もします。ハンドガンに【サムライエッジ・バリーVer】とか。コスチュームも倍くらいほしいです。なぜなら僕は本当にバイオばっかりプレイしており、この先も何周もするであろうことが容易に想像できるからです。カプコンさん、ご検討のほどよろしくお願いいたします。今回は、ありがとうございました。

 

youtu.be

 

 

 

寝そべり族でもだいじょーぶ

「秋の夕暮れ時のヨシ(葦)」の写真

 


UNIQLOで買ったタックワイドパンツについて。丈が長かったのに、まあこのままでもギリギリいけるでしょとしばらく過ごしてきた。しかし人間、「ちょっと気になる」を放置すると、結果としてその対象を遠ざけることになるのです。実際になった。せっかく買ったのにあまり穿いていませんでした。もったいないですよね。

 

なので先日、UNIQLOにそのパンツを持ち込んで裾直しをしてもらいました。UNIQLOの商品であればレシートなどがなくても、無料でやってもらえます。30分くらいでやってもらえます。気づいたのが最近なので、もっと活用すればよかったと思いました。裾を数センチ詰めただけなのに、印象はガラッと変わります。遠ざけていたパンツが、ストレスのない存在として、生活の中に再配置されます。いまもそのパンツを履いています。変なところから生えている毛みたいに、どんな小さなことでもストレッサーは日常から排除していく。ひとつひとつ。そこに残りの人生を捧ぐ。人間だろうと容赦しねえ。

 

なんの解決でもないけれど、最近、空気が秋っぽくなってきたのが嬉しい。僕は秋が好きなので、それだけでまだ日々をギリギリ耐え忍んでいます。秋になると、夏の間眠っていた脳の部分が目覚めます。忘れていた感情を突然思い出したりします。僕は今回、白からオレンジ、やがて紫へとグラデーションをみせる地平線を眺めながら、秋の涼やかな風を浴びているうちに「ん?涼やか……?」という気持ちになりました。それが「涼宮……?」に変化し、「涼宮ハルヒ」となり、『涼宮ハルヒ』シリーズのキャラソンを再生したのでした。実に、名曲揃い。個人的に『アイム・フリーダム』、『潜在的太陽の証明』、『SOSならだいじょーぶ』を主に聴いています。ずっと好きな曲たちです。ちと、ツウすぎるかもしれませんが(笑)

 

ちなみに『涼宮ハルヒ』の初期キャラソンくらいになると、発表年が2006年になります。17年前……。そんなに空いているのであれば、そろそろ実写映画のエンディングとかでハルヒのキャラソンが普通に使われたりしてもいいんじゃないでしょうか。ハルヒ全然関係ない話とかでも全然いい、それこそ向井康介脚本っぽい作品のラストで流れたら失神するかもしれません。権利えぐそうですけど。いまをときめくY2Kなので。

 

 

ところでみなさん、

 

 

急で恐縮ですが住民税のことを想像してみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムカつきませんか。

 

 

 

 

 

 

 

迷惑かけてすまない/『ジョン・ウィック:コンセクエンス』



 

 

 

これまでのジョン・ウィック

ジョン・ウィック。これまでの印象でいうと、僕はあんまり好きなシリーズではなかった。でも決して嫌いだし興味もないというわけでもない、難しいグラデーションの中を生きていた。世の中のことだいたいそうだろう。なまじ大好きな「殺し屋モノ」であるところも、なかなか距離を置けない理由だったりする。じゃあどこがイマイチに感じているのかといえば、すごいアクションだけど見せ方の影響で割とダレる、という点が大きい。疲れているさまを隠さないこと(意図的は察しつつ)により、映像的な外連が犠牲になっている。もはやドキュメンタリータッチにすら見える瞬間すらあるなか、設定だけの外連はふらふら生き残っているので、その妙な感じが(例え意図されたところで)心躍るものではなかった。以下、シリーズざっくりこんな感じ。

 

