MidnightInvincibleChildren

書き下ろし短編一覧(2024年1月20日更新)

 

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新年あけましておめでとうございます。無職は親戚の集まりに向かいます。

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人生の換気を行います。

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あるいは、その衝動。

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誰かがやるのを待ってちゃ、人生終わっちゃう気がするんです。

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焼肉は陰謀のはじまり──。

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サヨナラ。守ってばかりの自分。

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そうです先生。全員殺します。

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おれは無職。環奈のヒモ。もうひとりの「おれ」が現れ、愛の祈りが次元を超える。

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卒業間近の放課後。僕は学ランを探して校内を彷徨う──。

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雨音と独白。その刹那。

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気が向けば、世界の複雑さについて考えてみてもいい気がします。

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むしゃくしゃする!かかってこいよ!

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叶わぬ恋にはもう慣れたよ。飽きてるし。

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愛だっつってんの。四の五の言うな。

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お祓いできる人とか知ってたら、教えてよ。

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放蕩を続ける無職の親友、その残像に蝕まれていく「おれ」──。

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亜矢子ちゃん大好き大好き大好き……!

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圧縮された暴力と親愛。

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過労と混沌、ささやかな連帯。

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一着のジャケットがもたらす、予感に満ちた日々ときらめき。

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埼玉県北部にて繰り広げられる殺人、徒労、そして反撃……。

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ある労働者の独白と衝動。

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悪に支配された我が家に、大胆不敵な帰宅を試みる「わたし」──。

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愛のしるし』、そして──。

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あなたにできることをしてください。

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文芸部はかくかたりき。

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おれの吐く息はもう雲の上にある。

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最終回はたぶんこない。

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たーがしーじゃか?と彼。

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書き下ろし短篇:『僕は全然嫌いじゃないぜ。』

 

 



 

 

 

 

 

 

「安藤、AV見る?」

 藪から棒とはまさにこのことだった。聞き間違えかと逡巡しつつ顔をあげた。久留米のまつげは、ものすごく長かった。

「なんだよその質問。見るけど」

「おれ一対一のプレイが好きなんだって話したっけ?」

 知らね~~~~~~~~~~~~~~~~。

「でも最後の方で急に3Pとか複数になるの、あれ嫌いなんだって話は?」

「いや」

「あれさ、数増やせば単純に興奮につながるかはまた別じゃん。アクション映画とかでラストに大勢と戦って終わる的なインフレは好きなんだけど、AVに関しては必ずしもそれに当たらない」

 急に条文。

 放課後の部室で鉢合わせた僕と久留米は、毎日本当にぬあああああああんにもしたくないよね、という話で一通り盛り上がったあと、もしかして本当はなにかに夢中になりたいんじゃないのか? と思い至る。でも夢中になれることなんて欲求に絡んだことくらいだよな、ということになり、とりあえずエロ系の話になったけど、やめた。下ネタで騒ぐのはダサいからだ。いや、下ネタがダサいというより、下ネタではしゃいで怒られたことがあって、それが立ち眩みを覚えるレベルで惨めな思いを喚起したので、下ネタではしゃいで怒られるのはダサい、が正しいのかもしれない。そもそも無神経なふるまいは別にかっこいいものじゃない。頓珍漢な憧憬ほど惨めなものはない。窓の外には木々の紅葉。すっかり秋です。

 僕は作業机の上でいらないプリント裏にメモを書いていた。いわゆるプロットというやつだ。プロットという言葉は最近覚えた。なのでプロットという響きにまだ質量が伴っていない感じがあり、いま書いているものが本当にプロットなのかと聞かれれば必ずしもそれに当たらない感覚もある。そもそも箇条書きでいいものなのか。急になにもかもがいやになることが増えてきた。そんなこんなで現時点での僕の最大の欲求は、学校を爆破することだ。こんなところ爆破したほうがいいと思っている。そんな感じで集まった有志たちが学校爆破クラブを発足し、学校を爆破しようとするちょうどその日に、脱走した囚人たちが学校に逃げ込んできて生徒たちを人質に取る──というあらすじをホワイトボードに書き殴ってプレゼンした。一通り話し終えたタイミングで、久留米が「映画にしてくれー」といったので照れて笑った。 さっそく書き始めて今月中……いや今日明日には完成させようかな、ふふふ。早く完成させたものを読みたいし、読ませたいし、褒められたい。でもいざ書き始めると細部や全体の流れ、キャラ立ちどうこうが気になってものすごく鈍行になるのも想像に難くない。いま久留米と話しただけの想定でも、前フリパートと対決パートで結構な文量を要する気配があった。結局書くのやめちゃったりして。マラソンでもすぐ歩くし。なんか想像するだけいやになってくる。だったら最初から書かなくてもいっしょじゃないか?

 おい待て。

 そんな悲しいこと、二度と思うなよ。

 みたいなことを、僕は毎日繰り返している。スマホでホワイトボードの写真を撮ってから各キャラに好きな俳優をあてがって考えてみるのもいいな、今度何人かで集まって話し合うのも楽しいだろうな、みたいなことを考えながらボードをぱふぱふできれいにし、ギシギシうるさいパイプ椅子に戻って背中を丸めた。久留米はこのあと軽音部の練習が入っているからと荷物をまとめている。僕の心はあまり穏やかではない。それは以下の理由からだ。

 文芸部とのかけもちにかんして、久留米はあくまで「偵察だから」とよくわからないエクスキューズを設けてくる。それが最近なんだか気になってしまう。僕に対して、音楽活動が好きだと素直にいいづらい空気を感じているのだろうか? 思い当たるフシはある。僕は僕のできないことができる人全員にコンプレックスを抱いている。それによってにじみ出るちょっとした態度が、久留米の心を一部縛っているのだとしたら? 可能性はある。久留米はそういうところ、結構敏感だ。タフなやつだが、ガサツという訳ではない。ごめんなさい久留米。他人がなにをどうしようと、自由なのだ。そう信じることで、僕がなにをしていようとどうでもいいと思ってもらえるような環境にもつながるのだと思っているのに。

「久留米」

「なに」

「今度のほら、後夜祭とかで、その、演奏ってするの?」

「もちろん。その予定」

「いいね。絶対行く……ってのは、なんていうの、プレッシャーになる?」

「なんで? こいよ全然」

「あ、ほんと? やった」

 節目のままの久留米が、ふと呟いた。「そもそもおれ、後夜祭で演奏したくて軽音に入ったから。モテたくて」

 僕が笑っていると

「やっぱモテたいは違うな。嫉妬されたいんだ」

 といわれて態度を改めた。

「このまえ安藤もいってたじゃん。嫉妬されたいって」

「え、たぶんおれいってないよ」

「いやいってたよ」

「うそ。いつ?」

「このまえ。ほら。四階の廊下から運動場眺めて。おれも嫉妬されてみたいよ~って」

「いまのおれの真似? 似てんじゃん。たしかにいった気もしてきた」

「ほかのやつは流してたけど、おれ実はけっこう食らってたんだ。ずっとモヤッてた気持ちに本当の名前がついたような気がしたんだよ。モテたいんじゃなくて、嫉妬されたい。嫉妬されるくらい認められたい」