ジョン・ウィック
「最強の男が愛犬の復讐」と「独特なルールに溢れた殺し屋ワールド」という2つの要素が食い合わせ悪く感じて、それぞれの一番美味しいところに結局届かなかった、みたいな感触。そこに「は?」と思ったまま映画が進んでしまった。

 

ジョン・ウィック:チャプター2
「独特なルールに溢れた殺し屋ワールド」メインに舵を切った転換作。ああ、そっちにいくのね、という気持ちのまま観終わる。ツボがいまいちピンとこなかったので、相性の問題な気もしていた。

sakamoto-the-barbarian.hatenablog.com

 

ジョン・ウィック:パラベラム』
舵を切った更にその先、深掘り編。そもそもジョン・ウィックというキャラクターに全部担わせてばかりじゃ、ちょっと息切れしませんか?と如実に感じた作品。全部ジョン・ウィック絡みの話なので逆に世界が狭く見えてきた気もするし。強敵の倒し方もガラスに突っ込んで「うう…」となったら終わり、みたいな曖昧なところがあったり、監督がアクションばかりなのを危惧して足したらしいギャグシーンがあんまりおもしろくなかったり、かゆいところが結構残る印象。

 

 

そして『ジョン・ウィック:コンセクエンス』……

 

めちゃくちゃ面白かったです。ちょっと動揺しました。キャラクター、アクション、それぞれの豊かさが出し惜しみなく詰め込まれていた映画でした。

 

キャラの豊かさ

まず豪華キャスト陣による個性的なキャラが多いので、風通しがいいです。お祭り映画の様相も呈していて、そこもワクワクします。

 

【ケイン】
盲目の男。ジョン・ウィック回の座頭市。このドニー・イェンの存在により物語に新たな軸ができたため、異常な長尺でも過去作のようにダレることなく突き抜けられたような気がする。彼と後述する【ノーバディ】は今作の功労者です。

 

【コウジ・シマヅ】
真田広之はもともと『パラベラム』でマーク・ダカスコス演じていた最強寿司職人の役でオファーが行っていたらしいですが、スケジュールが合わずに断念。今作で念願の登場です。大阪コンチネンタルの支配人。ドニー・イェンとの眼福バトルが観られるのも『ジョン・ウィック』というフォーマットがあってのこと。このシリーズのフォーマットとしての優秀さは文句ありません。とにかく殺陣が流麗。

 

【ノーバディ】
劇中では「トラッカー(追跡者)」とも呼ばれていましたが、「スナイパー」的なニュアンスだったので、ここでは本人の自称を尊重して「ノーバディ」呼びを。懸賞金爆跳ね中のジョン・ウィックを狙う男。懸賞金が上がれば上がるだけいいので、ジョン・ウィックを助けたりもするその余裕に痺れる。高級スーツのキザな連中ばかりの中、でかいリュックとニット帽、あらゆるメモが書き込まれたボロボロのノートという生活感。傍らには常に愛犬。5000万ドルを稼ぐことを目標としていて、その理由こそ多くは語られないのだが、きっと愛犬と一緒に穏やかな環境でゆっくり暮らしたいんだろうなあと僕は感じ取りました。組み立て式のレバーアクションライフルを巧みに操り、格闘術にも長けているところもクール。防弾スーツにかけるお金も惜しんでいたのかな(だからこその例のリュック)など、深みのあるいいキャラでした。

 

【グラモン侯爵】
権力をフルスイングして最強の殺し屋たちにも躊躇のないパワハラかましまくる若き暴君。スカルスガルド兄弟の中でも比較的線の細いビル・スカルスガルドがいい佇まいで見事に演じていました。

 

【チディ】
侯爵の部下。興奮するとスペイン語で悪態をつくところもいい。演じるマルコ・サロールの、スピードとパワーを兼ね備えた凄まじいアクションがとにかく痺れる。

 

キール
あのスコット・アドキンスが肥満メイクで参戦。喘息持ちで吸入器を使用。卑怯だし、あわあわ逃げ出すが、いざ戦うとめちゃくちゃ強いのでどういうことだよと思って笑った。キール含めたクラブのシーンはアクション時にスローが入ったりと、演出にも緩急がついていてかっこよかった。が、ふりかえると物語的には丸々カットしてもなんとかなりそうな場面でもある。楽しい無駄があるって豊かでいいですね。

 


アクションの豊かさ


◯ホテルでの甲冑風特殊部隊との戦闘

ジョン・ウィックの世界にある大阪はこうでなくちゃ!」が詰め込まれた楽しいシーン。射られた矢で壁に足を留められてしまった敵が、その後射殺され、矢を軸にぐるんと回転しぶらさがるシーンはとても良かったですね。


◯人感センサーチャイムを駆使した厨房ファイト

盲目戦士のケイン流戦闘術。が、後半まで観ると、ケインはたぶんこれやらなくても複数人相手に余裕で勝てる設定だったっぽいことがうかがえる。でも面白いし、キャラが立つし、アイディアを使わずにはいられなかったんだと思う。全然OKです。

 

◯クラブ戦

逃げるキールを追ってクラブで撃つ割る投げるの大乱闘。水しぶきの中、スローを挟んだりと演出の緩急がきいてて楽しい。手斧でのファイト、巨漢は自重に弱い!みたいなあっと驚く倒し方など、見どころも多い。戦闘の最中はレフン映画ばりに客がシカトしたまま踊っているくせに、そのあと急に避難しているシーンがあって、どっちだよとは思った。

 

凱旋門まわりでの車道バトルロワイヤル

めちゃくちゃすぎて笑っちゃうのが本シリーズの醍醐味だとしたら、今作ではここを推したい。めちゃくちゃすぎて笑った。

 

◯ドラゴンブレス弾の俯瞰シーン

ジョン・ウィックを狩るためにわざわざドラゴンブレス弾をたっぷり装填したセミオートショットガンを持参した殺し屋チーム、というワクワクするお膳立てから最高ですが、期待以上のものを観せてくれます。カメラアングルも『ホットライン マイアミ』スタイル……かと思いきや、監督はオマージュ元としてその派生作品でもある『HONG KONG MASSACRE』*1挙げています。火薬量が凄まじい点などを踏まえると、なるほど。お見事です。

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◯Devcore社によるガーディアン・パック(The Guardian Pack)

ノーバディがジョン・ウィックを狙う殺し屋軍団との戦闘で見せたおもしろアイテム。実際に販売されているリュックだそうです。これを忙しないアクションシーンのスパイスとして、ヘイお待ち!と挿し込んでくるところが憎い。

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◯階段ダッシュ&妨害

最後の最後に、あまりにもあんまりな苦行。ジョン・ウィックへの試練がテーマであることをここまで露骨に出されると清々しい。これがゲームだったら電源落とすってくらい意地悪です。ただ、同時に熱いシーンでもあるんです。意外とジョン・ウィック、熱いシーンってあんまりない印象だったのですが、ここはドラマ的にも熱いです。

 

 

その境地


今作は、ジョン・ウィックという究極の業を背負った男が、ひたすら苦行を強いられるという物語の到達点。疲労困憊の姿に意味がある、というこれまでもあったであろう演出意図が、今回はスマートに語り口とマッチしていて「とはいえダルい」とは感じなかった。作手の意図、演者の魅力、アクション、演出がついにバランスを保ったまま合体し、完成に至った……そんな境地を観た感じ。ありがとう。ということで、舐めた態度で鑑賞に臨んだ僕を見事組み伏せ、耳元で(コンセクエンス…)と囁いてくる最高のアクション映画でした。

 

 

ライブに行け

 