「尊敬されたい、じゃだめなの?」

「ああ、でもどっちでもよくない? どの言い方がしっくりくるかの違いってだけで」

「まあ、うん、たしかに」手を何度も差し出すことで続きを促した。

「だからモテたいって、おれの気持ちをちょっとかすってるだけの全然真ん中にはない感情だったのかもな。あとモテたいって恋愛したいとは違うだろ? 根本が。受けたいだけだから。応えるかどうかに関してはなにもいってないというか見栄張りたいってことで。真摯じゃないっていうか」

 真摯、の部分で久留米がちょっとだけ照れたのがわかった。「なるほどね。おれそこまで考えて喋ってなかったけど」

「おれたちなんて所詮、元も子もないよね。モテたいとかそんな、別に恋愛したいわけじゃない気がしてて、じゃあなんだろうって思ってたときに、そこに安藤の言葉があって、もうほんとあれよ」

「あれ? どれ」

「あれよあれ。ちょっとまって」

エウレカ?」

「ちがう。五臓六腑だっけ。しみわたった。だっておれ別に誰のことも好きじゃないんだもん。そもそもモテたってしょうがないだろ」

 久留米があまりに饒舌なので気圧されていた。それを悟られまいと、ちょっと微笑んだりした。

「あの日の夜も部屋でベースの練習しながらそんなことばっかり考えてた。なんか楽しかったな。安藤に電話しようかとも思ったよ。しなかったけど」

「しろよ」

「それはそれでちょっとめんどいな。だからさ、ほら、別にモテたくない人もいるよな? モテるより優先すべきことがあるってわかって、なんていうの……こう……」

「……豊か?」

 久留米が指を鳴らした。「センキュー」

「センキューって」

「完全にそれってことだよ」

「でもなんだろう。久留米の目を通して初めて、本当におれにも見えたものがある気がする」

 僕と久留米はほぼ同時に短く息を吐き、この高揚を咀嚼するようにしばらく沈黙し、やがてどちらからともなくはにかむと、肩をすくめたり、目を合わせたかと思うとそらしたり、頭頂部をちょっとかいたり、背伸びをしたりした。いま部室に誰かが入ってきたら、なんかちょっと気まずく感じたりもするのかな? かもよ。変なの。くすくす……。

 久留米は改めてスマホを一瞥する。きっと時間を確認したのだろう。いよいよ練習の時刻なのかもしれない。ゆっくりとしかし確実に、ドアノブに手を伸ばした久留米は、ふと動きを止めた。そしてこちらに背中を向けたままいった。

「というわけでおれは後夜祭でぶちかますから、安藤も書けよ」

「え?」

「さっきの話。爆破の。お互いに吹っ飛ばすんだよ。そんで嫉妬させようぜ。椅子取りゲームに勝っただけで安心している連中をさ」

 全身が粟立った。なにその約束。マブ・ファッキン・ダチ坊じゃん。もうやるしかないじゃん。僕は自分の動きひとつひとつに集中し、いくばくかの不安や億劫さを感じたまま、ゆっくりと腕を持ち上げ、そのまま突き出し、なんとか絞り出した。サムズアップだった。直後、これではなかったなと思った。久留米は「動きゆっくりなのキモ」と笑った。僕が腕をサッと引いて戻すと、机に積まれたノートやプリントに肘が当たって床に落ちて広がった。

「わ。うおー」

「おいおい、だいじょうぶか」

「ごめんごめん」

 落ちたノートに手を伸ばす。ちょうど真ん中あたりのページが開いている。丸い字でメモのようなものが書いてあった。

 

 

 

 

 え。

 慌ててノートを閉じると、表紙に「後藤夏緒」と印刷されたテプラが貼られてあった。

 漫画研究会の鬼才。

 部室を共有で使っているので、たまに誰のかもわからない物が置いてあるが、勝手に覗いてしまったのはよくなかった。このメモは漫画の……構想?

「そういや後藤さんって部室きてた? おれくる前とか」

 僕が尋ねると、久留米がドアの前で振り返った。

「え、なっちゃん? さっき教室前では会ったけどな。たまご持ってた」

「ん?」

「煮たまご。最近つくるのにハマってるとかでなんかおすそわけしたいって」

「煮たまごを?」

 もう放課後だけどそれまでどこに保管していたのだろうとか考えてしまうが、ハマっているなにかを人に披露したい気持ちはとてもわかる。

「割とでかいタッパーにゴロゴロ入ってたよ。みんな困ってたけど。困るよな。煮たまごあげるっていわれても。軽くつまむにはハードルが高いよな」

「つら。なんか誰も悪くないのにみんながちょっとずつかわいそう」

「別にそんなこともないと思うぜ。最終的にはほら、みんなで卵食って屁こいておしまい」

 なにいまの? と素早く顔を上げる。久留米は逃げるようにドアの向こうに消え、部室内が静寂でひたひたとしていた。

 身体が重力の存在を急に思い出したかのようだった。さっきまでの反動かもしれない。僕はしばらく後藤さんのノートを握ったまま、ただパイプ椅子に沈み込むようにしてぼーっとしていた。

 

 でも愛は万能じゃなくない?

 

 脳裏をよぎるのは本日最後の授業のことだった。

 開いた窓からやや強めの風が吹き込んできた。窓際に座っていた面々のプリントが同時に宙を舞い、何人かが声を上げ、ちょっと遅れて笑い声が起こった。

 その光景をじっとみていた。

 せっかくなので、僕のプリントも宙を舞えばよかった。

 この教室にあるほかのプリントふくめたなにもかも全部。

 だが僕の手は、自分のプリントにしっかりと載せられていた。

 誰もが発破を待ちわびている。

 そう思い、後藤さんのノートを眼の前のプリントの山にそっと忍ばせた。そこでカウントダウンが始まる。後夜祭、見に行かないわけにはいかない。そのときにどういう感情を抱くかは、いまこの瞬間からスタートする僕自身の行動にかかっている。思考に、時間に。僕もこの部屋を出よう。世界に四隅を作っている場合じゃないのだ。部室のドアを抜けると、かすかな高揚がこみ上げて、歩く足に力が入った。首筋に感じる風が強くなった。連絡通路に出て、薄暮に燻された空気を全身に浴びた。ぐっと濃いのに、冷たかった。どこからか無数の小さなシャボン玉が飛んできて、頭上を横切っていく。シャボン玉はそのまま風に乗って、いくつかは校舎の壁に吸い込まれて消えた。そしてまた別のいくつかは中庭を抜けて、開かれた窓枠に流れ込んでいく。トイレに向かうべく早歩きしていた現文・渡部教諭にも気づかれることなく、その小さなシャボン玉は廊下を横切って、教職員用の給湯室にたどり着いた。そこには後藤夏緒が立っていた。棚に置かれた電子レンジに向かって腕を組む彼女は、予想に反して煮たまごが余った理由──それが常温だからだと考えていた。さめても美味しいように煮たのに? この世界は理不尽とすれ違いに溢れている。半透明な扉の向こうで回る飴色の煮たまごたちを眺めながら、彼女は深く息を吐いた。固く結んだままの口は決して緩めなかった。たとえそれがため息でも、鼻から吐けばただの呼吸だというルールが彼女にはあった。そんな彼女の鼻息に触れて、シャボン玉は軌道を変えた。半透明の扉に薄く記載された「950w」という文字にそっと触れ、ちいさな光る膜となった。その瞬間だった。電子レンジの内側で複数の煮たまごが音を立てて裂け、飛び散った小さなかけらが扉の内側にぶつかって落ちた。後藤夏緒は短く声をあげ、その口を両手で覆った。

 で、呪詛を吐いた。

 それはいまだかつて存在しなかった言葉。

 

 

 

 

 

 

 

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粗熱を冷ます時間

 

 Amazonプライム・ビデオで『市子』を観た。正直コンディションがよくなくて、序盤にある子役のパートがぜんぶなくてもギリ成り立つんじゃないかとか、そういう態度をとってしまった。鑑賞したのがちょっと意地になって小説を書いていた日で、なにを切るとかなにが足りないとかもんもんと考える癖がとうとう切り離せなかったのだ。また今度観ようと思います。ただ、杉咲花がこんなにうまい人だとは思わなかった。この悲劇を生んだ背景にある、膝から崩れ落ちるほどくだらない諸々への怒りは湧く。

 

乗代雄介の『皆のあらばしり』読んだ。部活で地元の歴史を研究している高校生が、謎の関西弁男に声をかけられ、謎の書物『皆のあらばしり』について調査を進めていくという話を、調査活動そのものではなく不定期に行われる進捗報告の描写に限定して描いていく小説だ。楽しかった。そこはかとないユーモアと温かさがある。『それは誠』もそうだけど、小学生の頃にみたNHKの子供向けドラマのような優しい感触。『ズッコケ三人組』とか。

 

Netflixで『わたし達はおとな』を観た。『ほつれる』の加藤拓也監督作。大学生の主人公が妊娠したところから始まる、時系列シャッフル型の青春物語。未来が明るかった頃との対比で見せる修羅場シーンは『ブルー・バレンタイン』を彷彿させる。大学生だからより邪悪に映る部分もあるのかもしれないけれど、欲望を持った者同士が集まればこういうことは何歳だろうと起こりかねない、そんな普遍性を感じながら観た。藤原季節演じる演劇サークルの男がきめ細やかにモラハラ男として演出されていて、冒頭、主人公が体調不良でぐったりしている姿を見て体調を心配する素振りは見せつつ朝ご飯をつくらせるという、あのグロさ。性行為の際に避妊具を使用しないのはモラハラビンゴカードの中央のマスみたいなもので、一番ビビッときたのが旅行で行くホテルの受付の人への態度だ。相手がまだ喋っている最中で必ず立ち去る。チェックイン、チェックアウト両方でそうしている。その姿は奇しくもアカデミー賞ロバート・ダウニー・Jrそっくりだ。加藤拓也監督のモラハラ演出に今後も注目していきたい。

 

Netflixで『我、邪で邪を制す』観た。台湾映画。ワクワクするタイトルですね。余命いくばくかの逃亡犯が、自分よりも凶悪とされる指名手配犯2人をぶっ殺してみんなの記憶に残りたいと頑張る話。露悪一辺倒になりすぎず、ちゃんと主人公にも愛嬌があるのでぐいぐい観てしまう。中盤からテンションが変化し、新興宗教の施設を舞台に物語が進みだすが、人の心につけ込む洗脳の手口がいやに丹念に描かれる。かと思うとなかなかにショッキングでバイオレンスな展開をカラッと描くし、ラストの寂寥感もあとを引く。面白かったです。

 

オカワダアキナさんのZINE『PROTEST MONOLOGUE プロテスト・モノローグ』を読んだ。僕もZINEをつくったことがありますが、創作物を並べて終わりって感じのものしか出していない。この『PROTEST MONOLOGUE プロテスト・モノローグ』はイスラエルパレスチナで虐殺を行っている現在を生きるオカワダさんの言葉が書かれている。SNSで声を上げることへの温度差であったり、はばかられる気持ちだったり、それでも「表明」の持つパワーだったりを、実際の活動の記録とともに綴っていてグイグイ読んだ。まだ読んでない人にもぜひ読んでほしい。吉住さんにも読んでほしい。今月いっぱいはコンビニでプリントできます。

 

 

思ったことを伝えることで、初めて動き出すものもある。眼の前の虚空にだって干渉し続けよう。蝶の羽ばたきが暴虐を止めるかもしれない。

 

一年ぶりにYOUTUBEに動画を上げた。まだ『バイオRE:4』をやっている。来年もやっていると思う。

youtu.be

 

また!

 

 

 

 

泣いてもええよ

 


夕木春央の『方舟』を読んだ。山奥の地下建築(廃墟)を舞台に、探検で入った社会人7人と、道に迷って偶然合流した親子3人は、そこで一夜を過ごすことになる。翌朝、地震によって建築に閉じ込められてしまった面々は、メンバーの一人が無惨にも殺されているのを発見。浸水も始まり、自分たちに残された時間が残り僅かであることを悟る。ここから出るためには、その地下建築に一人だけ残ってある操作を行わなければならない。そしてその生贄は殺人を犯した罪人であるべきだ、と犯人探しが始まる……という話。やられました。ミステリを予想しながら読むタイプではないけど、邪悪な展開で良かった。

 

Netflixで『ある男』観た。良かった。妻夫木演じる弁護士・城戸の妻役で真木よう子が出てきてタイムリーだと思った。真木よう子演じる妻の両親が、とにかく最悪だった。でんでんパートで泣いた。

 

ぼんやりと体調が悪い。天気が崩れると奥歯が痛むようになってきた。花粉で目もかゆい。右肩はずっと痛い。最近は痛みを無視して無理に動かし(痛いんかい……)と思っている。

 

アディダスのサンバを愛用しているんですが、シワ部分の汚れがなかなか落ちなくて困っていました。綿棒にリムーバーつけて、シワのある箇所を内側から押して平たくしてから擦ると落とせます。

 

後悔することは多いが、うまくいっていないことばかりなので後悔にもいまいち深みがでない。とにかくなげやりだ。人の欲望にも批判的だ。ほんとうに、ほんとうに、なんでですのん。

 

最近、面白い話のオチはぜんぶ叫んだほうがいいと思っている。

 

以下、Twitter(現X)の下書きに溜まった文章を大放出します。

 

暖房の効いていない真っ暗な部屋にずっといると、本当に気分が悪くなります!!!!!