ライブに行ったことがあまりない。とかいいつつ2018年には吉澤嘉代子のライブに行っていた。すごく楽しかったし、同じ列の席に『何者』の作者が座っていたこともあって(わたくしも、こうして関東に出てきました)という感慨に耽ったのを覚えています。その前だと、2004年に母親がファンでもないのに2枚チケットを押さえていた槇原敬之のコンサート。どうして母親があのチケットを買ったのか未だにわかっていない。普段から槇原敬之を聴いている様子もなかったし、僕も特に聴いていなかったし、本当に不思議な出来事だった。コンサートでは案の定知っている曲が『世界に一つだけの花』しかなく、アンコールで『チキンライス』を歌いに来た浜田雅功登場のときに一番テンションが上がるというかなり失礼な客となっていた。当時中学生だった僕はその自覚で胸が痛かった。歌上手いな、いいコンサートだなとは思いつつ、でもここに座るのは僕らではないんじゃないか?という気持ちが空に昇り、雲になり、汚れたアスファルトを湿らせた。

 

お笑いは好きだけど、ライブに行ったことはほとんどない。とか思いつつ、太田プロライブジュニアライブのG5を観に行ったこともある。太田プロジュニアライブは階級分けされており、Gのあとにつく数字が小さいほど面白いとされている(されている)。ちょうど地元の同級生が太田プロに入ったばかりだったので、応援のために他の友人に誘われていったのだった。その後、同級生は無事昇格していき、G3のライブにも出ていたのでそれも観に行った。そのときはMCがマシンガンズのふたりだった。2016年の出来事だ。お笑いのライブに行ったのはあれで最後になる。

 

 



去る木曜日、さいたまスーパーアリーナへ向かった。テレビ東京の番組『ゴッドタン』の名物企画、マジ歌ライブを観に行くためだ。コンサートとお笑いライブの折衷。これまでの経験からすると自然な流れのように思える。僕は埼玉に住んで長いが、今回はじめてさいたまスーパーアリーナの中に入った。広かった。しかもチケットはアリーナ席だった。ライブは楽しかった。僕はマジ歌という企画が好きというより、マジ歌に好きな芸人が出ているのが好きという感じなので恐れ多いのだけど、会場の盛り上がりや、演者たちの「またここに戻ってこれた喜び」みたいなものを感じてグッと来た。

 

個人的にフットボールアワーの後藤さん、ロバート秋山さん、森三中黒沢さんのパフォーマンスが印象的だった。

 

森三中黒沢さんの「高齢の親がいる一人っ子」が抱える怒り、苦しみ、その表明の難しさをこれでもかと込めた姿には胸を打たれた(客席を練り歩きながら「おまえも親が高齢者だな」と客に絡んでいたのもよかった)。

 

ロバート秋山さんは「うんこ」というクラシック中のクラシックネタをこれでもかと面白く披露していて脱帽した。生で見る本人も群を抜いて迫力があるというか、歌詞を借りれば「魂が違う」し「エネルギーが違う」感じ。二度目の登場で披露していた「カルト宗教ネタ」での、嘘スポンサーをポロッと口走ってしまい、思わず額を押さえながら照れてしまう演技はめちゃくちゃ笑った。

 

フットボールアワー後藤さんはシンプルにめちゃくちゃ華があった。パフォーマンスが圧倒的だった。歌詞はマジでダサかった。音読したいくらい好きなのだ。

 

そんな感じで約三時間、普段味わえないような刺激をたくさん受けてきた。刺激の中には、隣の席の人の笑い声がやたら甲高いとか、そんなに面白くないところでも甲高い大声で笑うとか、どういう技術なのか耳が痛くなるレベルの拍手をしていたとか、そういうのもありました。まあでもライブという場所の醍醐味ともいえるので全然OKです。笑い声の大きさは元気の証だし、拍手の妙に鋭い耳に刺さるようなその音は演者に向ける想いの強さだろうし、まあ中盤から若干辛かったのはありますが、全然!!!またその人はマスクをしていなかったのですが、漂ってくる口臭が小学生の頃の同級生とそっくりだったこともあり、そういやあいつ元気かなとか、そういやあいつもあんまり面白いやつではなかったなとか、そういうことを考えました。つまり僕のライブ満足度にもまだまだ伸びしろがあるってことです。違うか?