 

土日祝休みで手取り25万以上で僕がいますぐ始められる仕事を教えてください。さもなくば、ちゃんと選挙に行ってください。どっちにしろ行けよ

 

お風呂短く済ませよ乙女

 

労働はしていないときもしている。労働を知っている状態は労働にほかならない

 

なにかを思ったり発したりした直後に「こんなことしている場合かよ」という問いが必ずよぎる。そうやって生きていきく

 

あまりにも馬鹿すぎてブロックしなかった、という経験あり!!!!!!

 

人並みの欲を全部捨てろと……?(3行空けて)35分前に実行したよ。

 

芸人のロレックス芸、芸人以外笑っていません

 

腹が立ったらマナー講師の悪口を言いなさい。角が立たないから……

 

ジムキャリーしかフォローしていないインスタのアカウント

 

自分だけ蔑ろにしていたつもりが、人の目標までたくさん邪魔していました

 

有名コスプレイヤーアカウントが屈託なく上げている、たまたま同じ場所にいたコスプレイヤーじゃない普通の人の高画質写真、好き~♫

 

 

 

 

 

 

タイトルを考える時間でお皿を洗いました

 

『テレビ千鳥』でノブの言っていた「猫20匹ババア」というツッコミで緊張が走った。


砂川文次の『ブラックボックス』読んだ。バイクメッセンジャーを生業とする主人公を軸に、コロナ禍、非正規労働、税金、アカルイミライなどを克明に描いた芥川賞受賞作。たしかに最近の芥川賞受賞作っぽいな、と思った。主人公がなにごとも継続できず、衝動的に職を転々としたり、人と喧嘩したりするので、耳の痛い感覚が終始あった。物語の中盤移行、主人公は自由競争社会から外れて制度によるルーティンライフに向かうわけだけど、そこで初めて自分の過去だとか、気持ちだとかに少しずつ向き合い始めていく。終盤に漂うどこか諦念のような、それでいて鳥羽口に立つ高揚のようでもある空気が上品だと感じた。

 

Amazonプライムビデオで『アメリカン・フィクション』観た。ハーバード卒で大学教授もやっているアフリカ系アメリカ人の作家が、”黒人らしい? 暴力と貧困を描いた過激な小説を匿名で出版したら大ヒットしてしまう、という話。エッジのきいた皮肉の雰囲気は『アトランタ』を彷彿とさせるも、こちらでは家族との物語にも焦点を当てており、そこで結構ぐっときた。

 

4つの短編を同時進行で書いている。調子がいいように思えても距離が全然測れておらず、結局はいずれ消す文章をもりもり書いている状態。頭の中で物語への認知が固まってしまうとだんだん憂鬱にもなってくるので、できるだけ生活の中では幅広くいろんなことに触れようと頑張る。一番は人と話すことが効果的な気がする。自分の中のテンポを崩してくれる。あまり興味をもたなかったことに触れてみるのもいいかもしれない。こんな感じで、頭の中を換気するための方法をもっと固めていきたい。できれば人の時間を奪わない方法がいい。

 

最近になってポッドキャスト『虚史平成』を初めて聴いた。芸人・街裏ぴんくが平成のいろいろな出来事を土台にずっと嘘の話をするという漫談ポッドキャストなのだが、これがめちゃくちゃ面白い。嘘のつき方、バカバカしいのにどこか不穏な感じ、いつもこればかりで本当に申し訳ないのだけど、ドラマ『アトランタ』の、とりわけフェイクドキュメンタリー回みたいで凄みすらある。本当にずっとひとりで「なにそれ」って嘘をついているだけなのだが、いま一番欲しい刺激を受けているという感覚もあって、かなり興奮してます。「愛・地球博で謎のバイトをやった」話とか「ドラえもん声優交代の裏側で起こっていたこと」、「若貴の喧嘩の理由」、「幽遊白書ゴーストライター」とか最高です。シンプルに声がいい。

 

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ラランドのYouTubeで『ハラスメント全クリ男』を観た。テレビマンの男が打ち合わせの場で次から次へとあらゆる種類のハラスメントをぶちこんでくるというコントだ。これと似たもので『遺伝子レベルでつまらない飲み会』があるが、どこかで観たことあるような業界の有害な生き物を定期的にコントで扱っている。普段だらしなかったりクズな面を担っているニシダのほうがひたすら受け身になって引く、という構図がいいですね。

 

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Amazonプライムビデオで『MEN 同じ顔の男たち』を観た。DV夫とのある出来事が原因で心身ともに疲弊した女性が、田舎街のお屋敷を借りて羽根を伸ばそうとする話。街で出会う男がみんな同じ顔というおぞましさからはじまる、有害な男性性図鑑。上記のラランドのコントさながら、主人公へのアウトな接し方をじわじわ描いていく。そんな居心地最悪な状況が、ラストでは強烈なグロ描写で爆発します。面白かった。

 

コピー本交換会に僕のZINEを持っていってくださったオカワダアキナさんから、交換したZINEの数々を送っていただいたので少しずつ読んでいる。まず初めにオカワダアキナさんの書いた『せせり』という短編を読んだ。前情報無しだったので、徐々に明かされる情報から作中がどういう世界なのか、解像度が徐々に高くなる感覚が楽しかった。文章のリズム──そっけないようでいて、屈託のなさを含んだ感じもかなり好き。ほかのZINEもどんどん読んでいきたい。

 

終わりです。

 

 

 

新田のアンチ

 

古い建物なので、風の強い日は換気扇の奥でなにかがバタンバタン鳴る。部屋そのものが癇癪を起こしているみたいで、気になってしまう日はけっこうつらい。換気扇のダクトみたいな部分を棒で叩くとちょっとスッキリする。音は別に止みません。

 

Amazonプライムビデオで『恋は光』を観た。西野七瀬がこんなに良いと思ったのは初めてだ。小林監督の明るい画面からは涼やかな空気のにおいが漂ってくる。まさかのタイミングで登場する伊東蒼も良かった。そしてエンディング曲が超爽やか。もしかしてと思って調べたらやっぱりズーイー・デシャネルのロックデュオ、She&Himの曲だった。ズーイー・デシャネルはこういう物語にぴったりだ。僕もズーイー・デシャネルの曲が流れるような物語を大量に書きたい。

 

三津田信三『怪談のテープ起こし』読んだ。フェイクドキュメンタリー怪談の名手でもある著者の、丁寧な仕事ぶりを堪能しました。

 

自分で頭の両サイドをバリカンで刈ったら、アタッチメントをつけ忘れていてかなりツルンとなった。デカい声が出た。

 

なにかに触れたいが気力がないとき、それでも飲み込めるものがある。『あたしンち』のアニメがそうだ。YouTubeの公式チャンネルが大量に動画をあげてくれている。

www.youtube.com

 

個人的にユズPファンクラブの回が好き。ユズヒコのクラスメート・石田を観ていると『こちらあみ子』を思い出してしまう。

 

自分の中に「嘘の似顔絵」という概念がある。Xでビジネスをやっている系の人がアイコンにしがちな、つるんとしたまあまあ太めの線で描かれ、頬が紅潮している、金を払って発注していそうな絵のことを指しています。

 

小説は絶対に毎日書くようにしている。書こうとするようにしている。調子の良い悪いはあるけれど、良いも悪いもどうでもよくなってくるくらい、当たり前の行為にしていきたい。

 

それではまた。

 

あたしンちの新田

 

 

「100%元気」という日は二度とこないのでしょうか

 


Netflixで『殺人者のパラドックス』観た。全8話。

結構舐めてたところがあったが、2~3話あたりで興奮した。バイト帰り、突然暴力をふるわれたことから反射的に男を殺してしまった大学生のイ・タン(演じるは『パラサイト』のチェ・ウシク)。家に帰って鬱々と怯えていると、自分が殺した男が数年前に起こった凶悪な殺人事件の容疑者だったことがニュースで判明。事件当日も別件の殺人を犯したあとだったということまでわかり、あらゆる偶然が味方したこともあり、犯行がバレずに済む。その後も主人公は罪悪感に苛まれながらあらゆるトラブルに巻き込まれていくのだが、なんの思し召しか、主人公の前に現れるのは凶悪な犯罪者たちであり、またあらゆる偶然で主人公側の痕跡ばかり消えていく。そんな奇妙な物語を、「殺す側」と「追う側」、さらに「殺すし追う側」まで加わって描いていくのが今作。『犯罪都市』2作目で凶悪な男を演じたソン・ソックが、ツーブロック&オールバック&髭面の刑事を演じており、尋常じゃない色気と暴力の気配をまとっている。かなり好き。演者がみんないいのでかなりの推進力となって全8話はあっという間だった。おすすめです。

 

peacedoorball.blog

 

peacedoorball.blog

 

とは思いつつ、いくつか気になる点も。話そのものというより、映像的な表現についてだ。本作では登場人物の過去を描く際に、若い俳優の顔をディープフェイクで加工している(上記記事)。あまりにも演者へのリスペクトに欠けるし、これはハリウッドでストライキが起こった原因のひとつでもある「AIによるスキル収奪」と同じ根っこな気もする。そういうとこはかなり萎える。ついでにいうと、劇中である刑事が高いところから落下して地面に叩きつけられるまでをフィックスで見せる場面の人の動き、結構変でした。そういうポスプロ面でのノイズが気になります。監督は感想をわりと読むみたいなことをインタビューで語っていたので、たぶん伝わってはいるとは思う。

 

澤村伊智の『ひとんち』読んだ。面白かったけど、長編が好き!掌編集もはやく読みたい。

 

村上龍の『ユーチューバー』読んだ。空虚なセルフパロディ?手遊びでちょちょいと書いたような感触はマジなのか狙ってのことなのか。なんにせよ、人に話すのもなあってレベルの「自分の話」を繰り返し何度もちゃんとした媒体で書き続けられるのは胆力以外の何物でもない、それだけは改めてすごいなと思いました。

 

Netflixドキュメンタリー映画『本当の僕を教えて』を観た。18歳のころに起こしたバイク事故の後遺症で記憶を失ったアレックス。そんな彼が唯一覚えていたのは双子の兄弟マーカスのことのみ。家族の支えのもと、アレックスはを人生を再スタートさせる。月日が経ち、老いた両親も次々と亡くなった。その遺品を整理していたアレックスだったが、そこで一枚の写真を見つける。それはビーチで並ぶ幼い頃の自分とマーカスの姿。ふたりとも一糸まとわぬ状態で、写真の首から上は切り取られているという、とても奇妙なものだった。
本作は視聴に際してかなり注意が必要なドキュメンタリーだ。なぜマーカスは、記憶をなくしたアレックスに嘘の人生を教え続けたのか。それはアレックスを守るためでもあれば、マーカス自身が抱く切実な願いのようにも思えてくる。「実際に起こってしまったこと」があまりにも残酷で、やり場のない怒りがこみ上げてくるが、それでも彼らは語ることを選んでいる。そこにあるのは強烈な怒りにほかならない。

 

Netflixで『こちらあみ子』を観た。原作は今村夏子の同名小説。原作がとにかく凄い強度の作品だと思っているので、映画化にもちろん不安はあった。でも公開時の評判は高かったように感じる。実際、僕は大好き。あみ子に応答したい。

 

このまえ杉田水脈について話していたら、前半ずっと「今田美桜」といってしまっていて、今田美桜に申し訳なくなって、泣きそうになって、ああ僕は今田美桜のことが好きなのかもなあと思った。

 

 

 

危機介入アプローチをあなたに

 


爆笑問題の太田さんが漫才の冒頭でいつも「助けてくれー!」と叫んでいるが、僕も毎日そう思っている。


白井智之の『エレファントヘッド』を読んだ。モラル的に最低なトリックが作者らしい。複雑なルールを独自に設定して、その中で読者を裏切るって相当な労力だと思う。すごい。


アトランタ』全話観た。最高のドラマ。だらりとした日々にさす猛毒と超現実。もっと観たい。伝説のグーフィー回は思い出すたび笑いながら泣きそうになる。

 

今村夏子の『とんこつQ&A』を読んだ。淡々と語られる強烈な歪み。シンプルな文章でぎょっとさせるのがうますぎ。表題作もやばいけど、たまに見かける少年が虐待を受けているんじゃないかと心配して静かに暴走していく様を描いた『良夫婦』が白眉。嫌な予感が結実していく黒いカタルシスも確かにあるものの、それだけでは終わらせない、ひとつ突き抜けた感じがあってかっこよかった。