 

ところで僕はミソフォニアなのでしょうか。僕の友人で、映画館で違う席の人が過剰笑いをしていると絶対に注意する男がいるのですが、昔は距離のある行動に見えたそれが、いまではすぐそこにあるものとして感じられます。

ja.wikipedia.org

 

 

最後に、僕はこれまで行ったことのある全てのライブを誰かに誘ってもらうことで経験してきました。愛する人へ、こんな僕をライブに誘ってくれてありがとう。世界のよくない面にばかり目を向けてひとり壁まで吹っ飛んでばかりいる僕に、世界の楽しい面を見せてくれてありがとう。「機会」という宝物を与えてくれてありがとう。世界中の皆様、なにかしたいけどなにしていいかわからないときは、身近な人に優しく接してください。マジでいいことが起きます。本来、そういうふうに世界は回っているのです。

 

PS.

マジ歌ライブのあとに深夜1時からラジオの生放送2時間こなすおぎはやぎに恐れおののいた。テレビに出て仕事しているような人、もしかして体の作りが違う?ニンニク注射かな。

 

 

 

ステッカーを貼るぜ

 

ホモソ三大栄養素である「童貞ネタ」。嫌な記憶ばかりです。いじりいじられがコミュニケーションの主だった学生時代、いじったりいじられたりで成り立つ関係性なんて、三十を超えたいま、何も残っていません。なのでネットでバズった「バキバキ童貞」というワードとか、それを発した人が芸人でYou Tubeが面白いとかいろいろ目にはしていても、今更なにも楽しめないよなあと思って距離をおいていたところがある。そんなバキ童ちゃんねる。つい先日、なんとなく観てみた。春とヒコーキというお笑いコンビ。青学の落研出身のぐんぴぃと土岡。これが驚くことに、2人の魅力で観はじめると止まらない。ふたりともトークがうまい。するするっと豊富な語彙で物事を語ってくれる。なんだかずっと話を聞いていたくなる。もちろん危惧していた要素が皆無というわけでも、完全に先入観を払拭できたわけでもないが、ちょっと気になる存在ではある。こんなふうに新しく芸人を好きになるってちょっとだるいことが多い。この人の感覚は信頼できる、みたいなものが結構重要になってくるが、朝の生番組では抜群のバランス感覚で場を回すあの人もラジオでは屈託なく「メンヘラ」って使うもんなあとか思ってしまう。まあ、文句もちゃんと言いながら楽しんでいきたい。話はちょっとズレて、僕には芸人になった友達がいるのですが、現状まあまあ苦手です。中学時代、そいつが松本人志の『遺書』を貸してくれましたが、「物言いとか色々乱暴でショックだった」という感想を隠し、感銘を受けたふりをして返しました。

 

 

ステッカー、みなさん貼ってますか?僕はノートパソコンに何枚か貼ってますが、自分のセンスが嫌なので、取り返しのつかないことが多いステッカーやシールがちょっと怖いです。奇をてらって斜めに貼ったりしますが、まっすぐ貼ったほうがかっこいいことも多いです。

 

愛用しているポメラをステッカーでデコりたい欲があります。百均でちいかわのぷっくりシールを買ったところ、ポメラの縦幅とぴったり。そのまんま貼ってしまおうかなと考えて、一旦保留です。もっと心のハードルが低くなるものがあれば……

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ということで、自宅でなんでもメモを書き込むB5ノートがあるのですが、手始めにその表紙をステッカーで埋め尽くそうかなと思っています。

 

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現状、ポケモンパンのシールとダイソーに売っていた『ブラック・ジャック』のステッカーを貼ってます。先述したように、斜めに貼ることを封じています。隠し味をメインに据えてはいけないのです。

 

ステッカーは買って貼ってを繰り返すしかないのかもしれません。なんにせよ楽しいです。

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