 

Netflixで『殺人者のパラドックス』が配信されたので2話まで観た。1話で「なるほどね~」くらいのテンションだったが2話を観て「そういう話か!」と興奮した。若干違うかもしれませんが、『悪魔を見た』の激ヤバタクシーのシーンを膨らませたみたいな感じです。にしてもこのドラマ、刑事役のソン・ソックがかっこよすぎる。眉毛薄くしようかな。


2/17(土)、つまずく本屋ホォルさんにてコピー本交換会というイベントが実施されます。そこで僕のZ
INE『Midnight Invincible Children』のVol.4も参加させていただけることになりました。オカワダアキナさん、お声かけいただき、心より感謝申し上げます。みなさん、ぜひ遊びにいってください。素敵なコピー本が揃っています。

 

そういえば、という体で話させてください。現状決まっているものだけで、今年は2つの作品をそれぞれ違う場で発表することができそうです。時期が来たらまた報告させていただきます。

 

精神的に疲れている現状でも、観ていて疲れない芸人はトンツカタン森本。


助けてくれー!!!!!!!!

 

 

 

 

 

倒されなかった悪党ども

今朝のラヴィット!で曜日メンバーが「泣けるもの」を紹介していた。MV率が高かった。人から「泣けるMV」を勧められてそれを観ている時間……想像するだけで胸がキュッとなる。大学生の頃、友達の家で飲んでいたら深夜にRADWIMPSの歌詞を読まされたことがある。「これおれ泣いたほうがいいの?」とずっと思っていた。

 

ホリー・ジャクソンの『自由研究には向かない殺人』読んだ。イギリスのジュブナイルミステリー。文庫版500ページ超えで狼狽えたが、面白かった。ドラマ化で主人公ピップを『ウェンズデー』のエマ・マイヤーズが演じるらしい。いいね。続編も560ページくらいあるらしい。『ハリー・ポッターと賢者の石』のハグリッドが空中からバイクで現れる場面までしか読めなかった小学生の頃の自分が顔をのぞかせる。

 

いまは白井智之の『エレファント・ヘッド』読んでいます。また変な話を……。

 

今週火曜のアルコ&ピースDCガレージを聴いていたら、平子さんの「街の嫌な人」遭遇エピソードの詰め合わせトークがあった。今回も凄まじかった。毎週欠かさず聴いているわけではないけれど、平子さんは街で嫌な人によく絡まれる。本当に後味の悪い話ばかりする。これまで僕が聴いてきた範囲のワースト3は以下の通り。

 

3.カフェで先に座っていた平子さんを見て「いつもの席占領されてますわ」と電話で話すネズミ講大学四年生(その後近くの席でネズミ講の勧誘開始)2024/2/6放送回

 

2.平子さんの契約している駐車場に勝手に車を停めてたくせに悪びれないどころか狭い道路を抜けるために平子さんにバックで下がらせた若い夫婦(あきれて動こうとしなかった平子さんのところまできて「下がるのこわい?」と尋ねる超バカ)2020/7/28放送回

 

1.いまみんなで飲んでるからと夜遅くに平子さんに電話をかけてきた挙げ句、コールしたり、知らない人と会話させたりする、推して知るべしな平子さんをかつて虐めていたクソ同級生 2017/2/7放送回

 

悪口いってくる近所のおばちゃんはかろうじて平子さんが抵抗を試みているので選出外としました。

 

ドラマ版『Mr.&Mrs.スミス』観ている。ドナルド・グローヴァーとヒロ・ムライコンビといえば『アトランタ』もあるので期待しつつ。現状4話まで観ました。まあまあ面白い。オリジナルとは完全な別物なオフビートなテンションが心地良い。いまのところ第1話がベスト。ゲスト俳優でいうと『ナルコス』のパブロ・エスコバルが出てきたときは興奮した。ちなみにオリジナルの映画版は中学生のころ観たが、画面をこえて演者たちの性的興奮が伝わってきた気がして気持ち悪かった。

 

気持ち悪いことって、あるよな。

 

「なにもしたくない」場合の対策をいくつか用意しても、「なにもしたくない」を全うしたいという感情にぜんぶはねのけられることがある。なにかをし続けることに評価軸を奪われすぎた。

 

健康であろう。

 

あばよ。

 

 

 

 

 

容赦なく2024


家にいるときはずっと加湿器つけるようになった。

 

DCガレージは途中から聴くと前後を理解したくないくらい高確率で変。


あるポッドキャストを聴いていたら『からかい上手の高木さん』は「にな川」視点の『蹴りたい背中』かもしれない、とふと思った。『蹴りたい背中』を最後に読んだのは大学生のころだけど、長門有希の愛読書であるという点込みで大好きな小説です。いま読むとまたかなり違った印象を感じるだろう。

 

1000円カットのあとは頭を触るたび無限に細かい毛が落ちてくる。僕の根気次第では髪の毛が全部なくなるんじゃないかとすら思う。

 

アトランタ』S3が良すぎる。全話いい。主人公たちが出てこなくてもこのいびつな世界は回り続けているのだと痛感させられる寓話回をバンバン差し込んでくるところがフォーマットとしてそもそも素晴らしいし、かと思うとちょっとしたアイテムや描写から主人公たちすらその寓話に回収されていくので超不穏。だからなんでもない日常描写すらスリリング。いまはS4に突入。終わってしまう……。

 

ノートやメモ帳にステッカー貼った。

なんでもノート表紙。おぱんちゅうさぎが仲間入りです。

 

表紙をめくると…

 

なんでもノート裏表紙。

 

裏表紙裏。おぱんちゅうさぎの涙のわけを考えてみませんか。

 

小説用メモ帳。メモ帳を分けまくっており、結果メモの意味がない。
意味なんて要らない。メモって安心して忘れたいだけ。

 

まあまあ大事な試験に臨んで解答速報で自己採点したら不合格だった。総合点は合格圏内だったのに、ある項目で0点を出してしまったのだ(その時点で一発アウトになる。ヒエ~)。もともと苦手分野でもあったので力を入れて取り組んではいたが、広く触れただけでなにも深めてはいなかったんだという気づきを得た。ぜんぶ微妙に間違えるという嫌な誤答ばかりだった。自己採点した夜はあまりにも悔しくて、長岡市の県議選に出馬した人さながら叫びながら椅子から滑り落ちた。でも不思議なもので、悔しいことがちょっと嬉しかった。悔しくならないように頑張らない、みたいな生き方をしてきたので、悔しさは限りなく不快ではあるが、ものすごく健全な手触りがした。来年もまた受けて満点とります(こういうことをいうと周囲が安心した顔を見せてくれます)。

 

なんらかに受かるという経験に乏しい。なにかに受かることはもはやマチズモだ。解体せよ。

 

Twitter控えて勉強したり本読んだりするようになったら、その流れか「ダレても続ける」ことがまたちょっとずつできるようになってきた。Twitter(X!!!)の良し悪しとは別に(確実に良くない場所になっているとは思うけど)チープなドーパミンに依存しやすいという自覚も併せて持つべきだと思った。

 

小説を書くときはできる壁を向いて書くと捗る。視覚的な刺激の排除。

 

これほしい↓

 

またな。

 

 

 

 

その歌がうまれたときはひとりでも/『短歌ばっかり詠んでないで勉強しなさい』

 

マツさんの歌集『短歌ばっかり詠んでないで勉強しなさい』を読んだ。

 

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「この歌好き いいね」という表紙漫画のセリフが歌集のすみずみまで広がっている。

 

以下、好きだった短歌をいくつか抜粋。

 

 

半額のシールを待っている人の動きにならないように動く

これは僕です。実際は普通に「待っている人の動き」をしていると思いますが、この歌を読んでギクッとした。

 

その漢字ひらくんですか小説に恋するときの胸の高鳴り

これも僕です。流されていくささやかな感情をすくいとるのが短歌の好きなところです。

 

昼休み図書室からの窓ごしに世界をぜんぶ所有していた

情景と耳鳴りのような静けさと記憶の中のにおいが同時に広がります。学校の中でも図書室だけは個になれる、世界と繋がれる気がする、そんな場所でした。

 

中指を夜空にかざす伸びかけの爪と新月かさねるように

これは実演してみて息を呑んだ歌です。その瞬間の孤独は美しい。

 

睡眠をたっぷりとってお野菜をもりもり食べて飛び降りました

叩きつけるように詠みたい短歌ですね。

 

好きだって言えないけれど好きだって気付いてほしいときのバイバイ

 

ねえ聞いてやっぱりなにも聞かないでどっちだよって少しあきれて

かわいい。

 

知恵の輪がなぜ解けたのかわからないのと似ているね仲直りって

簡単だと思うとこんがらがるし、難しいと思っていると拍子抜けする。いまこの瞬間が嬉しいのは事実だから油断したまま安心して、結局同じことを何度も繰り返してしまう。というのを知恵の輪。知恵の輪ってところが。

 

悪霊に見えないだってお世辞でも嬉しかったなあのお坊さん

視点でハッとする歌。KIRINJIの『Fugitive』を思い出しました。胸がギュッとなります。

 

 

ざっくり挙げてきましたがあくまで一部、この他にもたくさんの素敵な短歌が収められています。改めてタイトルもよく、表紙の子が家族にいわれた情景を想像し、そこからの裏表紙がまたグッとくるのです。

 

その歌が生まれたときはひとりでも、たとえいまだにただひとりでも。

 

 

 

 

 

 

 

書き下ろし短篇:『恋の福祉計画』

 

「福祉計画について教えて」

 

 講義終わりに荷物をまとめていると、目の前に座っていた広瀬すずが振り返っていった。一限で眠いからか薄目なのに、その分厚いまつげの下からは有無を言わせぬパワーが漏れ出ている。

「いいけど、僕もあまり詳しくないよ」

「まず策定義務があるのは?」

「義務ね。高齢者関係からいくと、都道府県老人福祉計画】と【市町村老人福祉計画】。策定期間に縛りはなし。これと一体として策定するのが都道府県介護保険事業支援計画】と【市町村介護保険事業計画】。こっちは3年を1期とし、管轄は厚生労働省

「続けて」

「障害者関係だと、都道府県障害者計画】と【市町村障害者計画】があって期限はなし。これは内閣府管轄。別で都道府県障害福祉計画】と【市町村障害福祉計画】都道府県障害児福祉計画】と【市町村障害児福祉計画】があって、これらは3年を1期として策定、管轄は厚生労働省

「管轄でいうと、広義なやつは内閣府、専門性のあるやつは厚労省?」

「そんな感じ」

「どんどんいこう」

「次に児童関係、都道府県子ども・子育て支援事業計画】と【市町村子ども・子育て支援事業計画】、これは5年を1期とし、市は都道府県に、都道府県は内閣総理大臣に提出しないとならない。つまり管轄は内閣府少子化の問題は国全体の課題とされているからだね」

「なるほど~」

「策定義務があるのは大まかには以上かな。おまけで【自殺対策計画】とか。都道府県・市町村に策定義務あり」

「自殺のも義務なんじゃん」

「命の話だから。あとやたら多いから」

「えーじゃああれは。行動計画ってのもなかったっけ」

「ある。任意ね」

「任意か」

「児童分野のもので、正式名称は【次世代育成支援のための行動計画】といって、都道府県行動計画】と【市町村行動計画】がある。国が5年ごとに指針を策定するんだけど、都道府県・市町村の策定は任意。5年を1期」

「児童関係だからここも5年か」

「ただし大きなポイントがあって、従業員数101人を越える事業主には策定義務がある。数ある福祉計画の中でも、行政が任意なのにある条件下にある一般事業主に策定義務があるのは行動計画くらいだね」

「じゃあ一部義務ね。レアってことね。そういえばさあ、なんで児童系のやつは5年周期なの」

「わかんない。キリがいいから……?」

「んだよそれ」

「あ、あと都道府県だけ義務”ってやつが残ってる。【医療計画】。医療提供の量……まあ病床数とかそういうの管理したり、医療の質の評価についてだったり。6年ごとに策定して厚生労働大臣に提出します。おまけで【健康増進計画】生活習慣病改善しましょうみたいなやつ。都道府県だけ策定義務があって期限なし」

【医療費適正化計画】都道府県と国に策定義務だよね。たしか6年1期」

「その通り。このまま医療系いきます。都道府県計画】と【市町村計画】。これは名称がシンプルだよね。シンプルな名称でなんの計画だよってなったら医療関係の計画だと思うといいかも。ちなみにどっちも任意」

「任意ゾーンはいった?」

「入った」

「ちなみに医療系のやつ、なんで6年?」

「これは介護保険事業支援計画の3年周期と重ねる、要は足並みをそろえるためにもともと5年だったところを6年に変えたんだよ。医療と介護は密接でしょう?」

「こっちは知ってんのかよ」

「義務じゃないのもいる?」

「あ、ごめんもう行かなきゃ。サンキュー」

 そういって広瀬すずは弾むように立ち去っていった。僕はその背中をじっとみつめ、思わず口走る。

 

介護保険事業計画】と【老人福祉計画】は一体のものとして作成!」

 

障害福祉計画】と【障害児福祉計画】は一体のものとして策定できる! できるってだけ!」

 

【市町村介護保険事業計画】(介護保険)と【市町村計画】(医療系)は整合性の確保が保たれたものでなくてはならない!」

 

都道府県介護保険事業支援計画】と【都道府県計画】と【医療計画】は整合性の確保が保たれたものでなければならない!」

 

 

【恋の福祉計画】

根拠法:恋

策定者:僕

策定義務:任意

期間:なし

ただし、【理想押し付け防止計画】と一体として策定しなければならず、また【自尊心向上計画】【日常生活維持計画】と調和の保たれたものでなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分、帰宅部っす。根性には自信があります。

 


去年書いた2万字くらいの短篇をブラッシュアップしている。正直そんなに捗っていない。そういうものほど頭を占めがちで、興奮と焦燥が交互に押し寄せている状態が続く。


それでも「ふとした拍子」としかいいようがないタイミングで、案が湧いてくる。まだ力むことへの懸念があって、力を抜いたからこそたどり着いたんだろうな、みたいな話をたくさん書いていきたい。かっこつけたい。そういう欲は持っていたい。


更生保護のことを勉強したくて『すばらしき世界』を観た。刑務所から出所するまでの事務的な流れを描く冒頭から、のめりこんで観た。役所広司、声張るとなにいってるかわからないときがあるが、うますぎる。主人公であるヤメ暴ブチギレ男に、決して冷たすぎない(十分とはいわないが)世界の描き方の塩梅がよかった。はじめて仲野太賀が良すぎるとも思った。居場所を求める男の目から見たこの世界。あのラストは、いまの僕としては鼻白むものではあったけれども。

 

『東京都同情塔』で芥川賞をとった九段理江の前作『School girl』を読んだ。表題作は、どこかミニマムなようでいて底しれない感触が残る。良かったけどよくわかっているわけではない自覚はある。併録されたデビュー作『悪い音楽』は最高だった。生徒を猿だと思っている中学校の音楽教師ソナタの話です。韻も踏みます。笑えます。


ネット上のライフハックをすぐ信じるのでペペローションを使ってヒゲを剃ってみた。ヒゲが濃くて範囲も広い。でも肌はそんなに強くない(最悪)。ぺぺは軽すぎてうわ滑っている感じ。水ですぐ洗い落とせるという企業努力が、髭剃りには向かなかった。僕的に、弱酸性の洗顔フォーム(ペースト状を直塗り)が一番で候。


呉勝浩の『爆弾』を読んだ。ずっと読みたかったが、分厚いからともったいぶってしまった。いざ読み始めると2日で読み切ることができた。楽しい。高校のころ、かっこつけで挑戦した純文学がついにわからずエンタメ小説に切り替えたときのリーダビリティへの興奮が蘇ってきた(どっちが良いとかじゃないよ)。酔って人を殴った容疑で取り調べを受ける「スズキタゴサク」を名乗る中年男性が、これから起こる爆発について語り始めたことで、東京中をパニックに陥れる大事件の幕が上がる。このスズキタゴサクと名乗る男の食えなさがたまらない。事件の全貌は?目的は?そもそもおまえは何者?二字熟語系タイトルかつ人間のダークな面を描く作品なので、川村元気あたりがプロデューサーとして関わって東宝あたりが映画化しそう(『告白』『悪人』『怪物』…)。僕は劇中の描写との乖離こそあるが、スズキタゴサクにトム・ブラウンのミチオを当てて読んでいました。


芸人のミナミカワが昔映画館でアルバイトをしていたとき、東宝社員である川村元気がシフトを作っていたらしい。


Netflixで『バッドランド・ハンターズ』観た。マ・ドンソクのパワーとスピードが合わさったアクションやばすぎる。更には『ザ・レイド』オマージュをふんだんに盛り込んだ廊下バトル。見応えが凄まじいものになってしまった。マ・ドンソク演じる主人公も世紀末用の倫理観なのでショットガンに鉈と、一撃必殺スタイルなのも気持ちいい。ちゃんと強いボスキャラとの一騎打ちもある。一方でこの映画の敵に関する「設定」のあれこれはあんまり好きじゃない。なんだかんだ一番のおもしろポイントはこれが『コンクリートユートピア』と同じ世界の話だということだと思う。


YouTubeで理容室で施術されてたり、マッサージを受けている人の動画をよく見る。海外だと首がもげるんじゃないかってくらいに頭皮を揉みまくるものとかあって楽しい。頭のマッサージをしている最中、急に両手を叩き合わせて「ボンッ!」とか音を立てたりすると嬉しくなる。マッサージ業界にはタップ音文化がある。髪を逆なでするのは本当に気持ちがいい。生活のなかで、体中の滞っているものが急に許せなくなるときがあります。


www.youtube.com


永野のラジオ聴いてたら年末の仕事が最悪だったという話をしていた。午前中のしごとで会場にはファミリー層もいたのに出演者(ホスト側)のひとりが泥酔したまま登壇、女性器の別名称を連呼、舞台裏でもその感じだったのを見ていたので「◯◯(運営側)の発展のためにこいつをクビにしろ!」と会心のツッコミを入れたらその出演者が激怒。凄まじい声量で罵声を飛ばしてくる。イベントを進行している最中もずっと睨んできていたので、永野は司会者に挙手し、怖くて言葉が出ない旨を申告。すると相手はさらに怒ったのでそのまま歩み寄り、なだめつつ、ハグをした。すると相手の機嫌が良くなり(機嫌良くなってなお女性器の別名称を連呼)、お客さんもいくらか安心した様子のままイベントは終了。泥酔していた人から「すいませんでした、観たことあるかもしんないっスけど、全然どういうネタとかはわかんないんで、全然わかんないっす」と謝罪。運営側もヘラヘラした様子で「すみませんでした、なんかうちのが」と話しかけてきたので永野も怒る気にもなれず終わらせようモードで切り抜けて帰宅。

 

「年末」「泥酔」「ガラ悪い」「運営もヘラヘラ」という情報から、たぶん格闘技係のイベントだろうと予想した僕は早速検索。すぐ見つかりました。嫌な世界~~~。その後永野は「結婚式に疑問を感じている」というリスナーメールを読んでまたスイッチが入っていた。いい回でした。

永野③#8「年末の最悪な仕事」 - 芸人お試しラジオ「デドコロ」 | Podcast on Spotify

 

永野のいう「アメリカのおもちゃを愛でてる芸能人(成功者のこと)」っていまいちピンときていない。

 

GUで胸ポケット付きヘビーウェイトロンTが990円になっていたので2枚買った。

 

化繊のものは化繊、綿のものは綿で合わせたほうが静電気は起きにくいらしい。

 

覚えて帰りな。